当サイトの情報は健康情報の提供を目的としたものであり、診断・治療に代わるものではありません
MEDICALLY REVIEWED BEAUTY & HEALTH
肌

白斑(尋常性白斑)
——100〜200人に1人。「隠すメイク」も学会が推奨する治療のひとつです

皮膚の一部が、ある日から白く抜けてくる。痛みもかゆみもないのに、顔や手のように人目につく場所に出ると、毎日が変わってしまいます。
尋常性白斑は、全人口の約0.5〜1%がかかる病気です。2025年に日本皮膚科学会のガイドラインが改訂され、塗り薬や紫外線の治療と並んで、カバーメイクにも「推奨度1B」がつけられました。隠すことは、あきらめではなく治療の一部なのです。
そしてこのガイドラインには、2013年に美白化粧品で約1万9,600人に白斑が出た事件の、その後の経過まで記録されています。
内科医として、甲状腺を調べてほしい理由もあわせて整理します。

執筆:なぎ先生(内科医) 公開:2026年10月1日 読了:約16分

1. 先に結論

ガイドラインから読み取れることを、先にまとめます。

よく聞く話ガイドラインが書いていること
珍しい病気全人口の約0.5〜1%。白く抜ける病気のなかで最も多く、約60%を占めます
皮膚だけの問題20.3%に自己免疫の病気が合併。甲状腺の採血が推奨されています
化粧品で白斑にはならない美白成分ロドデノールで使用者の2.4%に白斑。5年後も約16%が治りにくい状態でした
治療法がない塗り薬・紫外線・植皮など、推奨度1の治療が8つあります
紫外線治療は皮膚がんが心配白斑の人は皮膚がんがむしろ少ないという報告が多数。ただし照射は200回まで
隠すのは、治療をあきらめることカモフラージュは推奨度1B。治療と並行して使えます
サプリや漢方で治したい推奨はなく、「さらなる検討が望まれる」段階です

この記事でいちばんお伝えしたいこと。

尋常性白斑の治療は、「色を取り戻す」と「目立たなくする」を並行して進めるものです。そして白斑に気づいたら、皮膚だけでなく甲状腺の採血も一度受けてください。6章の推奨度の図を持ち帰っていただければと思います。

2. 尋常性白斑とは——色をつくる細胞がいなくなる

皮膚の色は、表皮のいちばん下の層にあるメラノサイト(色素細胞)がつくるメラニンで決まります。日本皮膚科学会の皮膚科Q&Aは、尋常性白斑を、このメラノサイトが「何らかの原因で減少・消失する」後天性の病気と説明しています。生まれつきではなく、途中から出てくる病気です。

どれくらい多いのか。「尋常性白斑診療ガイドライン第2版2025」(日本皮膚科学会、2025年)は、「全人口の約0.5~1%が罹患する」としています。100人から200人に1人です。国内の調査では、皮膚が白く抜ける病気全体の約60%を占める、最も多い色素の病気でした。

そして「発症に男女差はなく,あらゆる年齢に生じうる」とされています。日本人の患者さんでは11.3%に、家族にも白斑がありました。

2つのタイプ

タイプ特徴
非分節型体の左右に関係なく出る、いちばん多いタイプ。顔と手足の先に出る型、全身に広がる型などを含みます。10〜30歳の若い人に出やすいとされます
分節型体の片側に、帯のように出るタイプ。非分節型よりさらに若い年齢で出やすいとされます
分類不能型1か所だけに限られた白斑など

原因について、ガイドラインは遺伝の要因と環境の要因の両方を挙げています。酸化ストレスなどでメラノサイトが傷つき、それをきっかけに自分の免疫がメラノサイトを攻撃し続ける、という流れが重要だと考えられるようになってきました。

見た目の病気は、軽く見られがちです。けれど皮膚科Q&Aは生活の質について、「英国の報告ではやや障害以上の方が80%以上おられることが分かっており、適切な治療の必要性が指摘されています。」としています。気にしすぎ、ではありません。

3. 白い斑点は、白斑だけではありません

「白く抜けている=尋常性白斑」とは限りません。ガイドラインが見分けるべき病気として挙げているものの一部です。

見分けるべきものひとこと
老人性白斑年齢とともに出る小さな白い斑点
炎症後脱色素斑湿疹ややけどなどのあとに色が抜けたもの
白色粃糠疹子どもの顔などに出る、白っぽくかさつく斑
癜風(でんぷう)などの感染症カビ(真菌)などによるもの
脱色素性母斑生まれつきの白いアザ
サットン母斑ホクロのまわりが白く抜けるもの
化学白斑化粧品や職場の化学物質によるもの(5章)

このほか、皮膚のリンパ腫や、メラノーマ(悪性黒色腫)の治療薬に関連した白斑なども挙がっています。ガイドラインは、尋常性白斑の診断は「臨床診察のみで可能なことが多い」としつつ、難しい場合には皮膚の検査や真菌の検査、血液検査でほかの病気を除外するとしています。

治療法は病気ごとにまったく違います。カビによる白い斑点に白斑の治療をしても良くなりません。最初に一度、皮膚科で診断を受けることが、遠回りに見えていちばんの近道です。

4.【内科医から】甲状腺を調べてください

この章は、内科医としていちばんお伝えしたかったことです。

5人に1人に、ほかの自己免疫の病気 日本人の非分節型尋常性白斑の患者さんでの割合 自己免疫疾患の合併(全体) 20.3%  うち甲状腺の病気 12.0%  うち円形脱毛症 5.3% 家族にも白斑がある 11.3% 甲状腺は自己抗体とホルモン値の採血が、スクリーニングとして推奨されています。

尋常性白斑診療ガイドライン第2版2025「5.2 尋常性白斑の疫学」「9.2 診断」をもとに作成

ガイドラインによると、日本人の非分節型の尋常性白斑の患者さんの20.3%に自己免疫の病気が合併し、甲状腺の病気が12.0%、円形脱毛症が5.3%でした。そして診断の章には、はっきりとこう書かれています。

「自己免疫性甲状腺炎の合併頻度は特に高いため,血清中の甲状腺自己抗体と甲状腺ホルモン値の測定はスクリーニング検査として行うことを推奨する」

自己免疫性甲状腺炎の代表は、橋本病です。甲状腺の働きが少しずつ落ちていくと、疲れやすい、むくむ、寒がりになる、体重が増えるといった変化が出ることがありますが、どれも「年のせい」「忙しいせい」で片づけられやすい症状です。白斑をきっかけに見つかることは、けっして悪い話ではありません。

皮膚科で白斑と言われたのに採血をしていない方は、次の受診で一度たずねてみてください。甲状腺の数値の読み方は甲状腺の記事で、円形脱毛症については円形脱毛症の記事で詳しく書いています。

5.【重要】美白化粧品で、約1万9,600人に起きたこと

この病気を語るうえで、避けて通れない出来事があります。ガイドラインは「化学白斑」という1章を設けて、その経緯を記録しています。

やめれば多くは戻る。けれど、6人に1人は戻りにくかった ロドデノール配合の薬用化粧品による白斑の経緯と、その後 2008年 薬用化粧品として認可 2013年7月 製品の自主回収 使用者の2.4% 1万9,600人あまりに白斑 回収から1年5か月後(965例) 軽快以上 82% 16% 16%は「不変」14%と「悪化」2%。82%には「やや軽快」1%を含みます 回収から5年後(329例) 治癒13% 軽快してきている 71% 不変14% 右端の2%は「増えている」 5年後の約16%は難治で、塗った範囲を越えて広がった例もありました。 いずれも追跡できた人の割合です。

尋常性白斑診療ガイドライン第2版2025「7.化学白斑」をもとに作成

メラニンの生成を抑える成分ロドデンドロール(ロドデノール)を配合した薬用化粧品が、2008年に厚生労働省から認可されました。ところが、使った部位に高い頻度で白斑が出ていることが分かり、2013年7月から製品が自主回収されます。その後の調査で、使用者の2.4%、1万9,600人あまりに白斑が確認されました。

ガイドラインは、患者さんについて「RD白斑の多くはRD化粧品を使用した30歳以上の成人女性で,最も多い年齢層は60代であった」と書いています(RDはロドデンドロールの略)。シミを薄くしたいと願った世代に、正反対のことが起きたのです。

その後、どうなったか

使うのをやめると、多くの人は自然に回復しました。回収から1年5か月後の調査では82%が「軽快」以上。紫外線の治療を受けた人の多くにも効果がありました。

ただ、それで終わりではありませんでした。回収から5年後の調査でも、「全体の84%が軽快していた」一方で、「5年後の対象の約16%は難治な症例であり」、そのうち14%は塗った範囲を越えて白斑が広がり、尋常性白斑と同じ状態になっていたと考えられています。

ほかの美白成分は大丈夫なのか

ガイドラインは、化学白斑を起こした物質について「化学白斑を生じた化学物質の多くはフェノール類,カテコール類で」あると説明し、代表的な原因物質の表を載せています。そこにはハイドロキノンやコウジ酸など、美白の成分として知られるものも含まれています。

誤解のないように書き添えます。これは「使った人がみな白斑になる」という意味ではありません。ハイドロキノンは、シミや肝斑の治療で医師が使う標準的な外用薬のひとつで、シミのレーザー治療の記事でも紹介しました。大切なのは、塗った場所の色が、まだらに抜けてきたら、すぐにやめて皮膚科へということです。ガイドラインも、化学白斑は「尋常性白斑と肉眼的に鑑別は困難である場合が多い」とし、「白斑が初発した部位へフェノール類・カテコール類等の化学物質の暴露の有無を検討する必要がある」としています。受診するときは、使っていた化粧品を持っていくと診断の助けになります。

6. 治療の推奨度を並べてみる

「白斑は治らない」と言われて、治療をあきらめてしまう方がいます。けれどガイドラインには、推奨度のついた治療がこれだけ並んでいます。

「1」がついた治療は8つ。メイクもそのひとつです 尋常性白斑診療ガイドライン第2版2025の推奨度 治療 対象・条件 推奨度 ステロイド外用 顔・首以外(非分節型) 1A タクロリムス軟膏 はじめの治療 1A NB-UVB(紫外線) 進行している時期 1A エキシマ(紫外線) 狭い範囲・塗り薬が効かない 1A 活性型ビタミンD3外用 紫外線と併用・保険適用外 1B ステロイドパルス 広い範囲で急に進む時期 1B 植皮・外科手術 1年以上落ち着いている 1B カモフラージュ 見た目が気になる部位 1B ステロイド外用 顔・首/分節型など 2A/2B 免疫抑制剤の内服 進行している時期 2B 在宅での紫外線 国内に適応のある機器なし 2B 漢方・ビタミン剤 今後の検討が望まれる 推奨なし 数字は推奨の強さ(1=強い、2=弱い)、英字は根拠の確かさ(A=高い、B=低い)。 どの治療が合うかは、病型・範囲・進行しているかどうかで変わります。

日本皮膚科学会「尋常性白斑診療ガイドライン第2版2025」CQ1〜CQ11と11.16をもとに作成

推奨度の読み方です。数字の「1」は強い推奨、「2」は弱い推奨。英字は根拠の確かさで、Aが最も高く、Bは「結果を支持する研究があるが十分ではない」段階です。たとえば1Bは、根拠はまだ十分ではないものの、利益が害や負担を上回ると考えられ、「医師は,根拠が十分でないことを理解したうえで,推奨した治療を行うことが勧められる」という位置づけです。

どの治療を選ぶかは、非分節型か分節型か、いま広がっている時期か、落ち着いている時期か、範囲はどれくらいかで変わります。ガイドラインは、白斑の進行を抑えることを目指すのか、色を取り戻すことを目指すのかを、医師と患者が一緒に決める「共有意思決定」を重視しています。そして「治療期間は長期にわたる可能性がある.」とも書いています。

ひとつ知っておいていただきたいのは、保険が使える治療と使えない治療があることです。たとえば活性型ビタミンD3の塗り薬は、国内の9割近くの施設で使われていますが、白斑への保険適用はありません。治療を始めるときに確認してください。

7. 塗り薬と紫外線——3〜6か月ごとに見直す

ステロイドの塗り薬(1A/2A/2B)

いちばん長く使われてきた治療で、国内ではほぼすべての施設で使われています。ガイドラインは「尋常性白斑にステロイド外用療法は有効である.ただし,長期使用に伴う合併症に留意する必要がある.」とし、顔と首以外の非分節型で最も強く推奨しています。

期間の目安も書かれています。「12歳以上では4~6カ月,12歳未満では2~3カ月の塗布を目安とし,効果が得られなければ他の治療法への変更を検討する」。皮膚が薄くなるなどの副作用を防ぐために、2週間塗って2週間休むような間欠塗布も勧められています。まぶたに塗るときは、緑内障などに注意が必要です。

タクロリムス軟膏(1A)

ステロイドではない塗り薬で、顔や首によく使われます。推奨文は「治療効果が高い可能性はあるが,長期安全性は不明であり,3~6 カ月を目処に効果判定を行う.」です。色が戻ったあと、再び抜けるのを抑える維持療法としても推奨度1Bがついています。

紫外線の治療(NB-UVB・エキシマ、ともに1A)

特定の波長の紫外線を当てて、色素の再生をうながす治療です。

紫外線の治療は、少なくとも週1回の通院が続くことになります。仕事や家庭との両立が大きな課題です。海外では自宅で照射する方法も広がっていますが、ガイドラインは、国内には在宅の光線療法として適応のある照射機器がないことに留意するよう書いています(推奨度2B)。

植皮・外科手術(1B)

「1 年以上続く安定期の尋常性白斑で外科療法を検討できる.」とされ、分節型でより良い成績が得られるとされています。自分の皮膚から色素細胞を含む表皮を育てて移植する、新しい方法も開発されています。

通院を続けるこつ

ガイドラインは「安全性と有効性を3から6カ月ごとに評価し」、治療を続けるか変えるかを決めるとしています。3か月ごとにスマートフォンで同じ角度・同じ明るさの写真を撮っておくと、少しずつの変化を医師と一緒に確かめやすくなります。

8. 紫外線の治療で、皮膚がんは増えないのか

「色素がないところに紫外線を当てて、皮膚がんにならないのか」。もっともな心配です。ガイドラインは、この問題に1章を割いています。

メラニンは本来、紫外線から皮膚を守っています。ですから色素のない白斑の皮膚は、皮膚がんになりやすそうに思えます。ところが実際には逆で、「尋常性白斑は表皮のメラノサイト減少,消失があるが,発癌リスクが有意に低い」とされています。この逆説的な現象は「尋常性白斑パラドックス」と呼ばれています。

たとえば1万人の白斑の人を調べた研究では、悪性黒色腫とそれ以外の皮膚がんを合わせたリスクが、対照群の0.24倍でした。英国の1万5千人以上の研究でも、皮膚がんの発症率は38%低くなっていました。

紫外線の治療についても、長くNB-UVBを受けても悪性黒色腫やそれ以外の皮膚がんの発症率は有意に上がらなかった、と報告されています。ただし条件があります。6万人を対象にした研究で、照射が200回以上になると、日光角化症(前がん病変)が有意に増えたのです。これを受けて、ガイドラインの診療の流れには累積の照射回数は200回までと書かれています。

正直にお伝えすると、韓国の13万人以上の研究では、白斑の人の皮膚がんのリスクがむしろ高いという逆の結果も出ています(紫外線治療を受けた人では上がらなかった)。人種差の影響が指摘されていて、結論が完全に固まったわけではありません。照射回数を記録してもらい、主治医と相談しながら進めるのが現実的だと思います。

9.【推奨度1B】隠すメイクは、治療のひとつです

ガイドラインのCQ11は「尋常性白斑にカモフラージュは有効か?」です。答えは推奨度1B。

「カモフラージュを整容部位に生じた病変に使用することは患者 QOL の改善に寄与する.」

推奨度:1B

整容部位とは、顔や手のように人目につき、見た目が気になる場所のことです。解説によると、露出する部分に使うことで生活の質が改善したという報告があり、日本からもカバーメイクで皮膚の病気による生活の質の指標が改善したと報告されています。国内の施設の9割近くで、すでにカモフラージュが行われています。

「隠すのは、治療をあきらめることでは」と感じる方もいるかもしれません。けれど白斑の治療は、6章で見たように数か月から年単位かかります。その間の毎日を、人目を気にせず過ごせるようにすること。それも治療の目的のひとつだと、ガイドラインは位置づけているのだと思います。

2つのタイプ

ガイドラインは、国内で一般的に使われているカモフラージュ剤を2種類挙げています。

タイプしくみガイドラインが書いている長所・短所
コンシーラータイプカバー力の高いファンデーションなどで上から覆う衣類が汚れる、手洗いで落ちてしまうなど、満足が得られないこともある
セルフタンニングタイプジヒドロキシアセトンが角層のアミノ酸と反応して、肌を褐色に着色する摩擦や水で落ちにくく、衣類に色が付かない

手や首のように、こすれたり洗ったりすることが多い場所には、セルフタンニングタイプが向いている場合があります。ガイドラインは、着色が薄くなった状態であれば紫外線の治療と並行して行うことが可能としていて、分節型の白斑にも安全に使えたという日本からの報告を紹介しています。

一方で、どちらのタイプについても、ガイドラインは同じ注意を書いています。「これらカモフラージュメイク化粧品は尋常性白斑を改善するものではなく保険適用もない」。そして「いずれもメイクアップ指導を受講することが勧められる.」。色合わせや重ね方にはこつがあるので、通っている皮膚科で、メイクの指導を受けられるか相談してみてください。

10. 日焼け止めは「白くない部分」に

白斑と日焼け止めの関係は、少し意外かもしれません。

夏に日焼けすると、白斑のまわりの正常な皮膚だけが黒くなり、白い部分との色の差(コントラスト)が大きくなって、かえって目立ってしまいます。ガイドラインは、顔や手の甲に活性型ビタミンD3の塗り薬を使う場面について、「コントラストの増強を防ぐ目的で正常部でのサンスクリーンの使用が推奨される.」としています。診療の流れの図にも、医師が伝えるべき情報としてサンスクリーンの使用が挙げられています。

ポイントは、守りたいのは白い部分というより、まわりの色がある部分だということです。一方で紫外線は、色素の再生をうながす治療にも使われます。どこに、いつ塗るかは、治療の内容によって変わります。紫外線の治療を受けている方は、主治医に塗り方を確認してください。

そして5章の教訓から、美白成分を配合した製品は選ばないほうが安心です。

11. 海外の新しい薬と、サプリ・漢方

JAK阻害薬

免疫の信号を止めるJAK阻害薬が、白斑でも注目されています。ガイドラインによると、塗り薬のルキソリチニブは、アメリカ食品医薬品局(FDA)が白斑の治療に認可していますが、「日本には上市されていない」状態です(2023年末時点)。国内にあるJAK阻害薬も、白斑には保険適用がありません。

ガイドラインは、新しいJAK阻害薬などが皮膚がんのリスクを上げる危険性も報告されていると書いています。海外の薬を個人輸入して使うことは、やめてください。今後、国内で使えるようになったときに、主治医と相談するのが安全です。

漢方・ビタミン剤

ガイドラインは「ほかの補助療法(漢方,ビタミン剤など)」という項目で、いくつかの漢方薬や、ハーブ由来の成分、ビタミンD・ビタミンC・ビタミンB12などについての報告を紹介しています。けれど推奨度はついておらず、ハーブ由来の成分については「今後,二重盲検ランダム比較試験を用いてさらなる検討が望まれる.」としています。

「白斑によい」とうたうサプリメントや健康食品を見かけることがありますが、現時点で根拠のある選択肢とは言えません。同じお金と時間を、6章の推奨度のついた治療に使っていただきたいと思います。

12. 🚨 受診の目安

皮膚科の受診をおすすめしたい状態

① 皮膚が白く抜けた部分に気づいた(一度は診断を受けてください)

② 白斑が短い期間で広がっている、数が増えている

③ 化粧品などを塗った場所の色が、まだらに抜けてきた(すぐに使用を中止)

④ ホクロのまわりが白く抜けた、ホクロやシミの形・色が変わってきた

⑤ 白斑と言われたが、甲状腺の採血をまだ受けていない(内科でも相談できます)

②のように広がっている時期について、ガイドラインは、紫外線治療を症状の安定化(病変が拡大しないこと)に対する第1選択とし、急速に広がる場合は飲み薬のステロイドとの併用も有用としています。早めの受診が大切です。

この記事のまとめ

① 尋常性白斑は全人口の約0.5〜1%。男女差はなく、どの年齢でも起こります

② 白い斑点にはほかの病気もあります。一度は皮膚科で診断を

③ 20.3%に自己免疫の病気。甲状腺の採血が推奨されています

④ 美白成分ロドデノールで1万9,600人あまりに白斑。5年後も約16%が治りにくい状態でした

⑤ 塗り薬・紫外線・植皮など推奨度1の治療が8つ。3〜6か月ごとに効果を見直します

⑥ 白斑の人は皮膚がんがむしろ少ないという報告が多い。ただし照射は200回まで

⑦ カモフラージュは推奨度1B。日焼け止めは白くない部分の色の差を広げないために

13. よくある質問

白斑はうつりますか?

尋常性白斑は、皮膚の色をつくる細胞(メラノサイト)が減ったり、いなくなったりする病気です。日本皮膚科学会の皮膚科Q&Aは、メラノサイトが「何らかの原因で減少・消失する」後天性の病気と説明しています。ガイドラインが病気の成り立ちとして挙げているのは、遺伝の要因や、自分の免疫が色素細胞を攻撃するしくみ、酸化ストレスなどの環境要因です。ガイドラインが挙げている原因のなかに、人から人へうつるものは含まれていません。ただし、白い斑点が出る病気には、カビ(真菌)による癜風のような感染症も含まれます。ガイドラインも見分けるべき病気として感染症を挙げているので、自己判断せず、一度は皮膚科で診断を受けてください。

白斑があると、甲状腺の検査を勧められたのはなぜですか?

尋常性白斑には、ほかの自己免疫の病気が合併しやすいからです。ガイドラインによると、日本人の非分節型の尋常性白斑の患者さんの20.3%に自己免疫疾患が合併し、そのうち甲状腺疾患が12.0%でした。そのため「自己免疫性甲状腺炎の合併頻度は特に高いため,血清中の甲状腺自己抗体と甲状腺ホルモン値の測定はスクリーニング検査として行うことを推奨する」とされています。甲状腺の働きが落ちると、疲れやすさ、むくみ、寒がり、体重の増加などが出ることがありますが、年齢のせいにされて見逃されがちです。白斑をきっかけに見つかることもあるので、採血を勧められたら受けておくと安心です。

美白化粧品で白斑になることがあるのですか?

あります。2013年に社会問題になったのが、メラニンの生成を抑える成分ロドデノール(ロドデンドロール)を配合した薬用化粧品です。2008年に厚生労働省から認可されたあと、使った部位に白斑が出る例が相次ぎ、2013年7月から自主回収されました。ガイドラインによると、使用者の2.4%、1万9,600人あまりに白斑が確認されています。使うのをやめると自然に回復する例が多かった一方で、5年後の調査でも約16%は治りにくい状態でした。ガイドラインは化学白斑の原因物質の多くを「フェノール類,カテコール類」としていて、白斑が最初に出た場所にこうした化学物質が触れていなかったかを確かめる必要がある、としています。美白化粧品を使っていて、塗った場所の色がまだらに抜けてきたら、すぐに使うのをやめて皮膚科を受診してください。

紫外線の治療を勧められました。皮膚がんが心配です。

心配になるのは自然なことです。ガイドラインは、この点に1章を割いています。意外なことに、尋常性白斑の患者さんは「発癌リスクが有意に低い」ことが複数の研究で示されていて、色素がないのに皮膚がんが少ないこの現象は「尋常性白斑パラドックス」と呼ばれています。ナローバンドUVB(NB-UVB)による治療を長く続けても、悪性黒色腫やそれ以外の皮膚がんの発症率は有意に上がらなかったと報告されています。ただし、照射が200回以上になると日光角化症という前がん病変が増えたという報告があり、ガイドラインは照射回数の上限を200回としています。韓国の大規模な研究では逆の結果も出ていて、人種差の影響が指摘されています。通院のたびに照射回数を記録してもらい、主治医と相談しながら進めてください。

カバーメイクは、治療をあきらめることになりませんか?

なりません。ガイドラインは、カバーメイク(カモフラージュ)を治療法のひとつとしてCQに取り上げ、推奨度1Bをつけています。推奨文は「カモフラージュを整容部位に生じた病変に使用することは患者 QOL の改善に寄与する.」です。塗り薬や紫外線の治療と並行して使うことができ、日焼け用の化粧品(セルフタンニング)であれば、色が薄くなった状態で紫外線治療を続けることも可能とされています。一方で、ガイドラインは「これらカモフラージュメイク化粧品は尋常性白斑を改善するものではなく保険適用もない」とも書いています。白斑を改善するための道具ではなく、治療のあいだの毎日を楽にするための道具です。ガイドラインは「いずれもメイクアップ指導を受講することが勧められる.」としているので、通っている皮膚科で、メイクの指導を受けられるか相談してみてください。

参考にした主な資料

凪
なぎ先生

内科系の臨床に15年ほど携わる医師。生活習慣病・ホルモン・栄養の相談を日常的に受けています。中立性の担保と診療継続のため、ペンネームで執筆しています。→ 運営者について

この記事は健康情報の提供を目的としたものであり、診断・治療に代わるものではありません。本文で紹介した推奨度・数値・治療の位置づけは、日本皮膚科学会「尋常性白斑診療ガイドライン第2版2025」と皮膚科Q&A「白斑」にもとづくもので、公開時点の情報です(ガイドラインの記載は2023年末時点の状況を含みます)。保険適用や国内での承認の状況は変わることがあります。皮膚が白く抜ける病気には尋常性白斑以外のものも含まれるため、自己判断せず皮膚科で診断を受けてください。化粧品などを使った部位に色の抜けが出た場合は、使用を中止して受診してください。カバー化粧品・セルフタンニング化粧品・日焼け止めは白斑を治療するものではありません。使用中の治療がある方は、使い方を主治医に確認してください。海外の医薬品の個人輸入による使用はおやめください。掲載内容の誤りにお気づきの際はお問い合わせからお知らせください。