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肌

血管炎・紫斑病とは
——触ると軽いしこりのある紫斑と、子どもに多いIgA血管炎

すねのあたりに赤紫の点々が出てきた、子どもがかぜのあとにお尻や太ももに紫色の斑点を作った——そんなときに知っておきたい病気です。
日本皮膚科学会によると、血管炎とは血管を炎症の場とする病気です。血管炎でいちばん特徴的な皮膚の症状は紫斑(皮膚の中の出血)です。
なかでもIgA血管炎は子どもに多く、基本的には予後の良い病気ですが、大人、特に高齢者では重症例が多いとされています。

執筆:なぎ先生(内科医) 公開:2026年10月30日 読了:約6分

1. 先に結論

よくある思い込み資料の記述
紫斑は、どれも同じ内出血紫斑には炎症を伴うものと伴わないものがある。炎症を伴う紫斑は主に血管炎で起こり、触ると軽いしこりを触れる
血管炎は、皮膚だけの病気皮膚だけに起こる一部の病気を除いて、多くは全身の症状を伴う
IgA血管炎は子どもの病気だから、大人なら軽い好発年齢は小児期で、基本的には予後の良い病気。ただし成人、特に高齢者では重症例が多く、再発しやすい

この記事でいちばんお伝えしたいこと。

学会は、皮膚に紫斑があり、全身の症状を伴う場合には血管炎が疑われるとしています。IgA血管炎では、激しい腹痛が起きたり、血尿や蛋白尿が続いて重い腎臓の障害に進んだりすることもあります。

2. 血管炎とは——血管を炎症の場とする病気

日本皮膚科学会の皮膚科Q&Aは、血管炎をわかりやすく説明するのは少し難しいとしたうえで、ひとことで「血管を炎症の場とする疾患」と表現しています。

学会によると、血管炎が疑われるのは次のような症状です。

資料にある症状
全身の症状発熱、頭痛、だるさ、体重減少、多くの関節の痛み、筋肉痛
臓器の症状腎臓・心臓・肺・消化器・神経などの血管の障害による、腎不全、高血圧、肺炎、消化管の潰瘍、神経炎などのいずれか、または複数
皮膚の症状紫斑、紅斑、血疱(血液を含んだ水ぶくれ)、水疱、潰瘍、皮下結節、網状皮斑、じんましんなど

出典:日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「血管炎・紫斑病」Q2・Q3をもとに整理。

皮膚の症状はさまざまですが、学会は血管炎のもっとも特徴的な皮疹はやはり紫斑だとしています。紫斑と紅斑に加えて、血疱などを伴う場合には血管炎が疑われます。

3. 紫斑とは——炎症を伴うものと、伴わないもの

学会によると、紫斑は紫紅色、あるいは暗紫褐色の斑で、皮膚の中の出血(赤血球が血管の外にもれ出たもの)を意味します。紫斑には、炎症を伴うものと伴わないものがあります。

炎症を伴わない紫斑炎症を伴う紫斑
主な原因血小板の異常(例:血小板減少性紫斑)、凝固因子の異常(例:血友病)、血管を支える組織が弱くなって起こるもの(例:老人性紫斑)主に血管炎
特徴—触ると軽いしこりを触れる。血疱や潰瘍がまじることが多い

出典:日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「血管炎・紫斑病」Q4をもとに整理。

4. 皮膚に血管炎が出る、代表的な病気

学会によると、血管炎にはさまざまな病気があり、腎臓・肺・心臓などの主要な臓器の血管炎に焦点を当てた2012年の分類(CHCC2012)が広く使われています。

ただ、血管炎がいちばん起こりやすい臓器である皮膚の血管炎が十分に扱われていなかったため、2018年に皮膚科医の立場から、皮膚の血管炎の新しい命名法と分類(D-CHCC)が発表されました。この分類で皮膚に血管炎がみられるとされている病気には、次のようなものがあります。

一方、高安動脈炎、川崎病、抗糸球体基底膜抗体病は、この分類では皮膚の血管炎は「なし」とされています。

5.【核心】IgA血管炎——子どもに多く、大人は重症になりやすい

皮膚科Q&Aは、Q6からQ10までをIgA血管炎にあてています。学会によると、IgA血管炎は次のような病気です。

皮膚の症状——触ると軽いしこりのある紫斑

出やすい場所
一般的に下腿(ひざから下)
小児お尻、太もも、背中、腕
乳児しばしば顔

出典:日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「血管炎・紫斑病」Q8をもとに整理。

学会によると、IgA血管炎では触知性紫斑と呼ばれる、触ると軽いしこりのある紫斑がほぼ全員に出ます。このほか、点状や斑状の紫斑、水疱、血疱、潰瘍などもできます。

6. IgA血管炎のきっかけ

学会によると、細菌・ウイルスの感染、薬剤、妊娠、悪性腫瘍などが誘因と考えられています。

溶連菌は、子どものとびひの原因菌のひとつでもあります(とびひの記事)。

7. IgA血管炎の検査と治療

検査

治療

学会によると、治療は症状の程度によって異なります。

資料の記述
軽症まず安静と飲む水の量を保つことが大切
皮膚の症状止血薬や血管強化薬を使う
関節の痛み非ステロイド系抗炎症薬による対症療法
おなかの症状絶食と点滴で対応し、軽快しなければ副腎皮質ステロイド薬を使う
腎臓の障害副腎皮質ステロイド薬が中心。治療に抵抗する場合は、一度に大量に使うステロイドパルス療法や、免疫抑制剤との併用療法を行う

出典:日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「血管炎・紫斑病」Q10をもとに整理。

健診の尿潜血・尿蛋白については尿潜血の記事で書いています。

8. 受診したいとき

資料にあるもの

・皮膚に紫斑があり、発熱、だるさ、関節や筋肉の痛み、体重減少などの全身の症状を伴う

・紫斑に、触ると軽いしこりがある。血疱や潰瘍がまじっている

・子どもがかぜなどのあとに、お尻や太もも、足に紫斑を作った

・紫斑とともに、激しい腹痛がある

・紫斑とともに、血尿や蛋白尿がある

最後に、この記事の要点をもう一度。

① 血管炎は血管を炎症の場とする病気。多くは全身の症状を伴う

② 血管炎でいちばん特徴的な皮膚の症状は紫斑。炎症を伴う紫斑は触ると軽いしこりがある

③ IgA血管炎は小児期に多い。小児の約半数は上気道の感染症に続いて発症する

④ 基本的には予後の良い病気だが、成人、特に高齢者では重症例が多く再発しやすい

⑤ 激しい腹痛や、血尿・蛋白尿が続く腎臓の障害に進むこともある

9. よくある質問

血管炎とはどんな病気ですか?

日本皮膚科学会によると、ひとことで表現すると血管を炎症の場とする病気です。血管は全身にくまなく分布しているため、血管の障害はいろいろな臓器の障害をもたらします。皮膚だけに起こる一部の病気を除いて、多くは全身の症状を伴います。

紫斑とは何ですか?

学会によると、紫紅色あるいは暗紫褐色の斑で、皮膚の中の出血を意味します。血小板や凝固因子の異常などによる炎症を伴わない紫斑と、主に血管炎で起こる炎症を伴う紫斑があります。血管炎による紫斑は、触ると軽いしこりを触れ、血疱や潰瘍がまじることが多いのが特徴です。

IgA血管炎とはどんな病気ですか?

学会によると、旧名称をヘノッホ・シェーンライン紫斑病といい、主に皮膚の細い血管を障害して紫斑などができる血管炎です。関節やおなか、腎臓などの症状が出ることがあります。好発年齢は小児期で、基本的には予後の良い病気ですが、成人、特に高齢者では重症例が多く再発しやすい傾向があります。

IgA血管炎は、なぜ起こるのですか?

学会によると、細菌・ウイルスの感染、薬剤、妊娠、悪性腫瘍などが誘因と考えられています。小児の約半数は、のどなどの上気道の感染症に続いて発症します。病原体としては溶連菌、水痘ウイルス、B型肝炎ウイルス、ヒトパルボウイルスB19などの報告があります。

IgA血管炎の紫斑は、どこに出やすいですか?

学会によると、一般的には下腿に出やすいのですが、小児ではお尻、太もも、背中、腕に出やすく、乳児ではしばしば顔にみられます。触ると軽いしこりのある紫斑が、ほぼ全員に出ます。

IgA血管炎はどう治療しますか?

学会によると、症状の程度によって異なります。軽症ではまず安静と飲む水の量を保つことが大切で、皮膚の症状には止血薬や血管強化薬を使います。おなかの症状や腎臓の障害には、副腎皮質ステロイド薬などを使います。

参考にした主な資料

凪
なぎ先生

内科系の臨床に15年ほど携わる医師。生活習慣病・ホルモン・栄養の相談を日常的に受けています。中立性の担保と診療継続のため、ペンネームで執筆しています。→ 運営者について

この記事は健康情報の提供を目的としたものであり、診断・治療に代わるものではありません。本文で紹介した内容は、日本皮膚科学会の皮膚科Q&A「血管炎・紫斑病」にもとづくもので、公開時点の情報です。紫斑が出た場合や、紫斑とともに発熱・腹痛・血尿などがある場合は、皮膚科や小児科、内科を受診してください。掲載内容の誤りにお気づきの際はお問い合わせからお知らせください。