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検査と数値

尿潜血(+)
——健診で女性の12.3%。多くは心配いりませんが、次に受ける検査は年齢で変わります

健診の結果に「尿潜血(+)」。自覚症状はないし、去年も同じだった気がする。そのままにしている方は多いと思います。
学会のガイドラインによると、健診で血尿を指摘される人は男性3.5%に対して、女性は12.3%。女性に多い所見です。その多くは心配のいらないものですが、なかには腎臓の病気や、尿路のがんが隠れていることもあります。
大切なのは、採尿の仕方で結果が変わること、そして年齢によって次に受ける検査が変わることを知っておくことです。
日本腎臓学会・日本泌尿器科学会など6学会のガイドラインから整理します。

執筆:なぎ先生(内科医) 公開:2026年10月2日 読了:約15分

1. 先に結論

ガイドラインから読み取れることを、先にまとめます。

よく聞く話ガイドラインが書いていること
尿潜血(+)=血尿試験紙はふるい分け。顕微鏡で赤血球を数えて、はじめて血尿と決まります
女性は毎年出るから気にしなくていい女性に多いのは事実(12.3%)。ただし50歳以上は尿路のがんのリスク分類で中リスク以上になります
生理中でも検査は同じ「女性で月経時は原則として避ける。」
陰性なら問題ないビタミンCで偽陰性になることがあります
どこを受診しても同じ蛋白尿などを伴えば腎臓内科、伴わなければ泌尿器科も考えます
血液をサラサラにする薬のせい薬が原因と判断するのは難しく、飲んでいない人と同じように調べる
精密検査で異常なしなら終わり12か月以内にもう一度、尿検査を

この記事でいちばんお伝えしたいこと。

尿潜血(+)は、まず正しい条件で再検査。そこで血尿が確かめられたら、蛋白尿があるか、年齢はいくつか、たばこを吸うかで、行き先と検査が決まります。8章の図を持ち帰っていただければと思います。

2.「尿潜血」と「血尿」は、同じではありません

健診の尿検査は、紙のスティック(尿試験紙)を尿に浸して、色の変化を見るものです。「尿潜血」は、この試験紙が血液の成分(ヘモグロビン)に反応したという意味で、まだ血尿と決まったわけではありません。

日本腎臓学会・日本泌尿器科学会・日本小児腎臓病学会など6学会による「血尿診断ガイドライン2023」は、血尿を次のように定義しています。

種類定義
肉眼的血尿尿が鮮紅色〜暗赤褐色で、尿1Lに血液1mL以上を含むもの
顕微鏡的血尿見た目ではわからないが、顕微鏡で調べる検査(尿沈渣)で赤血球5個/HPF以上、または遠心しない尿で20個/μL以上

試験紙は、「1+」が赤血球およそ20個/μLに相当するように作られています。けれど、ガイドラインによると、メーカーによって感度に差があり、同じ尿でも1+と出る試験紙と2+と出る試験紙がありました。

顕微鏡で数えた結果と比べると、試験紙の感度は60〜80%、特異度は78〜97%です。つまり、試験紙で陽性でも顕微鏡では血尿でないことがあり、逆に見逃すこともあります。だからこそ、陽性と出たら顕微鏡での再検査が必要なのです。

3. 女性は12.3%——男性の3倍以上

女性は指摘されやすい。けれど、がんの割合は低い ① 健診で血尿を認めた人の割合 女性 12.3% 男性 3.5% ② 血尿から3年以内に尿路上皮がんと診断された割合(海外の研究) 女性 45歳未満 0.22% 女性 45〜54歳 1.34% 男性 45歳未満 0.99% 男性 45〜54歳 4.35% どちらの性別でも、それより上の年齢では割合が上がります。 ①と②は別の調査で、棒の縮尺も違います(②は約2.8倍に拡大)。

血尿診断ガイドライン2023 BQ 6・BQ 19の記載をもとに作成

ガイドラインによると、健診を受けた人のうち血尿を認めた人は男性3.5%、女性12.3%で、どちらも年齢とともに増えていました。女性は男性の3倍以上です。

理由のひとつは、採尿のときに外から混じりやすいことです。ガイドラインは、女性では適切な採尿が行われないと混入によって赤血球の数が増え、血尿と診断される確率が高くなるという研究を紹介しています。月経の影響もあります。

一方で、がんが見つかる割合は低めです。海外の研究では、症状のない血尿が出てから3年以内に尿路のがん(尿路上皮がん)と診断された割合は、45歳未満の女性で0.22%、45〜54歳の女性で1.34%でした。同じ年代の男性(0.99%、4.35%)より低い数字です。ただし、どちらもそれより上の年齢では割合が上がっています。

まとめると、女性の尿潜血は「出やすいけれど、多くは心配いらない」。けれど、年齢が上がるにつれて、きちんと確かめる意味が大きくなる、ということです。

4.【重要】検査の前にできること

ガイドラインは、血尿を診断するための採尿について、注意点をまとめています。健診を受ける側でできることを中心に抜き出しました。

採尿の前

・「アスコルビン酸を多く含むものの摂取を控える。」(アスコルビン酸=ビタミンC)

・「女性で月経時は原則として避ける。」

採尿のとき

・「中間尿採取を原則とする。」(出始めの尿は捨て、途中の尿を採る)

・「女性の場合,外尿道口を清拭後に採尿することが望ましい。」

採尿のあと

・時間がたつと赤血球が壊れるため、原則4時間以内に検査する

ビタミンCに注意

意外と知られていないのがビタミンCです。ガイドラインは「尿試験紙潜血はアスコルビン酸(ビタミンC) などの還元剤が存在すると偽陰性を呈する」としています。ビタミンCのサプリメントや、ビタミンCを多く含む飲み物を前日にとると、本当は血尿があるのに陰性と出ることがあるのです。偽陽性ではなく、見逃しの方向に働きます。

生理と重なったら

健診の日程と生理が重なることはよくあります。その場合は、問診票や受付で伝えてください。ガイドラインも、採尿したあとに「月経時採尿であること」を明記するよう挙げています。陽性と出たら、生理が終わってから再検査を受ければ大丈夫です。

5. 試験紙だけが陽性になることがある

試験紙では陽性なのに、顕微鏡では赤血球が見つからないことがあります。ガイドラインは、その可能性として次のものを挙げています。

また、顕微鏡で血尿が確かめられた場合も、まず尿路感染(膀胱炎など)、月経、激しい運動、けが、直近の泌尿器科の処置といった良性の原因がないかを確かめます。思い当たるものがあれば、原因に応じた対処をして、適切な期間をおいてから再検査します。

前日にジムで激しい運動をした、マラソンを走った、という場合も、健診のときに伝えておくとよいでしょう。

6. 血尿が確かめられたら——腎臓か、尿路か

ここからが、ガイドラインの中心です。血尿は、出血している場所によって大きく2つに分かれます。

尿潜血(+)から先は、2つの方向に分かれます 血尿診断ガイドライン2023のアルゴリズムを簡略化 健診で尿潜血(+)=試験紙 まだ「血尿」とは決まっていない 再検査:顕微鏡で赤血球を数える 月経・尿路感染・激しい運動などを先に除く 5個/HPF以上で「顕微鏡的血尿」 腎臓の方向(腎臓内科) ・形がいびつな赤血球(変形赤血球) ・蛋白尿や円柱を伴う ・クレアチニンが高い 代表はIgA腎症 尿路の方向(泌尿器科) ・形がそろった赤血球(均一赤血球) ・結石、膀胱がんなどを調べる ・年齢と喫煙で検査が変わる 8章のリスク分類を参照 どちらか迷う場合は、腎臓内科と泌尿器科が互いに相談しながら進めます。 見た目で赤い尿(肉眼的血尿)は、別の扱いになります(11章)。

血尿診断ガイドライン2023「成人の血尿診断アルゴリズム」をもとに簡略化して作成

見分ける手がかりは、顕微鏡で見た赤血球の形です。

ガイドラインは、一般の医師が最初に行う対応として「尿試験紙法で潜血陽性となった場合,まずは尿沈渣法で赤血球の有無を確認する。」としています。あわせて、血液のクレアチニン(腎機能)、蛋白尿、円柱(腎臓でできる尿の中の固まり)の有無を確かめます。お腹の超音波検査も、体への負担が少なく、結石や腫瘍のふるい分けに役立つとされています。

7. 腎臓の方向——IgA腎症

ガイドラインは、腎臓内科(腎臓専門医)に紹介する目安を次のように書いています。

・変形赤血球や赤血球円柱を認める場合は、糸球体の病気を疑い、腎臓内科に紹介する

・それに加えて蛋白尿や腎機能の低下がある場合は、「進行性の腎臓病の可能性が強く示唆されるため,早急に腎臓内科医(腎臓専門医)に紹介する。」

健診で尿潜血と尿蛋白の両方が陽性なら、この方向を考えます。問診では、長年にわたる検尿の異常、高血圧や糖尿病、家族の腎臓病、むくみ、難聴なども手がかりになります。

では、蛋白尿を伴わない血尿だけの場合、腎臓には何が起きているのか。ガイドラインがまとめた研究では、腎生検(腎臓の組織を少し採って調べる検査)を受けた人のうち約33%がIgA腎症、約22%が菲薄基底膜病と診断されていました。ただし、「一般的に血尿単独症例への腎生検は慎重を要する。」とされていて、血尿だけで腎生検をすることはあまりありません。

IgA腎症は、腎臓の糸球体に炎症が起きる慢性の腎炎のひとつです。血尿だけの段階で見つかった場合も、蛋白尿が出てこないか、定期的に尿を調べ続けることが大切です。尿蛋白とeGFRの読み方は腎臓の数値の記事で詳しく書いています。

8. 尿路の方向——年齢と喫煙でリスクが変わる

形のそろった赤血球の血尿なら、尿路結石、膀胱炎、前立腺の病気などのほか、尿路のがんも確かめる必要があります。ガイドラインは「顕微鏡的血尿を呈する者のうち,0.2~5.2%に尿路悪性腫瘍が同定され,その多くは膀胱癌(尿路上皮癌)である。」としています。

そこでガイドラインは、米国の学会の分類をもとに、年齢、赤血球の数、危険因子でリスクを3段階に分け、それぞれに勧める検査を示しています。

女性は「50歳」と「60歳」で、受ける検査が変わります 顕微鏡的血尿があるときの、尿路のがんのリスク分類 低リスク すべてを満たす 女性50歳未満 (男性40歳未満) 赤血球5〜10個/HPF 危険因子なし 半年以内に再検査 または中リスクに 準じて検査 中リスク どれか1つ 女性50〜59歳 (男性40〜59歳) 赤血球11〜25個/HPF 危険因子が1つ以上 膀胱鏡・超音波(腎) ・尿細胞診 膀胱鏡が難しければ超音波で 高リスク どれか1つ 男女とも60歳以上 赤血球25個/HPF超 喫煙歴あり 赤い尿が出たことがある 膀胱鏡・CT(尿路) ・尿細胞診 危険因子:有害物質へのばく露、膀胱刺激症状、鎮痛薬の多用、骨盤への放射線照射の既往、 シクロホスファミドの投与歴、尿路への異物の長期留置。HPFは顕微鏡の1視野あたりの数です。

血尿診断ガイドライン2023「成人の血尿診断アルゴリズム」とBQ 10をもとに作成

女性にとって大事な境目は50歳と60歳です。

そして年齢に関係なく、喫煙歴があれば高リスクです。たばこは膀胱がんの大きな危険因子で、ガイドラインも中高年以上の男性、喫煙歴、ベンゼンや芳香族アミン(一部の染料や化学物質)へのばく露などを危険因子として挙げています。

膀胱鏡は怖い検査?

膀胱鏡は、尿道から細い内視鏡を入れて膀胱の中を見る検査です。抵抗を感じる方も多いと思います。ガイドラインは、膀胱鏡が難しい場合には膀胱と腎臓の超音波検査と尿細胞診で代わりにすること、その場合は尿の再検査を必ず行うことを示しています。どうしても不安なときは、代わりの方法があるかを医師に相談してみてください。

9. 血液をサラサラにする薬を飲んでいても

心臓や脳の病気の予防で、抗血小板薬や抗凝固薬(いわゆる血液をサラサラにする薬)を飲んでいる方は少なくありません。「薬のせいで血尿が出ているのだろう」と考えがちです。

ガイドラインの答えは、こうです。

「抗血小板薬または抗凝固薬を服用している患者において顕微鏡的血尿が認められた場合,服用が原因であると判断することは困難であるため,これらの薬物を服用していない患者と同様に評価を行う必要があり, リスク分類に基づく精査を考慮する。」

薬を飲んでいる人も、飲んでいない人と同じくらい悪性腫瘍のリスクがあるという前提で調べる、ということです。薬が原因と決めつけずに、8章のリスク分類に沿って確かめてください。もちろん、自己判断で薬をやめるのは危険です。

10.「異常なし」と言われたあと

精密検査を受けて「異常なし」。ほっとすると思います。けれどガイドラインは、こう書いています。

最初の精密検査で異常がなかった人で、その後に尿路の悪性腫瘍が見つかる確率は0〜数%程度。

「初回精査から 12 ヵ月以内に尿検査によって再度評価することを考慮する。」

少ないながらゼロではないため、1年以内に一度、尿検査を受け直すのが目安です。次の健診がちょうど1年後なら、それで十分なことも多いでしょう。その間に赤い尿が出たら、時期を待たずに受診してください。

11. 赤い尿・コーラ色の尿が出たら

目で見て尿が赤い、茶色いという肉眼的血尿は、健診の尿潜血とは別の扱いです。ガイドラインは、内科と泌尿器科の両方の立場から注意点をまとめています。

こんなとき考えること
コーラ色の褐色尿、強い蛋白尿、腎機能の低下、発熱、息苦しさや皮膚の症状など腎臓の急な炎症の可能性。内科的に緊急を要することがある
鮮やかな赤い尿で、喫煙歴や中高年以上尿路上皮がんなどを確かめるため、早めに泌尿器科へ
激しい運動のあと運動による血尿のこともある。ただし自己判断はせずに相談を

ガイドラインは、肉眼的血尿がある人(腎臓の急な炎症などの可能性が低い場合)には、尿路全体を写すCTを「行うことを推奨する」(推奨の強さ:強い)としています。目で見える血尿は、たとえ一度きりで止まっても、受診してください。

新型コロナワクチンのあとに

ガイドラインは最終章で、新型コロナワクチンと血尿についても触れています。mRNAワクチンの接種後に、尿がコーラ色や紅茶色になる肉眼的血尿が報告され、女性に多く、多くはIgA腎症でした。大部分は数日以内に消え、一時的でしたが、それまで気づかれていなかった腎臓の病気が表に出たと考えられています。ガイドラインは、ワクチン接種後に肉眼的血尿が出た場合は腎炎の可能性が高いため、腎臓内科を受診するよう勧めています。

12. 健診で、尿潜血を調べていないこともある

意外かもしれませんが、40〜74歳を対象にした特定健診(いわゆるメタボ健診)では、尿潜血は必須の項目ではありません。ガイドラインによると、2008年に特定健診が始まったとき、必須の尿検査は尿蛋白と尿糖だけになり、尿潜血は外されました。実施している保険者は38%という報告があります。

ガイドラインは、特定健診で尿潜血を調べることについて、男性では陽性者の死亡リスクが高いことや、費用対効果にきわめて優れることが示されていることから、「その妥当性が示唆されている。」としています。一方で、膀胱がんなどを対象にした公的ながん検診(対策型検診)として行うことは「現時点では妥当ではない。」としています。集団の死亡率を下げる効果を示した報告がないためです。

まずは、ご自分の健診で尿潜血を調べているか、結果票を確かめてみてください。健診全体の読み方は健康診断の記事にまとめています。

13. 🚨 受診の目安

受診をおすすめしたい状態

① 健診で尿潜血(+)以上(まずは条件をそろえて再検査を)

② 尿潜血と尿蛋白の両方が陽性、またはクレアチニン・eGFRに異常 → 腎臓内科

③ 50歳以上の女性・40歳以上の男性で、再検査でも血尿がある → 泌尿器科での精査を相談

④ 喫煙歴があり、血尿を指摘された

⑤ 目で見て赤い尿・コーラ色の尿が出た(一度きりでも)

⑥ 尿潜血に加えて、発熱、むくみ、息苦しさ、皮膚の症状がある(早めに)

この記事のまとめ

① 尿潜血は試験紙のふるい分け。顕微鏡で赤血球を数えて、はじめて血尿と決まる

② 健診で血尿を認める人は女性12.3%・男性3.5%。女性はがんの割合が低め

③ 採尿は月経時を避け、拭いてから中間尿。ビタミンCは偽陰性の原因に

④ 蛋白尿などを伴えば腎臓内科(IgA腎症など)、伴わなければ泌尿器科も

⑤ 尿路のがんのリスクは年齢・赤血球の数・喫煙で決まり、女性は50歳・60歳が境目

⑥ 血液をサラサラにする薬を飲んでいても、同じように調べる

⑦ 「異常なし」でも12か月以内に尿検査を。赤い尿が出たら時期を待たずに受診

14. よくある質問

健診で尿潜血(+)と言われました。がんの心配はありますか?

多くの場合は心配いりませんが、年齢などによって確かめ方が変わります。ガイドラインによると、顕微鏡でしか分からない血尿がある人のうち、尿路の悪性腫瘍が見つかるのは0.2〜5.2%で、その多くは膀胱がんです。海外の研究では、血尿が出てから3年以内に尿路のがんと診断された割合は、45歳未満の女性で0.22%、45〜54歳の女性で1.34%でした。年齢が上がるほど、またたばこを吸う人ほどリスクは高くなります。ガイドラインは、50歳以上の女性や喫煙歴がある人などを中リスク・高リスクとして、膀胱の内視鏡などの検査を考慮するとしています。まずは再検査で、本当に血尿があるかを確かめてください。

生理中に健診を受けてしまいました。どうすればいいですか?

結果が陽性なら、生理が終わってから再検査を受けてください。ガイドラインは採尿の注意として「女性で月経時は原則として避ける。」としていて、月経は、血尿の原因として最初に確かめるべき良性のものの一つに挙げられています。ガイドラインは、採尿したあとに「月経時採尿であること」を明記することも挙げています。生理中に受けた場合は、問診票や受付で伝えておくと、結果を判断する人の参考になります。

尿潜血と尿蛋白の両方が陽性でした。何科に行けばいいですか?

腎臓内科(腎臓専門医)への受診をおすすめします。ガイドラインは、血尿と一緒に蛋白尿や細胞円柱がみられる場合、血液のクレアチニンの値に異常がある場合などは腎炎・腎症を疑う、としています。そして、変形した赤血球などに加えて蛋白尿や腎機能の低下がある場合には、進行性の腎臓病の可能性が強く示唆されるため、早急に腎臓内科医に紹介する、としています。代表的な病気はIgA腎症です。健診の結果票(できれば過去の分も)を持って受診してください。

精密検査で「異常なし」と言われました。もう検査は受けなくていいですか?

1年以内に一度、尿検査を受けることをおすすめします。ガイドラインによると、最初の精密検査で異常がなかった人で、その後に尿路の悪性腫瘍が見つかる確率は0〜数%程度と報告されています。少ないながらゼロではないため、ガイドラインは発見が手遅れになるのを避けるために「初回精査から 12 ヵ月以内に尿検査によって再度評価することを考慮する。」としています。その間に、目で見て分かる赤い尿が出た場合は、時期を待たずに受診してください。

ビタミンCのサプリを飲んでいます。検査に影響しますか?

影響することがあります。尿潜血の試験紙は、ビタミンC(アスコルビン酸)があると反応が弱まり、本当は血尿があるのに陰性と出る(偽陰性)ことがあります。ガイドラインは、健診などで試験紙を使う場合は、採尿前に「アスコルビン酸を多く含むものの摂取を控える。」としています。サプリメントのほか、ビタミンCを多く含む清涼飲料などにも注意してください。前日から控えられない場合は、受付で伝えておくと安心です。陰性だったから安心、とは言い切れないこともある、と知っておいてください。

参考にした主な資料

凪
なぎ先生

内科系の臨床に15年ほど携わる医師。生活習慣病・ホルモン・栄養の相談を日常的に受けています。中立性の担保と診療継続のため、ペンネームで執筆しています。→ 運営者について

この記事は健康情報の提供を目的としたものであり、診断・治療に代わるものではありません。本文で紹介した定義・数値・リスク分類・検査の流れは、日本腎臓学会・日本泌尿器科学会ほか「血尿診断ガイドライン2023」にもとづくもので、公開時点の情報です。リスク分類は検査の進め方の目安であり、実際の検査は医師が症状や経過をふまえて判断します。健診で尿潜血を指摘された場合は、自己判断で様子をみずに再検査を受けてください。抗血小板薬・抗凝固薬などを服用中の方は、自己判断で中止しないでください。目で見て赤い尿やコーラ色の尿が出た場合、発熱やむくみを伴う場合は、早めに医療機関を受診してください。掲載内容の誤りにお気づきの際はお問い合わせからお知らせください。