当サイトの情報は健康情報の提供を目的としたものであり、診断・治療に代わるものではありません
MEDICALLY REVIEWED BEAUTY & HEALTH
肌

皮膚がんとは
——「ほくろ」や「湿疹」に似ている。早期なら手術でほぼ根治できる

顔のほくろのようなもの、治らない湿疹のようなもの、陰部のジクジクが気になる方に向けた記事です。
日本皮膚科学会によると、メラノーマ(ほくろのがん)以外の皮膚がんには、基底細胞癌、日光角化症、ボーエン病、有棘細胞癌、乳房外パジェット病などがあり、それぞれほくろや湿疹に似た見た目をしています。
いずれも60歳以上で多くなり、進行していなければ手術でほぼ根治が可能です。

執筆:なぎ先生(内科医) 公開:2026年10月29日 読了:約7分

1. 先に結論

よくある思い込み資料の記述
がんなら見ればすぐ分かる基底細胞癌はほくろに、日光角化症とボーエン病は湿疹に、乳房外パジェット病は湿疹やいんきんたむしに似ている
皮膚がんは命に関わる日光角化症とボーエン病は表皮内がんで転移しない。進行していなければ、いずれも手術でほぼ根治が可能
原因は紫外線だけ紫外線のほか、ウイルス(HPV)、ひどいやけどのあと、治りにくく繰り返す傷なども原因になる
陰部は人に見せにくいので様子を見る学会は、外陰部など見せにくい場所でも皮膚科専門医に相談することを勧めている

この記事でいちばんお伝えしたいこと。

学会は、早期発見にはふだんから自分の皮膚や手、爪を見ることが大切だとしています。いつもと違うものが出てきた、色が黒い・赤い、触ると硬い・痛い——気になる部分が出てきたら、自己判断せずに皮膚科専門医に相談してください。

2. 皮膚がんの種類——どの細胞ががんになるか

日本皮膚科学会の皮膚科Q&Aによると、皮膚がんは、皮膚を作っている正常な細胞ががん化したものです。

がん化する細胞がん
メラノサイト(色素を作る細胞)メラノーマ
角化細胞(垢を作る表皮の細胞)日光角化症、ボーエン病、有棘細胞癌
毛包基底細胞癌
アポクリン腺(わきや陰部にある汗腺)乳房外パジェット病

メラノーマについてはほくろとメラノーマの記事で書いています。

3.【核心】見た目——ほくろ・湿疹に似ている

学会は、それぞれの典型的な症状を次のように説明しています。

がん似ているもの資料の記述
基底細胞癌ほくろよく見ると、ほくろよりテカテカしていて、小さく黒い粒が集まって見える。中央がへこんでいたり、軽い刺激で出血しやすい
日光角化症湿疹かさぶたがついた、赤みを帯びた、円形・楕円形やいびつな形
ボーエン病湿疹赤、褐色、黒色が入り混じった色。かさぶたがついた、円形・楕円形やいびつな形
有棘細胞癌—皮膚から突き出た赤いしこり。初めは乾いているが、進むと浸出液が出て、においを放つようになる
乳房外パジェット病湿疹、いんきんたむし赤くジクジクしている。茶色が混じったり、白く色が抜けたところが混じる。進むとしこりができることがある

出典:日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「メラノーマ以外の皮膚悪性腫瘍」Q2をもとに整理

4. 出やすい年齢と部位

学会によると、5つのがんはいずれも60歳以上で多くなるといわれています。

がん男女比出やすい部位
基底細胞癌わずかに男性に多い顔が最多
日光角化症わずかに女性に多い日光にさらされる部位。顔、高齢男性の頭、手の甲
ボーエン病わずかに女性に多い脚が最多。次いで体幹、腕。爪に出ることもある
有棘細胞癌わずかに男性に多い頭頸部が最多。次いで体幹、腕
乳房外パジェット病男性に多い外陰部(性器のまわり)が最多。次いでわき、肛門のまわり。女性では大陰唇に多い

5. 原因

紫外線が皮膚に与える影響(光老化)については光老化の記事で書いています。

6. 治療と、治療成績

学会によると、5つのがんは、いずれも進行していなければ手術のみでほぼ根治(こんち)が可能です。治療成績は、ほかの臓器のがんと同じく5年生存率で示されています。

がん主な治療治療成績
基底細胞癌手術。ほとんど転移しない。放射線治療のことも早期なら手術で約90〜95%以上
日光角化症手術。イミキモドクリーム(塗り薬)、凍結療法も手術でほぼ100%。塗り薬での病変消失率は約55〜85%
ボーエン病手術。5-FU軟膏(抗がん剤の塗り薬)、凍結療法も手術でほぼ100%。5-FU軟膏では再発率が約10%
有棘細胞癌早期は手術。転移が疑われるとリンパ節の検査や切除。大きい場合は放射線治療、転移があれば手術・抗がん剤・放射線を組み合わせる転移がなく早期ならほぼ100%。大きい・深い場合は約80%。リンパ節転移があるとさらに下がる
乳房外パジェット病早期は手術。転移が疑われるとリンパ節の検査や切除早期なら約90%以上。2個以上のリンパ節に転移していると予後が悪くなる

出典:日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「メラノーマ以外の皮膚悪性腫瘍」Q5・Q6をもとに整理。Q&Aは新しい治療として、海外で使われ始めた薬(有棘細胞癌の転移に対するPD-1阻害薬など)も紹介していますが、国内の承認状況は記載時点のものです。

7. 予防——紫外線と、治りにくい傷

学会は、皮膚がんの原因として挙げられているのは、紫外線を浴びること、井戸水中のヒ素、慢性炎症だとしています。

日焼け止めの選び方と塗り方は日焼け止めの記事で書いています。

広告

この章で扱った日焼け止めです。日本皮膚科学会の皮膚科Q&Aは、皮膚がんを防ぐために紫外線をできるだけ避け、難しい場合は日焼け止めクリームを塗る、帽子や日傘を使う、長袖の衣服にするなどを挙げています。

※ 当サイトは、記事のなかで根拠を示したうえで推奨したものに限り広告を掲載しています。ここで紹介しているのは、紫外線吸収剤を使わず(紫外線散乱剤のみ)、美白有効成分を含まない化粧品の日焼け止めです(SPF32・PA+++、光アレルギーテスト・ノンコメドジェニックテスト済みとメーカーが表示)。日焼け止めは、帽子や日傘、長袖とあわせて使うものです。気になる皮膚の変化がある場合は、日焼け止めで様子を見ずに皮膚科専門医に相談してください。

8. 早期発見のコツ

「早期発見には、普段から自分の皮膚や手、爪を見ることが大切です。」(日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「メラノーマ以外の皮膚悪性腫瘍」Q8)

9. 皮膚科で相談したいとき

資料にあるもの

・ほくろのようだが、テカテカしている、中央がへこんでいる、軽い刺激で出血する

・かさぶたがついた赤い湿疹のようなものが、日光の当たる場所に続いている

・赤・褐色・黒が混じった湿疹のようなものが、脚などにある

・陰部やわきに、赤くジクジクした湿疹やいんきんたむしのようなものが続いている

・治りにくく、繰り返す傷がある

最後に、この記事の要点をもう一度。

① メラノーマ以外の皮膚がんは、ほくろ・湿疹・いんきんたむしに似ている

② いずれも60歳以上で多い。日光角化症とボーエン病はわずかに女性に多い

③ 原因は紫外線、HPV、やけどのあと、治りにくい傷など

④ 進行していなければ手術でほぼ根治。早期の治療成績は高い

⑤ ふだんから自分の皮膚・手・爪を見る。見せにくい場所でも皮膚科へ

10. よくある質問

メラノーマ以外にどんな皮膚がんがありますか?

日本皮膚科学会によると、角化細胞ががん化する日光角化症・ボーエン病・有棘細胞癌、毛包ががん化する基底細胞癌、アポクリン腺ががん化する乳房外パジェット病などがあります。日光角化症とボーエン病は表皮内がんで、ほかへ転移しません。

ほくろと皮膚がんは、どう見分けますか?

学会によると、基底細胞癌はほくろに似ていますが、よく見るとほくろよりテカテカしていて、小さく黒い粒が集まって見えます。中央がへこんでいたり、軽い刺激で出血しやすいことも特徴です。見分けは難しいので、気になる場合は自己判断せず皮膚科専門医に相談してください。

湿疹だと思っていたら、がんということはありますか?

あります。学会によると、日光角化症とボーエン病は湿疹に似ていて、かさぶたがついた赤い(ボーエン病では赤・褐色・黒が混じった)病変になります。乳房外パジェット病は、湿疹やいんきんたむしに似た赤くジクジクした病変で、外陰部やわきに多くみられます。

皮膚がんは手術で根治できますか?

学会によると、いずれのがんも進行していなければ手術のみでほぼ根治が可能です。5年生存率は、日光角化症とボーエン病は手術でほぼ100%、基底細胞癌は早期なら約90〜95%以上、有棘細胞癌は転移がなく早期ならほぼ100%とされています。

皮膚がんを予防するには、どうすればいいですか?

学会は、紫外線をできるだけ避けることが重要で、難しい場合は日焼け止めクリームを塗る、帽子や日傘を使う、長袖の衣服にするなどを勧めています。また、治りにくく繰り返す傷(慢性炎症)は、早めに皮膚科専門医に相談するよう書いています。

陰部にできものがあり、受診が恥ずかしいです。

学会は、外陰部など他人に見せにくい場所は躊躇してしまうだろうとしたうえで、皮膚科専門医に相談することを勧めています。乳房外パジェット病は外陰部に最も多く、女性では大陰唇に多いとされています。

参考にした主な資料

凪
なぎ先生

内科系の臨床に15年ほど携わる医師。生活習慣病・ホルモン・栄養の相談を日常的に受けています。中立性の担保と診療継続のため、ペンネームで執筆しています。→ 運営者について

この記事は健康情報の提供を目的としたものであり、診断・治療に代わるものではありません。本文で紹介した内容は、日本皮膚科学会の皮膚科Q&A「メラノーマ以外の皮膚悪性腫瘍」にもとづくもので、新しい治療薬の承認状況などは同Q&Aの記載時点の情報です。気になる皮膚の変化がある場合は、皮膚科専門医に相談してください。掲載内容の誤りにお気づきの際はお問い合わせからお知らせください。