1. 先に結論
| よくある思い込み | 資料の記述 |
|---|---|
| リウマチはお年寄りの病気 | 好発年齢は30〜50歳代。最近は高齢発症も増えている |
| 関節が変形するのは何年も先 | 関節破壊は発症6か月以内に出現し、最初の1〜3年間の進行が最も顕著 |
| 関節が痛いなら動かさないほうがいい | 運動療法(関節可動域運動・筋力強化運動)の実施を提案。筋力の改善では統計的な有意差を認めた |
| 関節だけの病気 | 全身の病気。貧血・微熱・だるさなどを伴うことがあり、進行すると肺などの臓器にも影響する |
この記事でいちばんお伝えしたいこと。
両手の指が左右対称に腫れて、朝こわばる——そんな症状があれば、早めに受診してください。治療の中心は早期からの薬物療法で、そのうえで運動・装具・日常生活の工夫を組み合わせます。
2. 関節リウマチとは
「関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)は、関節滑膜を病変の主座とする慢性の炎症性疾患である。」(理学療法ガイドライン第2版 第10章)
日本整形外科学会は、関節リウマチを自己免疫疾患と考えられているとし、関節液を作る滑膜にリンパ系の細胞が集まって反応が起こり、しだいに軟骨や骨を壊していくと説明しています。原因には、遺伝、免疫の異常、喫煙、女性ホルモン、ウイルス感染などの環境の要因が示唆されていますが、詳しいことはわかっていません。
| 項目 | 資料の記述 |
|---|---|
| どのくらいいるか | 発生頻度は0.5〜1.0%。推定国内患者70万〜80万人 |
| 男女比・年齢 | 男女比1:3〜5。好発年齢は30〜50歳代(日本整形外科学会は30〜40歳代の女性に多いとしている) |
| 特徴的な症状 | 朝のこわばり。関節炎は多発性・対称性で、手に多い(手首、指の第2関節、指の付け根) |
| 全身の症状 | 活動期には発熱、体重減少、貧血、リンパ節の腫れなど |
3.【核心】最初の数年が勝負
「関節破壊は発症6 か月以内に出現し、最初の1~3 年間の進行が最も顕著である。」(理学療法ガイドライン第2版 第10章)
治療の中心は、従来型の抗リウマチ薬、生物学的製剤、ステロイドとされています。
関節破壊が進むと、重い機能障害が出て生活の質が大きく下がります。ガイドラインは、関節リウマチが進行すると、肺などの臓器の病変や、感染症や心血管の病気の合併によって、生命予後も悪くなるとしています。
4. 治療:早期から寛解を目指す
ガイドラインは、治療の目標を、症状をよくするだけでなく、関節破壊を抑えて身体機能の障害を防ぎ、生命予後をよくすることとしています。
- 治療の中心は、従来型の抗リウマチ薬、生物学的製剤、ステロイド
- 現在の治療の考え方では、早期から寛解を目指して、メトトレキサートを第一選択薬として使う
- 腫れや痛みが続いて生活に支障がある場合や、関節の破壊が高度な場合は、滑膜切除術や人工関節置換術
- 各時期にリハビリテーション、多職種によるチームケア、状態に応じたスプリント(装具)や福祉用具、患者教育が推奨されている
日本整形外科学会も、「リウマチの血液検査(血清リウマトイド因子)が陽性」というだけでは関節リウマチとは診断できないとしています。診断は、症状と検査を組み合わせて専門医が行います。
5. ガイドラインの4つの提案
理学療法ガイドライン第2版は、関節リウマチの人に対して、次の4つを「提案する」としています。
| 提案 | ガイドラインの内容 |
|---|---|
| ① 運動療法 | 関節可動域運動・筋力強化運動。こわばりや痛みで動かさない状態になりやすく、可動域の制限・筋力低下・持久力低下が起こるため、ストレッチや筋力強化で維持・改善を図る。メタ解析で筋力には統計的に有意な差を認めた(痛みは有意差なし) |
| ② 物理療法(パラフィン浴) | 2週間のパラフィン浴で手指の痛みが有意に軽くなったという報告がある。一方、水治療法では有意な変化がなかったという報告もあり、論文数は少ない |
| ③ 装具療法 | 関節の固定で痛みを軽くし、変形の進行を防ぐ。手首の装具の研究のメタ解析で、痛みの改善に統計的に有意な差を認めた |
| ④ 患者教育 | 病気の理解、感染予防、服薬管理、関節保護、体操、食事などの日常生活指導 |
ただし、いずれも根拠の確実性は「弱い」または「非常に弱い」とされています。運動や装具は、関節の状態によって合うものが変わるので、主治医や理学療法士・作業療法士に相談しながら進めてください。装具には、手指・手首のスプリントから、外反母趾やタコに対応した靴まで、さまざまな種類があるとされています(→足の痛み)。
6. 日常生活で気をつけること(患者教育)
ガイドラインは、関節リウマチは生涯にわたって病気と共生する必要があるため、長く自己管理を続けられるよう心理面にも配慮し、家族への支援・教育も重要だとしています。患者教育では、次のような内容が扱われます。
- 病気の理解を深める
- 感染の予防
- 服薬の管理
- 関節の保護(関節に負担をかけない動作の工夫)
- 体操、食事などの生活の指導
日本整形外科学会は、原因が不明なため有効な予防法はないものの、症状を悪化させないためには適切な休養と栄養が重要であることは明らかになっているとしています。
7.【内科医の視点】へバーデン結節との違いと、全身の病気として
内科医として、ここはぜひ知っておいてほしいところです。指の関節の腫れで多いのは、指の第1関節にコブができるへバーデン結節(変形性関節症)です。関節リウマチは、手首、指の第2関節、指の付け根に多く、左右対称に腫れて朝こわばるのが特徴です。違いは指と手首の痛みの記事で整理しています。
そして、関節リウマチは全身の病気です。活動期には貧血、微熱、だるさを伴うことがあり、進行すると肺の病気や心血管の病気にも関わります。治療中は感染予防も大切です。原因の候補に喫煙が挙がっていることも、覚えておいてください。
8. 受診したほうがよいとき
早めに受診したいとき(整形外科・リウマチ科)
・両手や両足の指の関節が左右対称に腫れる、朝こわばる
・関節の腫れに加えて、微熱、だるさ、体重減少、貧血がある
・リウマチの血液検査が陽性と言われた(症状とあわせて専門医に相談)
・関節リウマチの治療中で、運動や装具について相談したい
最後に、この記事の要点をもう一度。
① 関節リウマチは女性に多く(男女比1:3〜5)、30〜50歳代に多い
② 朝のこわばりと、左右対称の関節の腫れが特徴
③ 関節破壊は発症6か月以内に出現し、最初の1〜3年の進行が最も大きい。早期治療が大切
④ ガイドラインは運動療法・パラフィン浴・装具・患者教育を提案(根拠は弱い〜非常に弱い)
⑤ 全身の病気。休養と栄養、感染予防も大切
9. よくある質問
関節リウマチはどんな人に多いのですか?
理学療法ガイドライン第2版によると、わが国の関節リウマチの発生頻度は0.5〜1.0%、推定国内患者は70万〜80万人、男女比は1対3〜5で、好発年齢は30〜50歳代とされています。最近は高齢で発症する人も増えつつあります。日本整形外科学会は、特に30〜40歳代の女性に多いとしています。
関節リウマチの特徴的な症状は何ですか?
ガイドラインによると、朝のこわばりが特徴的な症状で、関節炎は多発性・対称性で、手首、指の第2関節、指の付け根に多いとされています。活動期には発熱、体重減少、貧血、リンパ節の腫れなどの全身症状が出ることがあります。
なぜ早く治療したほうがいいのですか?
ガイドラインによると、関節破壊は発症6か月以内に出現し、最初の1〜3年間の進行が最も顕著とされています。関節破壊が進むと重い機能障害を生じるため、現在の治療の考え方では、早期から寛解を目指してメトトレキサートを第一選択薬として使うこととなっています。
関節リウマチでも運動したほうがいいですか?
理学療法ガイドライン第2版は、関節リウマチの人に対して、関節可動域運動や筋力強化運動などの運動療法を実施することを提案しています。こわばりや痛みで動かさない状態になりやすく、可動域の制限や筋力低下が起こるため、ストレッチや筋力強化で維持・改善を図ることが重要とされています。根拠の確実性は非常に弱いとされています。
装具やパラフィン浴は役に立ちますか?
ガイドラインは、関節リウマチの人に対して、装具療法と、物理療法としてのパラフィン浴を、それぞれ提案しています。装具は関節の固定で痛みを軽くし変形の進行を防ぐことが目的で、手首の装具の研究で痛みの改善が報告されています。パラフィン浴は手指の痛みが軽くなったという報告がある一方、論文数は少ないとされています。
参考にした主な資料
- 日本理学療法学会連合 理学療法標準化検討委員会ガイドライン部会 編「理学療法ガイドライン 第2版」医学書院、2021年(第10章 手関節・手指機能障害理学療法ガイドライン〈日本運動器理学療法学会〉:関節リウマチの疾患総論・疫学、BQ1〜BQ2、CQ1〜CQ4)
- 日本整形外科学会「関節リウマチ」(症状・病気をしらべる)