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MEDICALLY REVIEWED BEAUTY & HEALTH
からだの変化

性感染症とは
——女性の約半数は自覚症状がない。初期症状と、パートナーの治療

おりものの変化や不正出血、陰部のできものが気になる方、パートナーの感染が分かった方に向けた記事です。
日本皮膚科学会によると、性感染症は性的接触でうつって広がる感染症の総称です。症状のない人もいることから、今はSTI(sexually transmitted infections)と呼ばれています。
淋菌感染症や性器クラミジア感染症では、女性の約半数に自覚症状がありません。

執筆:なぎ先生(内科医) 公開:2026年10月29日 読了:約9分

1. 先に結論

よくある思い込み資料の記述
症状がなければ感染していない淋菌感染症も性器クラミジア感染症も、女性の約半数は自覚症状がない
うつるのは性器の接触だけ精液、頸管粘液のほか、唾液から感染する病原体もある。性器以外に手指や口の中に出ることもある
痛くもかゆくもないできものは心配ない梅毒のしこりや尖圭コンジローマのできものは、痛くもかゆくもない
自分だけ治療すればよい多くの病気で、パートナーの検査や同時治療が必要

この記事でいちばんお伝えしたいこと。

学会は、淋菌感染症について、女性は自覚症状がないことが多いので専門医での精査を勧めるとしています。予防には、避妊の意味だけでなく、性感染症を防ぐためのコンドームの使用を呼びかけています。

2. どんな病気があるか——症状が出るまでの日数

日本皮膚科学会の皮膚科Q&Aによると、かつての「性病」(梅毒、淋疾など)に加えて、性交またはこれに似た性行為で感染する病気を、広く性感染症と呼ぶようになりました。B型肝炎ウイルスも原因の一つに挙げられています。主なものと、症状が出るまでの日数(潜伏期)は次のとおりです。

病気潜伏期
梅毒10〜30日
淋疾(淋菌感染症)2〜7日
非淋菌性尿道炎(クラミジアなど)1〜3週間(クラミジア)
性器ヘルペス2〜10日
尖圭コンジローマ3週〜8か月(平均2.8か月)
腟トリコモナス症10日前後
性器伝染性軟属腫2週〜6か月
毛ジラミ症1〜2か月
疥癬1〜1.5か月
B型肝炎2〜6週
HIV感染症/AIDS1か月/10年

出典:日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「性感染症」Q1 表1から主なものを抜粋

3. どこから感染するのか

学会によると、病原体は次のようなところから感染します。

感染した部位に出る病気は性器に多くみられますが、手指や口の中に出ることもあります。

4.【核心】女性の初期症状——気づきにくいものが多い

学会は、病気ごとの初期症状を表で示しています。女性に関わる部分を中心にまとめます。

病気資料の記述(初期症状)
性器クラミジア感染症感染後1〜3週間。女性ではおりもの(帯下)の増加、不正出血、下腹部痛、性交痛があり、ときに急な腹痛を起こす。女性の半数は自覚症状がない
淋疾感染2〜7日ごろ。女性は膿のようなおりものが出るが、約半数は自覚症状がない。バルトリン腺炎を起こすことがある
梅毒感染後10〜30日で、感染部位に硬いしこり。のちに潰瘍になり、脚の付け根のリンパ節が腫れる。いずれの発疹も痛くもかゆくもない
性器ヘルペス陰部に、かゆみや違和感のある水ぶくれ。破れて痛みのあるただれや浅い潰瘍になる。発熱、リンパ節の腫れを伴う
尖圭コンジローマ女性では会陰部や陰唇などにぶつぶつとしたできもの。痛くもかゆくもないが、だんだん数が増え大きくなる
腟トリコモナス症女性では、においの強い泡状のおりものと、陰部のただれ・かゆみ
性器カンジダ症女性は外陰部のかゆみと、白いおかゆ状のおりもの。性行為で感染することもあるが、多くは糖尿病や免疫力の低下など、性行為と無関係に起こる
ケジラミ症感染後1〜2か月。陰毛の生えた部分が猛烈にかゆくなる。まれにわき毛や頭髪、まつ毛にも
HIV感染後2週〜2か月で、発熱、関節痛、リンパ節の腫れなどインフルエンザのような症状。口の中や性器の潰瘍、全身の赤い発疹

出典:日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「性感染症」Q7 表2・Q13をもとに整理

クラミジアと不妊症の関係は不妊症の記事で触れています。不正出血の原因については不正出血の記事で書いています。

5. 皮膚に出る症状と、区別が必要な病気

帯状疱疹については帯状疱疹の記事で書いています。

6. 検査と治療の考え方

病気資料にある検査・治療(要点)
梅毒感染後4週間以降は梅毒血清反応(血液検査)。治療はペニシリンが第1選択薬
淋菌感染症・性器クラミジア感染症分泌物や尿などを使った核酸増幅法などの検査。抗菌薬で治療
性器ヘルペス水ぶくれの細胞などを調べる。抗ウイルス薬で治療し、再発を抑える飲み方もある
尖圭コンジローマ見た目で診断でき、組織検査で確定。切除、電気焼灼、炭酸ガスレーザー、塗り薬など
HIV抗体検査(スクリーニング)と確認検査。多剤併用療法で血液中のウイルス量を検出限界以下に抑え続ける

出典:日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「性感染症」Q14・Q15から要点を抜粋。薬の種類や量は資料の記載時点のもので、実際の治療は医師の判断によります。

7. パートナーへの対応

学会は、病気ごとにパートナーへの対応を挙げています。

病気資料の記述
淋菌感染症女性の場合、自覚症状がないことが多く、専門医での精査を勧める
非淋菌性尿道炎(クラミジアなど)、腟トリコモナス症、性器カンジダ症パートナーの同時治療
梅毒感染後早い時期の梅毒と診断され、90日以内に性交渉があった場合は、梅毒血清反応を行う。陰性でも経過をみる
性器ヘルペス症状がない場合もあるので専門医を受診。症状がなくてもウイルスを出していることがあり、その場合はコンドームをつける
尖圭コンジローマ感染していることが多く、十分な追跡が必要
HIVHIV感染の検査、コンドームの使用、カウンセリング
ケジラミ症症状があれば同時治療

8. 流行と年齢——資料の時点に注意

学会のQ&Aにある流行と年齢のデータは、2001〜2008年ごろまでのものです。現在の状況とは異なる可能性があるので、その時点の記述として紹介します。

9. 予防と、受診したいとき

学会は、今後の対策として次の点を挙げています。

受診したいとき(資料にあるもの)

・おりものが増えた、においの強い泡状・白いおかゆ状・膿のようなおりものが出る

・不正出血、下腹部痛、性交痛がある

・陰部に水ぶくれ、ただれ、潰瘍、ぶつぶつ、硬いしこりができた(痛くもかゆくもないものも含めて)

・陰毛の部分が猛烈にかゆい

・パートナーが性感染症と診断された(自覚症状がなくても)

最後に、この記事の要点をもう一度。

① 性感染症は、性的接触でうつる感染症の総称。症状のない人もいるので「STI」と呼ばれる

② 淋菌・クラミジアでは女性の約半数が無症状。唾液からうつる病原体もある

③ 梅毒のしこりやコンジローマは痛くもかゆくもない

④ 多くの病気でパートナーの検査・同時治療が必要

⑤ 予防の柱はコンドームの使用。学会は特に若い女性への啓発を呼びかけている

10. よくある質問

性感染症とは何ですか?

日本皮膚科学会によると、性交またはこれに似た性行為で感染して広がる病気の総称です。梅毒や淋疾などのかつての性病に加えて、性器クラミジア感染症、性器ヘルペス、尖圭コンジローマ、HIV感染症などが含まれます。症状のない人もいることから、今はSTIと呼ばれています。

症状がなくても感染していることはありますか?

あります。学会によると、淋菌感染症と性器クラミジア感染症は、女性の約半数に自覚症状がありません。性器ヘルペスも症状がない場合があり、症状がなくてもウイルスを出していることがあります。

クラミジアでは、どんな症状が出ますか?

学会によると、感染後1〜3週間で、女性ではおりものの増加、不正出血、下腹部痛、性交痛があり、ときに急な腹痛を起こします。ただし、女性の半数は自覚症状がありません。

キスや口からもうつりますか?

学会によると、唾液から感染する病原体として、EBウイルス、クラミジア・トラコマティス、単純ヘルペスウイルス、淋菌、サイトメガロウイルスなどが挙げられています。感染した部位に出る病気は、性器以外に口の中や手指に出ることもあります。

パートナーも治療が必要ですか?

学会は、クラミジアなどの非淋菌性尿道炎、腟トリコモナス症、性器カンジダ症ではパートナーの同時治療、淋菌感染症では女性は自覚症状がないことが多いので専門医での精査を勧めています。梅毒、HIV、尖圭コンジローマなども、パートナーの検査や追跡が必要とされています。

予防するにはどうすればいいですか?

学会は、避妊の意味だけでなく性感染症を防ぐためにコンドームの使用を広めること、若い人、特に若い女性に性感染症の怖さを知らせ、性教育を見直すことを挙げています。性器ヘルペスで症状がなくてもウイルスを出している場合も、コンドームをつけるよう書いています。

参考にした主な資料

凪
なぎ先生

内科系の臨床に15年ほど携わる医師。生活習慣病・ホルモン・栄養の相談を日常的に受けています。中立性の担保と診療継続のため、ペンネームで執筆しています。→ 運営者について

この記事は健康情報の提供を目的としたものであり、診断・治療に代わるものではありません。本文で紹介した内容は、日本皮膚科学会の皮膚科Q&A「性感染症」にもとづくもので、同Q&Aの統計は2008年ごろまでの記載です。症状が気になる場合やパートナーが感染した場合は、産婦人科・泌尿器科・皮膚科などに相談してください。掲載内容の誤りにお気づきの際はお問い合わせからお知らせください。