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肌

痒疹・皮膚そう痒症とは
——虫刺されのようなポツポツが続くとき、皮膚に何もないのにかゆいとき

虫刺されのようなかゆいポツポツが、いくつもできて消えない。あるいは、皮膚を見ても何もないのに、体中がかゆい——かゆくて夜も眠れない、という大きな悩みになることがあります。
日本皮膚科学会によると、前者は痒疹(ようしん)、後者は皮膚そう痒症と呼ばれます。
どちらも原因ははっきりしないことが多い一方で、内臓の病気や薬が関係している場合もあります。違い、原因、検査、治療を整理します。

執筆:なぎ先生(内科医) 公開:2026年11月3日 読了:約6分

1. 先に結論

よくある思い込み資料の記述
血液検査で異常がなければ、体の問題はない痒疹では、一般的な血液検査をしても異常のないことがしばしばある。一方、中高年以上で症状がとてもひどい場合には、何らかの内臓の病気と関連していることがある
皮膚に何もないなら、気のせい皮膚を見ても何もできていないのにかゆみを感じる病気があり、皮膚そう痒症と呼ばれる。腎臓、肝臓・胆道、糖尿病、ホルモン異常、血液や内臓の悪性腫瘍、内服薬などが原因になっていることもある
かゆみなら、抗ヒスタミン薬で止まる皮膚そう痒症のかゆみは、ヒスタミン以外の物質によっても生じていると考えられ、抗ヒスタミン薬ではある程度の効果にとどまり、完全にかゆみをとめることはできない
検査をすれば、原因はかならず見つかる誘因は人それぞれで、詳しい検査をしてもなにも見つからないこともよくある

この記事でいちばんお伝えしたいこと。

痒疹も皮膚そう痒症も、はっきりした原因がわからないことが少なくありません。ただ、学会は中高年以上で症状がとてもひどい痒疹では内臓の病気と関連していることがあるとしていて、皮膚そう痒症でも内臓の病気や内服薬が原因になっていることがあるとしています。皮膚だけの問題と決めつけず、いろいろな検査で問題になるところを探していく病気です。

2. 痒疹と皮膚そう痒症の違い

痒疹皮膚そう痒症
皮膚の見た目非常にかゆい、ポツポツとした赤い皮膚のもりあがり(丘疹)がパラパラとちらばる皮膚を見てもなにもできていない
できる場所すねのあたりやお腹まわりに限られるタイプから、体中にできるタイプまで様々全身いたるところがかゆくなるものと、陰部、肛門周囲、顔や頭など限られたところだけかゆくなるものがある
続き方など丘疹が1週間程度で消える急性のものから、何か月も消えず茶色の硬いイボのようになる慢性のものまである発作的に「痒みが襲ってくる」「体の中から痒みが湧いてくる」という方もよくみられる

出典:日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「痒疹(ようしん)・かゆみ」Q1、Q5、Q6をもとに整理。

3. 痒疹はなぜできるのか

学会によると、痒疹ができる理由は、今のところはっきりとわかっていません。関係することがあるものとして、次が挙げられています。

4.【核心】検査で何を探すのか

学会によると、痒疹では一般的な血液検査をしても異常のないことがしばしばあります。しかし、誘因は人それぞれなので、いろいろな検査をしながら問題になるところを探していきます。関連があるものとして、次が挙げられています。

資料の記述
糖尿病・透析糖尿病の方や透析をうけている方には、痒疹がよくみられる
内臓などの病気ホルモンの異常、肝臓・胆道系の異常、血液の病気、そのほかいろいろな悪性腫瘍がかくれていることもあるといわれている
金属アレルギー歯科金属や、食べ物に含まれる金属のアレルギーで痒疹になる人もいる
慢性の細菌感染鼻・のどや歯に慢性の細菌感染があり、その治療でよくなることもある。この細菌感染は自覚症状が全くないことが多く、注意が必要とされている

出典:日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「痒疹(ようしん)・かゆみ」Q3をもとに整理。

ただし、詳しい検査をしても、残念ながらなにも見つからないこともよくあります。

5. 痒疹の治療

資料の記述
ステロイド外用薬多くはこれを用いる
抗ヒスタミン薬かゆみに対して用いる
デュピルマブ(皮下注射薬、自己注射可能)アトピー性皮膚炎の治療薬として知られる。結節性痒疹に保険適用になった。費用はかかるが、従来の治療法に比べて高い効果が期待できる
紫外線療法体中にある場合に行うことがある。かゆみにもよいとされる
保湿薬しっかり塗ったほうがよい場合もある
液体窒素による冷凍凝固療法かゆいイボのようなかたまりがなかなか消えないときに行う
ビタミンD3軟膏有効なこともある

出典:日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「痒疹(ようしん)・かゆみ」Q4をもとに整理。薬の量は主治医の判断によります。

資料は、ステロイド外用薬と抗ヒスタミン薬以外は保険適用外の治療としたうえで、デュピルマブが結節性痒疹に保険適用になったことを挙げています。適用の範囲は変わることがあるので、主治医に確認してください。

症状が非常にひどいときには、ステロイド薬や免疫抑制薬の内服が行われますが、学会はこの病気で長く飲み続けることは望ましいことではないとしています。今後も新しい治療薬の登場が見込まれています。

6. 皮膚そう痒症はなぜかゆいのか

学会によると、皮膚そう痒症でかゆみが起こるメカニズムは、十分には解明されていません。原因になっていることがあるものとして、次が挙げられています。

これらによるかゆみの起こり方は、蕁麻疹や湿疹のときにみられるかゆみとは同じではないといわれています。

7. 皮膚そう痒症の治療

資料の記述
原因の病気の治療原因となっている病気がある場合には、その治療が必要
保湿薬肌が乾燥していることも多いので、しっかり塗ることも大切
抗ヒスタミン薬ある程度の効果が期待できるが、完全にかゆみをとめることはできない
漢方薬効果はまちまち
ナルフラフィン塩酸塩(内服薬)腎不全で血液透析をうけている方や、慢性的に肝機能障害がある方のかゆみに使用される
抗不安薬、抗うつ薬、末梢神経痛に使用する薬どうしてもよくならないときに試みられるが、保険適用外
紫外線療法行われることがある(保険適用外)

出典:日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「痒疹(ようしん)・かゆみ」Q7をもとに整理。

乾燥によるかゆみの手当ては乾燥肌とかゆみの記事で、じんましんはじんましんの記事で書いています。

最後に、この記事の要点をもう一度。

① 痒疹はかゆいポツポツが続く病気。皮膚そう痒症は皮膚に何もないのにかゆい病気

② はっきりした原因は不明なことが多いが、内臓の病気や内服薬が関係することがある

③ 痒疹では歯科金属などの金属アレルギーや、自覚症状のない鼻・のど・歯の慢性の細菌感染が関係することも

④ 痒疹の治療はステロイド外用薬と抗ヒスタミン薬が中心。結節性痒疹にはデュピルマブが保険適用に

⑤ 皮膚そう痒症では、原因の病気の治療と保湿薬が大切

8. よくある質問

痒疹とはどんな病気ですか?

日本皮膚科学会によると、非常にかゆいポツポツとした赤い皮膚のもりあがり(丘疹)がちらばってできる病気です。丘疹が1週間程度で消える急性のものから、何か月も消えず茶色の硬いイボのようになる慢性のものまであります。

皮膚に何もないのにかゆいのはなぜですか?

学会によると、皮膚を見てもなにもできていないのにかゆみを感じる病気を皮膚そう痒症といいます。メカニズムは十分には解明されていませんが、肌の乾燥のほか、腎臓、肝臓・胆道、糖尿病、ホルモン異常、血液や内臓の悪性腫瘍、内服薬などが原因になっていることがあります。

痒疹ではどんな検査をしますか?

学会によると、一般的な血液検査では異常のないことがしばしばあります。誘因は人それぞれなので、内臓の病気、歯科金属などの金属アレルギー、鼻・のどや歯の慢性の細菌感染など、いろいろな検査をしながら問題になるところを探します。詳しい検査をしてもなにも見つからないこともよくあります。

痒疹の治療にはどんなものがありますか?

学会によると、多くはステロイド外用薬と抗ヒスタミン薬を用います。体中にある場合の紫外線療法、かたまりへの液体窒素による冷凍凝固療法、ビタミンD3軟膏などもありますが保険適用外です。デュピルマブは結節性痒疹に保険適用になりました。

皮膚そう痒症に抗ヒスタミン薬は使えますか?

学会によると、ある程度の効果が期待できます。ただ、皮膚そう痒症のかゆみはヒスタミン以外の物質によっても生じていると考えられ、完全にかゆみをとめることはできません。原因の病気の治療や、保湿薬をしっかり塗ることも大切です。

参考にした主な資料

凪
なぎ先生

内科系の臨床に15年ほど携わる医師。生活習慣病・ホルモン・栄養の相談を日常的に受けています。中立性の担保と診療継続のため、ペンネームで執筆しています。→ 運営者について

この記事は健康情報の提供を目的としたものであり、診断・治療に代わるものではありません。本文で紹介した内容は、日本皮膚科学会の皮膚科Q&A「痒疹(ようしん)・かゆみ」にもとづくもので、公開時点の情報です。保険適用の有無や治療の選択肢は変わることがあるため、主治医に確認してください。薬は自己判断で変えたりやめたりせず、主治医に相談してください。掲載内容の誤りにお気づきの際はお問い合わせからお知らせください。