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からだの変化

流産とは
——妊娠の約15%に起こり、早期の多くは偶然。不育症と、次の妊娠で出産できる確率

流産を経験した方、繰り返してしまい不安な方、そして身近な人を支えたい方に向けた記事です。
日本産科婦人科学会によると、妊娠の約15%は自然流産に終わり、妊娠したことがある女性の38%が流産を経験しているという報告もあります。妊娠12週未満の流産で最も多い原因は赤ちゃんの染色体異常で、そのほとんどは偶然のできごとです。
流産を繰り返した場合でも、次の妊娠で出産できる可能性はちゃんと残されていると学会は伝えています。

執筆:なぎ先生(内科医) 公開:2026年10月26日 読了:約8分

1. 先に結論

よくある不安資料の記述
流産は珍しいこと妊娠の約15%は自然流産に終わる。妊娠したことがある女性の38%が経験しているという報告も
何か悪いことをしたせい妊娠12週未満の流産で最も多い原因は赤ちゃんの染色体異常(約80%)。ほとんどが偶然のできごと
流産のあとは、しばらく避妊が必要次の妊娠までの間隔が短くても流産の確率は高まらない。わざわざ避妊期間を設ける必要はなさそう
繰り返したら、もう出産できない次の妊娠で無事に出産できた確率は、2回流産で80%、3回で70%、4回で60%、5回で50%という報告がある

この記事でいちばんお伝えしたいこと。

妊娠初期の流産の多くは、受精卵ができる段階で決まっていた偶然のできごとです。学会は、また繰り返すかもしれないと過度に心配する必要はないとしています。2回以上繰り返す場合(不育症)は、原因を調べることができます。つらい気持ちは抱え込まず、医師や助産師、看護師に相談してください。

2. 流産とは——決してまれではない

日本産科婦人科学会によると、妊娠22週より前に生まれた赤ちゃんは、お母さんの子宮の外では生きていけません。そこで日本では、妊娠22週より前に終わった妊娠を流産と呼んでいます。

学会は、流産は決してまれではないと書いています。

3.【核心】早期流産の多くは、赤ちゃんの染色体異常

日本産科婦人科学会によると、妊娠12週未満の流産(早期流産)で最も多い原因は、赤ちゃんの異常です。流産した組織(将来胎盤になる絨毛組織)の染色体を調べると、約80%に異常を認めたと報告されています。

「赤ちゃんの染色体異常は、ほとんどが偶然のできごとです。」(日本産科婦人科学会「流産・切迫流産」)

この場合、精子と卵子から受精卵(胚)ができる段階で、流産することがすでに決まっていたことになります。学会は、また流産を繰り返すかもしれないと過度に心配する必要はないとしています。

4. 流産の種類

日本産科婦人科学会は、流産をいくつかの見方で分類しています。

分類どんな状態か
稽留流産出血や腹痛がないまま、子宮内で赤ちゃんが亡くなっている状態。超音波検査で初めて気づく。自然に出てくるのを待つ場合と、子宮内容除去術(流産手術)を行う場合がある
進行流産子宮の出口が開き、出血も増えるなど、流産が進み始めている状態。多くは自然に排出されるが、出血や腹痛が強ければ手術が必要なことも
不全流産一部が子宮の中に残り、出血や腹痛が続いている状態。手術が必要なことが多い
完全流産すべて自然に排出された状態。出血や腹痛は軽くなっていることが多く、追加の処置は必要ない
生化学的妊娠妊娠反応は陽性になったが、超音波で胎嚢を確認する前に月経のような出血が起こった状態。治療は必要なく、日本では妊娠や流産の回数に含めない
感染流産子宮内に細菌などが感染して起きた流産。放置すると感染が全身に広がる(敗血症)ことがあり、注意が必要

流産の手術の方法は、掻爬法から吸引法へ移行している施設が多いようだと学会は書いています。

5. 不育症とは——2回以上繰り返す場合

こども家庭庁の不妊症・不育症の情報サイトは、妊娠しても赤ちゃんが育たず、2回以上の流産や死産の経験がある場合を不育症と説明しています。妊娠反応だけが陽性で、子宮の中に胎嚢が確認されないまま終わる生化学的妊娠は、流産の回数に含めません。

呼び方日本産科婦人科学会の説明
反復流産自然流産を2回繰り返した場合。頻度は2〜5%
習慣流産自然流産を3回以上繰り返した場合。頻度は約1%

流産を繰り返す不育症のリスク因子として、学会は次のようなものを挙げています。

ただし、不育症の精密検査を行っても、半数以上は原因不明といわれています(日本産科婦人科学会)。こども家庭庁のサイトも、日本生殖医学会の研究をもとに、検査をしても約7割の人は医学的な原因がはっきりしないと紹介しています。一般的に、年齢が高くなるほど流産の可能性は高くなります。

6. 切迫流産と、妊娠初期の出血

日本産科婦人科学会によると、妊娠22週未満で、子宮内で赤ちゃんが生きているのに、出血や腹痛など流産が進みそうな徴候がある場合を切迫流産といいます。

妊娠の初期には、軽い腹痛や少量の出血がしばしばあります。学会は、少量の出血ですぐに受診しても有効な対処法はないため、少量の出血や軽い腹痛であれば、まず自宅で安静にするのがよいとしています。ただし、月経のような多めの出血があったり、腹痛がひどい場合は、夜間や休日であっても産婦人科へ連絡するよう書いています。

7. 流産のあとに

(日本産科婦人科学会「流産・切迫流産」)

8. 次の妊娠で、出産できる確率

日本産科婦人科学会は、流産を経験した方に向けて、次の妊娠で無事に出産できる確率を流産の回数別に調べた報告を紹介しています。

次の妊娠で無事に出産できた確率(流産の回数別) 日本産科婦人科学会「流産・切迫流産」で紹介されている報告 2回流産 3回流産 4回流産 5回流産 80% 70% 60% 50% 出典:日本産科婦人科学会「流産・切迫流産」(Katano K, et al. Fertil Steril.)をもとに作図

将来、妊娠・出産できる可能性は、ちゃんと残されています。

「将来、妊娠・出産できる可能性は、ちゃんと残されています。」(日本産科婦人科学会「流産・切迫流産」)

学会は、流産を乗り越えて次の妊娠に臨むにあたり、気持ちの持ち方はとても大切だとして、家族や周囲のサポートを受けながら、前向きな気持ちで妊娠・出産に取り組んでほしいと結んでいます。

9.【内科医の視点】体と心、2人のケア

こども家庭庁のサイトは、流産・死産の経験はとても大きな悲しみをもたらすものだとして、女性の体はもちろん心のケアも重要であり、パートナーにも心のケアが必要だと書いています。自分たちだけで抱え込まず、かかりつけの医師や助産師、看護師に相談し、流産・死産などを経験した方への相談窓口も利用できるとしています。

内科医として付け加えると、不育症のリスク因子には甲状腺などのホルモンの異常や自己免疫疾患が挙げられています。甲状腺については甲状腺の記事で書いています。

10. 産婦人科に連絡・相談したいとき

資料にあるもの

・妊娠中に月経のような多めの出血がある、腹痛がひどい(夜間や休日でも産婦人科へ連絡)

・切迫流産と言われ、仕事の負担が心配(安静や勤務の緩和を主治医と相談・母性健康管理指導事項連絡カード)

・流産や死産を2回以上繰り返している(不育症)

・流産のあと、気持ちがつらい(医師・助産師・看護師、相談窓口)

最後に、この記事の要点をもう一度。

① 流産は妊娠の約15%。決してまれではない

② 早期流産の原因の約80%は赤ちゃんの染色体異常で、ほとんどが偶然

③ 2回以上の流産・死産は不育症。リスク因子はあるが、半数以上は原因不明

④ 流産後に避妊期間は必要なさそう。気持ちが落ち着くまで待ってもよい

⑤ 次の妊娠で出産できた確率は、2回流産で80%、3回で70%

11. よくある質問

流産はどのくらいの確率で起こりますか?

日本産科婦人科学会によると、妊娠の約15%は自然流産に終わります。流産率は年齢とともに上がり、40歳を過ぎると妊娠しても40%以上が流産するといわれています。妊娠したことがある女性の38%が流産を経験しているという報告もあり、流産は決してまれではありません。

流産の原因は何ですか?

妊娠12週未満の早期流産で最も多い原因は赤ちゃんの異常で、流産した組織の染色体を調べると約80%に異常を認めたと報告されています。赤ちゃんの染色体異常はほとんどが偶然のできごとで、受精卵ができる段階で流産することが決まっていたことになります。学会は、また繰り返すかもしれないと過度に心配する必要はないとしています。

不育症とは何ですか?

こども家庭庁の情報サイトによると、妊娠しても赤ちゃんが育たず、2回以上の流産や死産の経験がある場合を不育症といいます。生化学的妊娠は流産の回数に含めません。リスク因子として子宮の形の異常、抗リン脂質抗体症候群などの自己免疫疾患、甲状腺などのホルモンの異常、夫婦いずれかの染色体の構造の異常が知られていますが、検査をしても約7割の人は医学的な原因がはっきりしません。

流産のあと、次の妊娠までどのくらい待てばいいですか?

日本産科婦人科学会によると、前回の流産から次の妊娠までの間隔が短くても流産の確率は高まらないため、わざわざ避妊期間を設ける必要はなさそうです。ただ、流産後は気分が落ち込みやすく不安も強いといわれるので、気持ちが落ち着くまで次の妊娠を少し待つこともあってよいとしています。Rh(D)陰性の方は、次の妊娠に備えて抗D免疫グロブリンを注射します。

妊娠初期に少し出血しました。すぐ受診すべきですか?

日本産科婦人科学会によると、妊娠初期には軽い腹痛や少量の出血がしばしばあり、すぐに受診しても有効な対処法はないため、少量の出血や軽い腹痛であれば、まず自宅で安静にするのがよいとしています。ただし、月経のような多めの出血があったり、腹痛がひどい場合は、夜間や休日であっても産婦人科へ連絡してください。

流産を繰り返しても、出産できますか?

日本産科婦人科学会は、次の妊娠で無事に出産できた確率を流産の回数別に調べると、2回流産で80%、3回流産で70%、4回流産で60%、5回流産で50%だったという報告を紹介し、将来、妊娠・出産できる可能性はちゃんと残されていると伝えています。

参考にした主な資料

凪
なぎ先生

内科系の臨床に15年ほど携わる医師。生活習慣病・ホルモン・栄養の相談を日常的に受けています。中立性の担保と診療継続のため、ペンネームで執筆しています。→ 運営者について

この記事は健康情報の提供を目的としたものであり、診断・治療に代わるものではありません。本文で紹介した内容は、日本産科婦人科学会の一般向け解説「流産・切迫流産」と、こども家庭庁の情報サイト「みんなで知ろう、不妊症・不育症のこと」にもとづくもので、公開時点の情報です。妊娠中の出血や腹痛、流産後の体調や治療については、主治医の産婦人科医に相談してください。掲載内容の誤りにお気づきの際はお問い合わせからお知らせください。