1. 先に結論
| よくある思い込み | 資料の記述 |
|---|---|
| シミ・しわは年齢のせい | 光老化は加齢による老化とは質的に違う変化で、加齢の老化に上乗せの形で起こる |
| 小麦色の肌は健康的 | 色が黒くなる(サンタン)のは皮膚が傷害された結果。わざわざ浴びるのは余分な傷害を与えること |
| 日焼けサロンのUVAなら害はない | UVAも皮膚の細胞を酸化させ、深部まで届くので決して安全とはいえない |
| ビタミンDのために日光浴が必要 | 日常生活で知らず知らずに浴びる程度の紫外線で十分まかなわれ、食物からも摂れるのでまず不足することはない |
この記事でいちばんお伝えしたいこと。
学会は、光老化は予防可能で、また光線防御により多少とも元に戻る可能性があるとしています。紫外線の害はすぐには出ず、何十年もたってからシミ、しわ、ときに皮膚がんとして出てきます。
2.【核心】光老化と、普通の老化の違い
日本皮膚科学会の皮膚科Q&Aは、光老化と普通の老化の違いを次のように説明しています。
| 加齢による老化 | 光老化 | |
|---|---|---|
| 正体 | 年齢とともに体の生理的な機能が損なわれていくこと | 慢性の紫外線傷害 |
| 皮膚の厚さ・色 | 薄くなる方向に向かう | 紫外線への防御反応として、厚くゴワゴワになり、色も濃くなる。それがシミ、しわとなって現れる |
| 皮膚の張り | 年をとっただけでは下の変化は起こらない | 張りを保つ弾性線維が壊れてお団子状態になる(光線性弾性線維症)。張りがなくなり、しわやたるみができる |
出典:日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「日焼け」Q5をもとに整理
学会のたとえ:赤ちゃんの皮膚は、白くて弾力に富み滑らかな「絹のハンカチ」。お年寄りの日光に当たらない皮膚は、白いがカサカサして薄い「ティシュペーパー」。お年寄りの顔は、茶色くてゴワゴワし、曲げるとしわができる「ボール紙」。(日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「日焼け」Q5より要約)
学会は、紫外線は一度に大量に浴びれば日焼け(サンバーン)、少量でも長年浴び続ければ光老化を起こし、それはシミ、しわ、皮膚の良性・悪性の腫瘍として歳をとってから現れてくるとしています。シミの種類はシミと肝斑の記事、しわ・たるみの治療はシワ・タルミの記事で書いています。
3. 地上に届く紫外線——UVBとUVA
学会によると、紫外線は波長の長いほうからUVA、UVB、UVCに分けられます。UVCはオゾン層に吸収されるため、地表に届くのは少量のUVBと大量のUVAです。地表の紫外線量は、緯度、標高、天候、大気中のチリの量などで大きく変わります。
| UVB(280〜320nm) | UVA(320〜400nm) | |
|---|---|---|
| 日焼けを起こす力 | UVAの600〜1000倍強い | 弱いが、日光に大量に含まれる |
| 海水浴で真っ赤になったときの責任割合 | 7〜8割 | 2〜3割 |
| 届く深さ | — | 波長が長いほど深く入り、真皮まで届く |
| 細胞への害 | DNAに直接吸収されてDNAに傷をつける | 体内で活性酸素を生じ、膜や蛋白質、DNAに酸化的な損傷を与える |
シミ、しわ、皮膚がんなどの光老化にも、圧倒的にUVBの影響が強いものの、UVAも真皮まで届くという点で無視できないとされています。
4. 日焼けはどうして起こるのか
学会によると、日本語の「日焼け」には、紫外線で皮膚が赤くなるサンバーンと、そのあと黒くなるサンタンが含まれています。
- サンバーンは紫外線による皮膚のやけど。主役はUVBで、DNAに傷ができ、炎症を起こす物質が出る。翌日には皮膚が痛みを伴って赤く腫れ、1週間ほどで死んだ皮膚が薄い膜のようにはがれ落ちる
- サンタンは、この炎症でメラニンを作る細胞(メラノサイト)が刺激され、メラニンが大量に作られた結果。次の紫外線に備えた防御の仕組み
「大事なことは色が黒くなるサンタンは皮膚が傷害された結果起こる反応です。」(日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「日焼け」Q4)
5. フォトスキンタイプ——色の白い人ほど注意
学会によると、紫外線への反応は皮膚の色によって違い、6つのフォトスキンタイプに分けられています。
| スキンタイプ | 反応 |
|---|---|
| I | 常に赤くなり、決して皮膚の色が濃くならない |
| II | 常に赤くなり、その後少し皮膚の色が濃くなる |
| III | ときどき赤くなり、必ず皮膚の色が濃くなる |
| IV | 決して赤くならず、必ず皮膚の色が濃くなる |
| V | 皮膚の色がとても濃い |
| VI | 黒人 |
日本人はおよそスキンタイプII〜IVにあたります。学会は、光老化を起こしやすく皮膚がんになりやすいのは、スキンタイプI、IIに属する色の白い人だとしています。
6. 紫外線と皮膚がん、免疫の低下
学会によると、紫外線は細胞のDNAに傷をつけ、長年くり返されるうちに直し間違いが起こり、それががんに関わる遺伝子だと、その細胞は勝手に増えてがんになります。顔や手の甲など、長年日光を浴び続けた場所に出るがんには次のものがあります。
| がん | 資料の記述 |
|---|---|
| 日光角化症 | 60〜70歳代から多くなる。表面がカサカサして赤みを帯び、触るとざらざら、指先にちくっとした感じ。表皮内にとどまるがんで、この時点では転移しない。放っておくと有棘細胞がんに進むことがある |
| 有棘細胞がん | 大きなしこりとなり、中央がえぐれて出血したり、においを放ったりする。転移することがある |
| 基底細胞がん | 特に顔に多い。30〜40歳代から見られ、年齢とともに増える。黒く真珠のような光沢をもつ小さなしこりが何年もかけて大きくなる。痛みはほとんどない。転移はしない |
| メラノーマ | 転移が早い。ただし日本人では紫外線によるものは多くなく、紫外線と関係なく足にできるものが多い |
さらに学会は、紫外線には皮膚の免疫を抑える働き(光免疫抑制)があり、紫外線で皮膚にがん細胞ができたとき、それを異物と見なせず増殖を許してしまうとしています。紫外線は、皮膚がんを発生させると同時に増殖も許すという「ダブルパンチ」を皮膚に与えるわけです。メラノーマについてはほくろとメラノーマの記事で書いています。
7. 日焼けサロンは大丈夫か
日焼けサロンは、有害なUVBをコントロールして害のないUVAで肌を焼くのでダメージはない、とうたっています。これについて学会は、次のように説明しています。
- 色が黒くなるのは皮膚に傷害が起こった結果で、皮膚のダメージなしに褐色の肌は得られない
- UVAはUVBより害作用は弱いが、皮膚の細胞を酸化させ、深部まで届くので決して安全とはいえない
- 国内の皮膚科医へのアンケートで、150例を超す健康障害が見いだされた。主に当てすぎによる火ぶくれで、しみや眼の障害も見られた
学会は、若いときの見かけだけのために日焼けサロンを利用することは、皮膚科医としては勧められないとしています。
8. 光線防御のポイント
学会は、紫外線から皮膚を守るポイントとして、次の3つを挙げています。
- ライフスタイル:小麦色の肌を求めて海岸で体を焼くような不必要な日光浴は避ける。特に小児期から無用な紫外線を避ける
- 特殊な場所:赤道近くの国への旅行、照り返しの強い春スキー、紫外線が強い山では特に注意
- 物理的な遮断:日傘、広いつばが全周にある帽子、長袖、長ズボンで、皮膚に届く紫外線をできるだけ減らすことが第一。そのうえで、最後の砦として日焼け止めを塗る
日焼け止めについて、学会は次の点を挙げています。
- 日常生活で光老化を避けるくらいなら、さほど強いものは必要ない(日常生活の目安はSPF5・PA+、晴天下のスポーツや海水浴はSPF20・PA+++など)
- 大事なのは塗る量。実際には必要量の3分の2くらいしか塗っておらず、効果は半分くらいになる。顔なら真珠の玉2個分くらいを全体にのばし、3時間に1回くらい塗り替える
- 忘れやすいのは、うなじ、耳たぶ、胸、首、手の甲
- 紫外線吸収剤はまれにかぶれを起こすことがあるので、かゆみや赤みが出たら、「ノンケミカル」「吸収剤未使用」などと表示された散乱剤だけの製品が良い。ただし強い遮断力が必要な場合は、吸収剤入りのほうが効果的
SPF・PAの意味と、塗る量・塗り直しの詳しい話は日焼け止めの記事で書いています。
この章で扱った散乱剤だけの日焼け止めです。日本皮膚科学会の皮膚科Q&Aは、紫外線吸収剤でかゆみや赤みが出たら、「ノンケミカル」「吸収剤未使用」などと表示された散乱剤だけの製品が良いとしています。
※ 当サイトは、記事のなかで根拠を示したうえで推奨したものに限り広告を掲載しています。ここで紹介しているのは、紫外線吸収剤を使わず(紫外線散乱剤のみ)、美白有効成分を含まない化粧品の日焼け止めです(SPF32・PA+++、光アレルギーテスト・ノンコメドジェニックテスト済みとメーカーが表示)。学会は、強い遮断力が必要な場合は吸収剤入りの製品を挙げています。日焼け止めは、日傘・帽子・長袖などで紫外線を減らしたうえでの最後の砦です。塗って赤みやかゆみが出たときは使用を中止し、皮膚科に相談してください。
9. 皮膚科で相談したいとき
資料にあるもの
・顔や手の甲に、カサカサして赤みを帯び、触るとざらざらする部分がある(日光角化症のことがある)
・顔に、黒く光沢のある小さなしこりがあり、ゆっくり大きくなっている
・しこりの中央がえぐれて出血する
・日焼けサロンなどで火ぶくれができた
・日焼け止めでかゆみや赤みが出た
最後に、この記事の要点をもう一度。
① 顔のシミ・しわは、加齢だけでなく光老化(慢性の紫外線傷害)が上乗せされたもの
② 光老化では皮膚が厚くゴワゴワになり、弾性線維が壊れてしわ・たるみができる
③ 色が黒くなる日焼けは皮膚が傷害された結果。日焼けサロンも安全とはいえない
④ 色の白い人(スキンタイプI、II)ほど光老化と皮膚がんに注意
⑤ 防御は日傘・帽子・長袖が第一、日焼け止めは最後の砦。光老化は予防可能
10. よくある質問
光老化とは何ですか?
日本皮膚科学会によると、長年の紫外線による慢性の傷害で、加齢による老化とは質的に違う変化として、加齢の老化に上乗せの形で起こります。皮膚が厚くゴワゴワになり、色が濃くなってシミやしわが現れ、張りを保つ弾性線維が壊れてしわやたるみができます。
光老化は防げますか?元に戻りますか?
学会は、光老化はその気になれば予防可能なもので、光線防御により多少とも元に戻る可能性があるとしています。紫外線の害はすぐには出ず、何十年もたってからシミ、しわ、ときに皮膚がんとして出てくるので、若いうちから余分な紫外線を浴びない工夫が必要です。
UVBとUVAは、どう違いますか?
学会によると、日焼けを起こす力はUVBがUVAの600〜1000倍強く、海水浴で真っ赤になったときの責任割合はUVBが7〜8割です。UVBはDNAに直接傷をつけ、UVAは活性酸素を介して酸化的な損傷を与えます。UVAは真皮まで届くので、光老化への作用も無視できません。
日焼けで黒くなるのは、肌を守っているのではないのですか?
学会によると、黒くなるサンタンは、次の紫外線に備えた防御の仕組みではありますが、皮膚が傷害された結果起こる反応です。色を黒くするためにわざわざ紫外線を浴びることは、皮膚に余分な傷害を与えることになるとしています。
日焼けサロンなら安全ですか?
学会によると、皮膚のダメージなしに褐色の肌は得られず、UVAも細胞を酸化させ深部まで届くので、決して安全とはいえません。国内の皮膚科医へのアンケートでは150例を超す健康障害(火ぶくれ、しみ、眼の障害など)が見いだされ、学会は皮膚科医としては勧められないとしています。
ビタミンDのために日光浴は必要ですか?
学会によると、ビタミンDは、あえて日光を浴びなくても日常生活で知らず知らずに浴びる程度の紫外線で十分まかなわれ、食物からも摂れるので、まず不足することはないとしています。
参考にした主な資料
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「日焼け」(Q1〜Q14)