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からだの変化

発疹が出るウイルス感染症
——はしか・風疹・水ぼうそうは、抗体のない大人がかかりやすい。妊娠を考えるなら風疹の抗体を

子どもや孫が熱を出し、全身に赤いぶつぶつが出た。自分にもうつるのか、会社を休むべきか。妊娠中で、りんご病が流行っていると聞いた——そんな方に向けた記事です。
日本皮膚科学会によると、麻疹(はしか)・風疹・水痘(水ぼうそう)は、子どもはワクチンを接種しているのでかかりにくく、むしろ抗体のない、または低下した大人がかかりやすくなっています。
また、妊娠20週までの抗体を持たない妊婦さんが風疹に感染すると先天性風疹症候群の危険性が高く、りんご病(伝染性紅斑)は妊婦さんの感染で流産の危険があるとされています。

執筆:なぎ先生(内科医) 公開:2026年10月24日 読了:約9分

1. 先に結論

よくある思い込み資料の記述
はしかや風疹は子どもの病気子どもはワクチン接種でかかりにくく、抗体のない、または低下した成人がかかりやすい
はしかは昔の病気で、もう怖くない感染力が非常に強く、今でも死亡者が出るくらい怖い感染症。何よりも予防接種でかからないようにすべき
りんご病は顔が赤いうちはうつる発疹が出た時期にはウイルスの排泄がなくなり、感染力は低い。ただし妊婦さんの感染では流産の危険がある
手足口病は発疹が消えればもう安心口内疹などが良くなっても、便の中にウイルスが2〜4週間出るため、便の始末と手洗いが必要

この記事でいちばんお伝えしたいこと。

麻疹・風疹・水ぼうそうは、抗体のない大人がかかりやすい病気です。とくに妊娠を希望する方は風疹の抗体の有無を確かめ、必要なら予防接種を。予防の基本は、決められた時期の予防接種です。

2. 急性発疹症とは——熱と全身の発疹

日本皮膚科学会は、急性発疹症を「急に、高熱・倦怠感などの全身症状とともに全身に発疹が出現する感染症」と説明しています。最も多い原因はウイルスですが、細菌などによるものもあります。

薬で起こる発疹については重症薬疹の記事で書いています。

3.【核心】主な病気の症状と、うつり方

うつり方と、かかりやすい年代 日本皮膚科学会「皮膚科Q&A 子供のウィルス感染症」Q7・Q8・Q23をもとに整理 空気・飛沫・接触 麻疹、水痘(水ぼうそう) → 隔離が必要 飛沫(・接触) 風疹、伝染性紅斑(りんご病) 口から・接触 手足口病(便にウイルスが2〜4週間) 子どもに多い 突発性発疹、りんご病、溶連菌 抗体のない大人がかかりやすい 麻疹、風疹、水痘 出典:日本皮膚科学会「皮膚科Q&A 子供のウィルス感染症」をもとに作図

突発性発疹以外は、どの病気も大人が決してかからないわけではないとされています。

病気症状(資料の記述)
麻疹(はしか)感染力が非常に強い。11〜12日の潜伏期のあと、高熱とくしゃみ・咳・鼻水。熱が少し下がったあと、口の中に白い点(コプリック斑)と、顔から下へ全身に広がる発疹。激しい咳、下痢・嘔吐・腹痛も。うつる力があるのは発熱から発疹出現後4〜5日
風疹感染後約2週間で、発熱・発疹・リンパ節の腫れがほぼ同時に出る。発疹は数日で跡を残さず消える。目の充血が特徴
伝染性紅斑(りんご病)軽いかぜ症状のあと、「赤いほっぺ」、手足や体に網目状の紅斑。日光や入浴、緊張で再び出ることも。大人では関節痛や発熱
水痘(水ぼうそう)水痘・帯状疱疹ウイルスの初めての感染。ぶつぶつ→水ぶくれ→膿→かさぶたと進み、かさぶたになればうつらない。抗ウイルス薬がある
手足口病手のひら・足の裏・口の中などに小さな水ぶくれ。熱は出ても38℃程度。乳幼児は口の発疹で飲食が減り脱水に注意。便の中にウイルスが2〜4週間
突発性発疹主に2歳くらいまで。38〜39℃の熱が3〜5日続き、熱が下がると同時に発疹が出る

「今でも死亡者が出るくらい怖い感染症です。何よりも予防接種でかからないようにすべきです。」(日本皮膚科学会「皮膚科Q&A 子供のウィルス感染症」Q10——麻疹について)

水ぼうそうのウイルスが体に残り、のちに再び活性化したものが帯状疱疹です(→帯状疱疹)。

4. 妊娠中・妊娠を考えている人が知っておきたいこと

「妊娠20週までの抗体を持たない妊婦さんが感染すると先天性風疹症候群(CRS)の発症の危険性が高いので、妊娠を希望する場合は、抗体の有無をチェックし、予防接種を受けて、かからないようにすべきです。」(日本皮膚科学会「皮膚科Q&A 子供のウィルス感染症」Q11)

5. 学校や会社を休む目安、プール

日本皮膚科学会は、学校保健安全法で定められた第二種の学校感染症の出席停止期間を紹介し、成人についても前述の法律や決まりに準じるとしています。

病気出席停止期間の基準(第二種・抜粋)
麻疹解熱した後3日を経過するまで
風疹発疹が消失するまで
水痘すべての発疹が痂皮化(かさぶたになる)するまで
インフルエンザ発症した後5日を経過し、かつ解熱した後2日(幼児は3日)を経過するまで

第三種の皮膚の感染症については、関係学会の統一見解として、手足口病とりんご病は、熱やだるさなどがなく本人が元気であれば休む必要はないとされています。手足口病は、トイレのあとの手洗いをきちんとすることが大切です。

プールについては、プールの水を介してはうつらないものの、皮膚と皮膚の接触でうつることがあるとされ、とびひは良くなるまでプールは禁止、みずいぼは入ってよいがタオル・浮き輪・ビート板などの共用は避ける、とされています。

6. 治療と予防

日本皮膚科学会によると、水ぼうそうや単純ヘルペスなどのように抗ウイルス薬がある病気もありますが、おおむね対症療法です。高熱のときは冷やす、アセトアミノフェンの内服、水分の補給、十分な栄養、安静、ほかの病気の併発への注意に努めます。

予防については、感染経路(空気・飛沫・接触・口から)を知っていれば、ある程度は可能です。そのうえで、日本皮膚科学会は予防接種で抗体をつくる方法が推奨されるとし、決められた時期に予防接種をして、かからないようにすべきとしています。水痘は2014年10月から定期接種になっています。

7. 海外旅行と蚊が媒介する感染症

デング熱、チクングニア熱、ジカウイルス感染症は、ウイルスを持った蚊(ネッタイシマカ、ヒトスジシマカ)に刺されると、子どもでも大人でも感染する可能性があります。多くは海外で刺されて、帰国してから発症します。

「まずは、蚊に刺されないようにディートやイカリジンなどの虫よけ剤をきちんと使用しましょう。」(日本皮膚科学会「皮膚科Q&A 子供のウィルス感染症」Q24)

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この章で扱った、イカリジンを含む虫よけ剤です。日本皮膚科学会の皮膚科Q&Aは、蚊が媒介する感染症について「まずは、蚊に刺されないようにディートやイカリジンなどの虫よけ剤をきちんと使用しましょう。」としています。

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8.【内科医の視点】大人こそ、自分の抗体を確かめる

内科医として、ここはぜひ知っておいてほしいところです。資料は、麻疹・風疹・水痘について、子どもはワクチンでかかりにくく、抗体のない、または低下した大人がかかりやすくなっていると書いています。そして、いずれも抗体がない場合は感染しやすいので対策が必要だとしています。

とくに妊娠を希望する方は、資料のとおり風疹の抗体の有無をチェックし、必要なら予防接種を受けてください。ご家族に妊婦さんがいる場合も、りんご病などの流行に気を配ることが大切です。

9. 受診したいとき

医療機関を受診したいとき

・高熱と一緒に、全身に発疹が出た

・妊娠中で、発疹や熱が出た、または風疹・りんご病の人と接した

・海外の流行地から帰国後12〜14日以内に高熱や発疹が出た

・乳幼児が口の発疹で水分をとれない、ぐったりしている

最後に、この記事の要点をもう一度。

① 麻疹・風疹・水痘は、抗体のない大人がかかりやすい

② 麻疹と水痘は空気感染もする。麻疹は今でも死亡者が出る

③ 妊娠を希望するなら風疹の抗体をチェック。りんご病は妊婦さんの感染で流産の危険

④ 出席停止の目安:麻疹は解熱後3日、風疹は発疹が消えるまで、水痘はすべてかさぶたになるまで

⑤ 予防の基本は決められた時期の予防接種。海外では蚊よけにディートやイカリジン

10. よくある質問

大人でもはしかや風疹にかかりますか?

日本皮膚科学会によると、麻疹・風疹・水痘などは、子どもはワクチン接種をしているのでかかりにくく、むしろ抗体のない、または低下した成人がかかりやすくなっています。突発性発疹以外は、どの病気も大人が決してかからないわけではないとされています。

妊娠を考えています。風疹について何をすればいいですか?

日本皮膚科学会によると、妊娠20週までの抗体を持たない妊婦さんが風疹に感染すると先天性風疹症候群の危険性が高いため、妊娠を希望する場合は抗体の有無をチェックし、予防接種を受けてかからないようにすべきとされています。予防接種のあと2か月間は避妊が必要です。

りんご病は大人にもうつりますか?妊娠中は大丈夫ですか?

日本皮膚科学会によると、りんご病(伝染性紅斑)は大人もかかることがあり、大人では関節痛や発熱などが出ます。妊婦さんが感染すると流産の危険があるため、妊婦さんは感染しないよう注意するよう勧められています。なお、顔が赤くなる時期にはウイルスの排泄がなくなり、うつる力は低いとされています。

はしかや水ぼうそうのときは、いつまで休めばいいですか?

日本皮膚科学会が紹介している学校保健安全法の基準では、麻疹は解熱した後3日を経過するまで、風疹は発疹が消失するまで、水痘はすべての発疹がかさぶたになるまでが出席停止期間です。成人についても、この法律や決まりに準じるとされています。

手足口病の子どもの世話で気をつけることは?

日本皮膚科学会によると、手足口病は水ぶくれや口内疹が良くなっても、便の中にウイルスが2〜4週間出るため、便の始末と手洗いの励行が必要です。口の発疹で乳幼児が食事や水分をとれず、脱水になることがあるので注意が必要とされています。

参考にした主な資料

凪
なぎ先生

内科系の臨床に15年ほど携わる医師。生活習慣病・ホルモン・栄養の相談を日常的に受けています。中立性の担保と診療継続のため、ペンネームで執筆しています。→ 運営者について

この記事は健康情報の提供を目的としたものであり、診断・治療に代わるものではありません。本文で紹介した内容は、日本皮膚科学会の一般向け解説「皮膚科Q&A」にもとづくもので、公開時点の情報です。予防接種の時期や対象は変わることがあるため、最新の情報はかかりつけ医や自治体で確認してください。妊娠中に発疹や熱が出た場合は、早めに受診してください。掲載内容の誤りにお気づきの際はお問い合わせからお知らせください。