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MEDICALLY REVIEWED BEAUTY & HEALTH

日焼け止めの選び方・塗り方
——SPF・PAの本当の意味と、「量」の話

このサイトでは、どの記事でも「まず紫外線対策を」と書いてきました。飲むコラーゲンの回でも、糖化の回でも、いちばん確からしい肌の対策として挙げ続けてきました。今回はその本丸です。なぜ紫外線がそこまで重要なのか、SPFとPAは何を表しているのか、そして——多くの人が見落としている「塗る量」の問題。高価な美容品を買う前に、ここを整えるだけで結果が変わります。

執筆:なぎ先生(内科医) 公開:2026年7月30日 読了:約11分

1. 先に結論

論点 この記事で言えること
なぜ紫外線対策が最優先? 環境省の資料では、シミやシワといった光老化の約80%は太陽紫外線が原因と考えられているとされています。
SPFとPAの違いは? SPFは主に「赤くなる日やけ」(UVB)、PAは「UVA」への指標。シワにはUVAも関わるため、両方を見ます。
数値は高いほどいい? 場面に合わせるのが現実的。ただし数値選びより「量」が結果を左右します。
【最重要】量はどのくらい? 🚨 試験は2mg/cm²で測定。実際は半分以下しか塗られておらず、環境省の資料では0.5mg/cm²だとSPF16がSPF2相当になり得ると指摘されています。
飲む日焼け止めは? 塗るものの代わりにはなりません。まず塗る量を確保するほうが確実です。

この記事でいちばん持ち帰っていただきたいのは、「SPF50を薄く塗るより、SPF30をしっかり塗るほうがいい」ということです。日焼け止めは、選ぶ段階より使う段階でつまずいている人が圧倒的に多い。そこを直すのが、いちばん費用のかからない美容対策です。

2. なぜ「紫外線対策が最優先」なのか

まず、なぜこのサイトが繰り返し紫外線を挙げるのか。その根拠をはっきり示しておきます。

光老化——「約8割」という数字

環境省の紫外線に関する資料には、こう書かれています。光老化とは、長年太陽光線を浴びた皮膚に見られるシミやシワなどの老化症状であり、日光を浴びない皮膚の老化に比べると若い年齢で現れ、約80%は太陽紫外線が原因と考えられている——と。

この数字の意味を、少し考えてみてください。私たちが「年齢のせい」と思っている肌の変化のうち、大部分は「年齢」ではなく「浴びてきた紫外線」の結果かもしれない、ということです。つまり——避けられる部分がそれだけ大きい。これは、肌の老化について語られるあらゆる話のなかで、いちばん希望のある事実だと私は思っています。

さらに同資料は、日光を浴びない皮膚の老化と比べ、光老化した皮膚では真皮の上層に変性した弾性線維が蓄積していることにも触れています。肌のハリを支える土台そのものが変わってしまう。これは、化粧品を塗って表面から取り戻すのが難しい部分です。だからこそ、先に防ぐことに価値があります。

シミはUVB、シワはUVBとUVA

もう一つ、同資料の重要な記述があります。「シミは主にUV-Bで生じるが、シワはUV-BとUV-Aが原因で発症する」。ここがSPFとPAを両方見る理由につながります。

そして波長の長いUVAについては、UVBに比べて遺伝子の傷(CPD)をつくる力は千分の一程度と小さいものの、皮膚の免疫抑制や光老化の原因となるとされています。つまり「赤くならないから大丈夫」ではないのです。ヒリヒリしないまま、静かに進む変化がある。ここが、日焼けを「痛くなければ問題ない」と考えていると見落とすポイントです。

「今日は曇りだから」「室内だから」の落とし穴

この「赤くならないUVA」の性質は、日常の判断にそのまま関わってきます。UVAは波長が長いぶん、雲や窓ガラスをある程度通り抜けるという特徴があります。ですから——

そして紫外線量は季節や時間帯だけでなく、標高や地表の反射でも変わります。雪山やスキー場、砂浜、水面の近くでは、上からと下からの両方を浴びることになります。「日差しが強くないから平気」という体感は、UVAについてはあまり信用できない——これを知っておくと、日常の判断がぐっと正確になります。

肌の変化には、紫外線以外の要因も関わります。女性ホルモンの変化、そして血糖の状態を通じた糖化(AGEs)も土台の質に影響します。全体像は40代からの体の変化 完全ガイドにまとめています。そのなかで紫外線対策は、いちばん確からしく、いちばん安く実行できる一手です。

3. SPFとPA——何を表す数字なのか

店頭で並ぶ「SPF50+ PA++++」。この記号の意味を、正確に押さえておきましょう。出典は日本化粧品工業会の説明です。

表示 正式名称 何を表すか
SPF Sun Protection Factor 主としてUVBによるサンバーン(赤くなる日やけ)の防止効果。数値が大きいほど防止効果が高い
PA Protection Grade of UVA UVAの防止効果。「+」「++」「+++」「++++」の4段階で、+が多いほど高い

「SPF50+」の「+」の意味

よく聞かれるのがこれです。なぜ「51」や「60」ではなく「50+」なのか。日本化粧品工業会の説明によれば、SPFが50程度あれば、紫外線の強い場所や紫外線に過敏な人でもUVBによる炎症を防止できるとの考えから、測定してSPFが50より有意に高い場合には「SPF50+」と表示することになっています。

つまり「50+」は「50以上」を意味するまとめ表記で、それ以上は数字で競う意味が薄いという判断が背景にあります。「100と書いてある方が2倍守ってくれる」わけではありません。ここを知っておくと、数字の大きさに引っぱられずに選べます。

数字と防御率の関係

もう一つ、直感とずれやすい点を補足します。SPFの数値と、実際に防げる紫外線の割合は比例しません。ざっくり言えば、SPF15で約93%、SPF30で約97%、SPF50で約98%程度のUVBを防ぐという説明がよく使われます。

お気づきでしょうか。15から30に上げても、増える防御は数%程度です。だからこそ「数値を上げること」より、次章の「量を確保すること」のほうが、はるかに大きく結果を変えるのです。

SPFは「時間」の指標ではない

もう一つ、よくある誤解を解いておきます。「SPF30なら30倍の時間もつ」「SPF50なら朝塗れば一日安心」——こうした理解をされている方が少なくありません。

SPFの数値は、もともとは「何も塗らないときと比べて、赤くなり始めるまでの時間が何倍に延びるか」という考え方から出ています。ですから理屈のうえでは時間と関係があります。しかし実生活では、この計算がそのまま当てはまることはほぼありません。汗で流れる、衣服やマスクでこすれて落ちる、無意識に顔を触る、そもそも規定量を塗れていない——こうした事情が重なるためです。

ですから「SPFの数字=もつ時間」と考えるのはやめて、「数値はその製品の強さ、実際の守りは量と塗り直しで決まる」と捉え直してください。この理解だけで、日焼け止めの使い方は大きく変わります。

4. いちばん大事なのは「量」

ここが、この記事の心臓部です。多くの人が、ここでつまずいています。

SPFは「2mg/cm²」という条件で測られている

SPFやPAの数値は、決まった条件で測定されます。その条件が、肌1平方センチメートルあたり2mgを塗る、というものです。この量を塗ったときに初めて、パッケージの数字が意味を持ちます。

ところが、実際にはどうか。複数の研究が、私たちはその半分以下しか塗っていないと報告しています。近年の大規模な調査では、日常生活での塗布量は顔に約0.89mg/cm²、体に約0.85mg/cm²程度でした。規定の半分以下です。

その結果どうなるか。環境省の資料は、はっきりこう指摘しています。サンスクリーン剤は性能評価試験に用いられた用量(2mg/cm²)ではなく、より低用量(0.5mg/cm²)で用いられることが多く、その場合には表記されたSPFの性能は認められない——「SPF16→SPF2」と。

塗る量と、実際に得られる効果 2mg/cm²=試験と同じ量 表示どおりの効果が期待できる 約0.85mg/cm²=実際に多い量 効果は表示より大きく下がる 0.5mg/cm²だと SPF16 → SPF2 相当(環境省資料)
塗る量が減ると、得られる効果は表示から大きく離れていきます。環境省の資料では、0.5mg/cm²で使用した場合、表記されたSPFの性能は認められないとされ、SPF16がSPF2相当になる例が示されています。

SPF16がSPF2。これは「ほぼ塗っていないのと大差ない」水準です。高いSPFを買ったのに、薄く伸ばして安心している——それが、いちばんもったいない使い方だということが分かります。

では、どのくらい塗ればいいのか

「2mg/cm²」と言われてもピンとこないので、実用的な目安に翻訳します。

部位 目安
顔全体 クリームなら真珠2粒分ほど、液状なら500円玉大ほど。「多いかな」と感じる量が、だいたい適量です
腕・脚など 容器から線状に長く出して、広げる。少量を薄く伸ばすのは避ける
コツ 一度に広げず、2回に分けて重ねると塗り残しが減り、量も確保しやすい

ポイントは、ケチらないことです。高価な日焼け止めを少量ずつ使うより、手頃な価格のものをたっぷり使うほうが、実際の防御は上がります。日焼け止めは「節約する場所ではない」と覚えておいてください。

塗り忘れが多い場所。耳、首の後ろ、髪の分け目、鼻の下、目のまわり、手の甲、足の甲——ここは意識しないと抜けます。とくに首の後ろと耳は、自分では見えないぶん忘れやすい部位です。鏡で確認するか、手順を決めてしまうと安定します。

5. 場面別の選び方

量の話をした上で、選び方です。結論はシンプルで、生活の場面に合わせて濃淡をつけるのが現実的です。

場面 目安 考え方
屋内中心・短時間の外出 SPF20〜30/PA++〜+++ 塗り心地の良いものを選び、毎日続けられることを優先
通勤・買い物・洗濯など SPF30前後/PA+++ 環境省資料でも、健康維持の目安としてSPF30が推奨されるケースがよく見られるとされています
屋外の長時間・スポーツ・海や山 SPF50+/PA++++・耐水性 汗や水に強いタイプを選び、こまめに塗り直す

毎日SPF50+を使わなければいけない、というものではありません。むしろ大切なのは「続けられること」です。使い心地が悪くて塗るのが億劫になるくらいなら、少し数値を落として快適なものを毎日たっぷり塗るほうが、年間トータルでは確実に守れます。

「紫外線吸収剤」と「紫外線散乱剤」

成分表示で見かける2つのタイプにも触れておきます。紫外線を吸収して熱などに変える吸収剤タイプと、粉体で反射・散乱させる散乱剤(ノンケミカル)タイプです。一般に吸収剤は伸びがよく白くなりにくい一方、肌に刺激を感じる方もいます。散乱剤は刺激が比較的少ないとされますが、白浮きしやすい傾向があります。

どちらが優れているという単純な話ではなく、肌に合って、毎日たっぷり塗れるほうが、あなたにとっての正解です。ヒリヒリする、赤くなる、かゆくなるといった症状が出る場合は使用を中止し、続くようなら皮膚科に相談してください。

6. 塗り直しと、日焼け止め以外の手段

塗り直しは、量と同じくらい大事

朝しっかり塗っても、日焼け止めは時間とともに落ちていきます。汗、皮脂、衣服やマスクとの摩擦、無意識に顔を触ること——これらで少しずつ失われます。環境省の資料も、塗り直しが不十分なケースが少なくないと指摘しています。

メイクの上から塗り直しにくい場合は、パウダーやスプレータイプを併用する方法もあります。完璧を目指すより、「一度塗ったら終わり」から抜け出すことが実質的な改善になります。

塗るだけが対策ではない

そして、いちばん効率がよいのは物理的に避けることです。環境省の資料でも、日陰を利用する、帽子や日傘を使う、衣服で覆う、日焼け止めを塗る——といった方法が挙げられています。日焼け止めは、そのうちの一つに過ぎません。

日焼け止めを塗り忘れた日も、日陰を歩き、帽子をかぶれば、それは立派な対策です。「ゼロか百か」ではなく、積み重ねで考えてください。

7. 「飲む日焼け止め」はどうなのか

近年よく見かける「飲む日焼け止め」。ここは、このサイトが得意とする検証の視点で見ていきます。②の飲むコラーゲンの記事と同じ物差しです。

これらの製品には、シダ植物由来の成分など、紫外線による影響をやわらげる方向の作用が研究されている成分が使われることがあります。仕組みとして検討されているものはあり、頭から否定するものではありません。

ただし、押さえておくべき点があります。

結論としては、「補助としてなら検討の余地はあるが、優先順位は低い」——これが現時点での誠実な位置づけです。何度も繰り返しますが、この分野でいちばん効くのは塗る量を増やすことです。それはお金ではなく、習慣の問題です。

この記事を書いていて、あらためて思ったことがあります。美容の世界には、次々と新しい商品や成分が登場します。そのたびに「これを買えば変わるかも」と期待させられる。けれど紫外線対策は、そうした流行とは無縁の場所にあります。何十年も前から分かっていて、いまも変わらず有効で、しかもいちばん安い。ただ、地味なぶん軽視されやすいだけなのです。

ですから、もし今日ひとつだけ行動を変えるなら——新しい美容液を探すのではなく、いま持っている日焼け止めを、いつもの倍の量で塗ってみてください。それが、この記事でお伝えできるいちばん確実な提案です。

ビタミンDのことも一言。紫外線を完全に避けると、体内でつくられるビタミンDが不足しないか心配される方がいます。実際、紫外線には骨の健康に関わるビタミンDをつくるという良い面もあります。ただ、日常生活で手のひらや腕に短時間日が当たる程度でも生成は進むとされ、食事(魚やきのこ類)からも摂れます。極端に閉じこもる必要はなく、顔を守りつつ、普通に生活するくらいのバランスで問題になることは通常ありません。心配な方は健診の機会に相談してみてください。

8. よくある質問

SPFとPAは、それぞれ何を表しているのですか?

日本化粧品工業会の説明では、SPFはSun Protection Factorの略で、主としてUVBによるサンバーン(赤くなる日やけ)の防止効果を表し、数値が大きいほど防止効果が高くなります。PAはProtection Grade of UVAの略で、UVAの防止効果を+の数(+〜++++)で表します。つまりSPFは主に赤くなる日やけ、PAはしわなどに関わるUVAへの指標です。両方を見ることが大切です。

数値が高ければ高いほど良いのですか?

必ずしもそうではなく、場面に合わせるのが現実的です。日常の通勤や買い物ならSPF20〜30・PA++〜+++程度でも足りることが多く、屋外スポーツや海・山などではSPF50+・PA++++が向きます。ただし高い数値を選んでも、塗る量が少なければ表示どおりの効果は得られません。数値選びより、量と塗り直しのほうが結果を左右します。

どのくらいの量を塗ればいいのですか?

SPFやPAの試験は1平方センチメートルあたり2mgという量で測定されています。ところが実際には、その半分以下しか塗られていないという報告が複数あります。環境省の資料でも、0.5mg/cm²で使うとSPF16がSPF2相当になり得ると指摘されています。顔全体なら、クリームで真珠2粒分程度、液状なら500円玉大程度が一つの目安です。ケチらず、たっぷり塗ることが何より大切です。

塗り直しは必要ですか?

必要です。汗や皮脂、衣服やマスクとの摩擦で日焼け止めは落ちていきます。塗り直しが不十分なケースが少なくないことは、環境省の資料でも指摘されています。屋外にいる日は2〜3時間おき、汗をかいたり水に入ったりしたあとはその都度が目安です。朝に一度塗って終わりでは、夕方には効果がかなり落ちていると考えてください。

曇りや冬、室内でも日焼け止めは必要ですか?

しわなどの光老化に関わるUVAは、雲や窓ガラスをある程度通過します。ですから曇りの日や、窓際で長く過ごす日にも一定の対策には意味があります。ただし神経質になりすぎる必要はありません。真夏の炎天下と、冬の短時間の外出では、必要な強さは当然違います。生活に合わせて濃淡をつけるのが現実的です。

この記事のまとめ。シミやシワといった光老化の約80%は紫外線が原因と考えられており、だからこそ紫外線対策は、いちばん確からしく安い肌の投資です。SPFは主にUVB(赤くなる日やけ)、PAはUVAの指標で、シワには両方が関わります。そして最重要なのが——試験は2mg/cm²で行われるのに実際は半分以下しか塗られておらず、0.5mg/cm²ではSPF16がSPF2相当になり得ると環境省の資料は指摘しています。つまり「SPF50を薄く」より「SPF30をたっぷり」。そこに塗り直しと、日陰・帽子・日傘を足す。飲むタイプは代わりにはなりません。今日から変えられて、お金もほとんどかからない——これが、このサイトが繰り返し紫外線対策を挙げてきた理由です。

参考にした主な資料

なぎ先生

内科系の臨床に15年ほど携わる医師。生活習慣病・ホルモン・栄養の相談を日常的に受けています。中立性の担保と診療継続のため、ペンネームで執筆しています。→ 運営者について

この記事は健康情報の提供を目的としたものであり、診断・治療や特定商品の推奨を行うものではありません。日焼け止めの使用により、赤み・かゆみ・刺激などが生じた場合は使用を中止し、症状が続くときは皮膚科にご相談ください。しみ・ほくろの色や形が変化した場合、治りにくい傷や皮膚のできものがある場合は、自己判断せず医療機関を受診してください。掲載内容は公開時点の情報にもとづいており、内容の誤りにお気づきの際はお問い合わせからお知らせください。