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MEDICALLY REVIEWED BEAUTY & HEALTH
肌

薬で起こる重い皮膚の病気(重症薬疹)
——目・口・陰部のただれを伴う発疹はすぐ受診。原因の薬の名前は一生覚えておく

かぜ薬や痛み止めを飲んだあとに発疹が出た。新しい薬を飲み始めてしばらくしてから、熱と赤い発疹が出てきた——そんな方に向けた記事です。
日本皮膚科学会によると、薬で起こる発疹(薬疹)のなかでも、中毒性表皮壊死症(TEN)とスチーブンス・ジョンソン症候群(SJS)は最も重症のもので、眼、口唇、陰部などの粘膜が侵されるのが特徴です。TENの死亡率は20〜30%と考えられています。
一度ある薬で薬疹を起こしたら、その薬はもう一生内服できないと考えてよいとされています。だからこそ、原因の薬をはっきりさせ、薬を処方されるたびに伝えることが大切です。

執筆:なぎ先生(内科医) 公開:2026年10月24日 読了:約9分

1. 先に結論

よくある思い込み資料の記述
薬を飲んで発疹が出たら、すぐ薬疹薬はウイルス感染のときに飲むことが多く、薬疹かウイルス感染かの区別が難しいことが多い。飲み始めてから発疹が出るまでの経過が重要
原因の薬をやめれば、すぐ良くなる薬剤性過敏症症候群では、原因の薬を中止しても数日後に著明に悪化することがある
漢方薬や民間薬なら薬疹は起こらない起こさないのではなく、起こしていても知ることができないだけ。かえって危険とも言える
作用の弱い薬なら副作用も少ない誤った考え。作用の弱い薬でも、強い薬と同じように薬疹を起こすと考えたほうがよい

この記事でいちばんお伝えしたいこと。

発疹に加えて目の充血、口唇のただれ、陰部のただれなど粘膜の症状がある、皮膚が剥がれる、高熱があるときは、すぐ受診してください。薬疹と言われたら、原因の薬の名前を記録し、薬を処方されるたび・市販薬を買うたびに確認しましょう。

2.【核心】3つの重症薬疹

3つの重症薬疹 日本皮膚科学会「皮膚科Q&A 薬疹(重症)」Q1〜Q3をもとに整理 中毒性表皮壊死症(TEN) 全身の皮膚が赤くなり、擦るだけで剥離し、やけどのようになる。薬疹で最も重症 死亡率20〜30%。眼・口唇・陰部など粘膜の症状。日本では剥がれた面積10%超 スチーブンス・ジョンソン症候群(SJS) 剥がれる範囲はTENより狭い(10%以下)。口唇に血の混じった厚いカサブタの潰瘍 眼の粘膜の症状が強いと後遺症を残すことがある。マイコプラズマや単純ヘルペスも関与 薬剤性過敏症症候群 飲み始めて3週間以上(平均4週間)で発症。発熱・かゆい赤い斑・リンパ節の腫れ 原因の薬をやめても悪化することが多い。ヘルペス科のウイルスの再活性化が関わる 出典:日本皮膚科学会「皮膚科Q&A 薬疹(重症)」をもとに作図

TENとSJSは、早期に治療することが大事なので、速やかに入院して治療する必要があるとされています。

中毒性表皮壊死症(TEN)とスチーブンス・ジョンソン症候群(SJS)

日本皮膚科学会によると、TENでは全身の皮膚が赤くなり、擦るだけでズルズルと剥がれ、やけどのようになります。SJSはTENと並ぶ最も重症の薬疹の一つで、皮膚の剥がれる範囲はTENより狭いものの、眼や口唇などの粘膜症状が強く、とくに眼の症状が強い場合は後遺症を残すことがあります。それを防ぐためには、早期からの十分な治療とともに、眼科医のもとでの定期的な診療が必要とされています。

「皮膚だけでなく眼、口唇、陰部などの粘膜がやられるのが特徴で、初期からのこの粘膜症状が強い場合には、本症の可能性があります。」(日本皮膚科学会「皮膚科Q&A 薬疹(重症)」Q1)

薬剤性過敏症症候群

3. どんなときに薬疹を疑うか

「新しい薬を飲み始めて1~2週間で出てくる場合には(アレルギー性)薬疹を疑うことになります。」(日本皮膚科学会「皮膚科Q&A 薬疹(重症)」Q5)

4. 原因の薬を突き止める検査

日本皮膚科学会によると、診断にはまず、どの薬を、いつから飲み始め、発疹はいつ出たか、そして過去に薬で発疹が出たことがあるかを詳しく聞きます。ところが、何の薬でどんな発疹が出たかを正確に話せる人は極めて少ないとされています。

検査資料の記述
パッチテスト原因と思われる薬を軟膏にして背中に貼る。本当に原因でも陽性に出ない場合(偽陰性)がかなり多く、結果を過大に評価しすぎない
内服試験(誘発試験)最も確実。原因の薬をごく少量から飲む。重症薬疹では、肝・腎機能を確認し、ふつうの量の1/1000から慎重に増やすなど、十分な注意のもとで行う
血液の検査血液(リンパ球)と薬を試験管内で混ぜて反応をみる。患者の負担はないが、保険で全てをカバーできない。偽陽性・偽陰性もある

日本皮膚科学会は、患者さんは内服試験をいやがる場合が多いものの、ここまで行って原因薬を決めておいてこそ、後から役立つ貴重な情報になるとしています。

5. 治療

6. 予防——薬疹カードと、薬を少なく短く

「アレルギー性薬疹の場合、その薬に対するアレルギー反応は一生続くと考えて良いと思います。」(日本皮膚科学会「皮膚科Q&A 薬疹(重症)」Q9)

薬疹にならないための方法について、日本皮膚科学会は、内服する薬はなるべく少なく、短期間にとどめることを原則にすべきとしています。とくにウイルス感染のときは、なるべく多種類の薬を飲まないこと、そして一度やめた薬をまた飲み始めるような不規則な飲み方はアレルギー(感作)を起こしやすくするとしています。

7. 医療費の救済制度

薬を正しく使ったのに副作用で健康被害を受けた方のために、医薬品副作用被害救済制度があります。運営しているのは独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)です。

8.【内科医の視点】漢方薬でも薬疹は起こる

内科医として、ここはぜひ知っておいてほしいところです。資料は、多くの方が漢方薬ならアレルギーを起こさないだろうと考えがちですが、決してそうではないとしています。病院で処方される薬はアレルギーの頻度をあらかじめ調べたうえで販売許可されますが、民間薬や漢方薬にはそうしたデータがないため、起こしていても知ることができないだけだというのです。

もう一つは、原因の薬の名前を自分で持っておくことです。資料は、薬疹カードを見せるのを忘れて、原因の薬が間違って処方される場合もあると書いています。薬疹と言われたら、原因の薬の名前を記録しておき、受診のたび・薬局で薬を買うたびに伝えてください。塗り薬でのかぶれについては塗り薬の正しい使い方の記事、じんましんについてはじんましんの記事で書いています。

9. 受診したいとき

すぐに受診したいとき

・発疹に加えて、目の充血、口唇のただれ・カサブタ、陰部のただれがある

・皮膚が擦るだけで剥がれる、水ぶくれやただれが広がる

・薬を飲み始めて数週間後に、高熱と赤い発疹、リンパ節の腫れが出た

医師・薬剤師に相談したいとき

・新しい薬を飲み始めて1〜2週間で発疹が出た

・過去に薬疹を起こしたことがあり、新しい薬を処方された・市販薬を買いたい

・薬の副作用で入院した(医薬品副作用被害救済制度の対象になることがある)

最後に、この記事の要点をもう一度。

① TENとSJSは最も重症の薬疹。眼・口唇・陰部の粘膜症状が特徴で、速やかな入院治療が必要

② 薬剤性過敏症症候群は飲み始めて3週間以上で発症し、薬をやめても悪化することがある

③ 新しい薬を飲み始めて1〜2週間の発疹は薬疹を疑う。ただしウイルス感染との区別は難しい

④ 薬のアレルギーは一生続くと考え、原因の薬を毎回伝える。漢方薬・民間薬でも起こる

⑤ 薬は少なく、短く。副作用で入院したら救済制度がある

10. よくある質問

スチーブンス・ジョンソン症候群とはどんな病気ですか?

日本皮膚科学会によると、中毒性表皮壊死症(TEN)と並ぶ最も重症の薬疹の一つで、TENより皮膚の剥離する範囲は少し狭いものの、口唇に血液の混じった厚いカサブタがつく潰瘍などがみられます。眼や口唇などの粘膜症状が強く、とくに眼の症状が強い場合は後遺症を残すことがあるため、早期の治療と眼科医のもとでの定期的な診療が必要とされています。

薬を飲んで発疹が出たら、薬疹ですか?

日本皮膚科学会によると、薬はウイルス感染のときに飲むことが多いため、薬疹かウイルス感染による発疹かの区別が難しいことが多いとされています。新しい薬を飲み始めて1〜2週間で出てくる場合はアレルギー性の薬疹を疑い、薬をやめて良くなれば可能性はさらに強くなりますが、正確な診断は専門家でも難しい場合があります。

一度薬疹を起こした薬は、また飲めますか?

日本皮膚科学会によると、アレルギー性薬疹の場合、その薬に対するアレルギー反応は一生続くと考えてよく、その薬はもう一生内服できないと考えてよいとされています(例外もあります)。一度アレルギーを起こした薬の名前を、薬を処方されるたびに必ず伝えて避けてもらう必要があります。

漢方薬なら薬疹は起こりませんか?

日本皮膚科学会は、漢方薬ならアレルギーを起こさないだろうという考えは誤りだとしています。民間薬や漢方薬にはアレルギーの頻度のデータがないため、起こしていても知ることができないだけで、かえって危険とも言えるとしています。作用の弱い薬でも、強い薬と同じように薬疹を起こすと考えたほうがよいとされています。

薬疹で入院した場合、医療費の助けはありますか?

日本皮膚科学会によると、医薬品を適正に使用したのに副作用で健康被害を受けた方のために、医薬品医療機器総合機構(PMDA)が運営する医薬品副作用被害救済制度があります。入院治療が必要な程度の病気などが対象で、医師の診断書や投薬・使用証明書などをPMDAに提出して請求します。

参考にした主な資料

凪
なぎ先生

内科系の臨床に15年ほど携わる医師。生活習慣病・ホルモン・栄養の相談を日常的に受けています。中立性の担保と診療継続のため、ペンネームで執筆しています。→ 運営者について

この記事は健康情報の提供を目的としたものであり、診断・治療に代わるものではありません。本文で紹介した内容は、日本皮膚科学会の一般向け解説「皮膚科Q&A」にもとづくもので、公開時点の情報です。処方された薬は、自己判断でやめたり飲み方を変えたりせず、医師・薬剤師に相談してください。発疹に目・口唇・陰部の症状や皮膚の剥がれ、高熱を伴う場合は、すぐに受診してください。掲載内容の誤りにお気づきの際はお問い合わせからお知らせください。