当サイトの情報は健康情報の提供を目的としたものであり、診断・治療に代わるものではありません
MEDICALLY REVIEWED BEAUTY & HEALTH
体型と代謝

舟状骨骨折とは
——手をついたあとの手首の親指側の痛み。捻挫と思って放置しないで

スポーツや転倒で手をついたあと、手首の親指側が腫れて痛む。しばらくすると軽くなったので、捻挫だと思っていた。
日本整形外科学会によると、舟状骨骨折は、骨折しているとは思わず、捻挫したと思ったまま放置したため、骨がつかない偽関節になることが多いのが特徴です。
症状、原因、診断、治療を、日本整形外科学会と日本手外科学会の資料で整理します。

執筆:なぎ先生(内科医) 公開:2026年11月5日 読了:約5分

1. 先に結論

知っておきたいこと資料の記述
どんな骨か手首にある8つの手根骨の1つで、親指側にある。船底のように彎曲しているので舟状骨という
原因スポーツや交通事故などで、手首を背屈して手をついたときによく起こる
注意したいこと通常のX線写真では見えにくく、見逃されることがある。捻挫と思って放置し、偽関節になることが多い
治療早期に見つかればギプス固定のことも。特殊なネジによる固定。偽関節になったものは手術が必要

この記事でいちばんお伝えしたいこと。

舟状骨骨折は、急性期を過ぎると痛みが一時軽くなるうえに、初期には普通のX線写真でも見つかりにくい骨折です。日本整形外科学会は、手首の痛みが続き動きにくくなれば、舟状骨骨折や舟状骨偽関節も疑い、X線撮影が重要としています。日本手外科学会は、専門医(手外科医)の受診を勧めています。

2.【核心】なぜ偽関節になりやすいのか

偽関節とは、骨折した骨がつかず、関節のように動くものをいいます。日本整形外科学会は、舟状骨骨折は偽関節になりやすいのが特徴としています。その理由として、資料からは次の3つが読み取れます。

理由資料の記述
X線で見えにくい舟状骨は親指の列にあるため、ほかの指の列とは45度傾いている。そのため通常のX線写真の撮り方では骨折が見えにくく、見逃されてしまうこともある
血行が乏しい舟状骨は指先の側から手首に向かって血行がある。最も多い骨折部位の腰部(くびれた部分)で折れると、その手首側の血行不全が生じやすい
捻挫と思われやすい骨折しているとは思わず、捻挫したと思ったまま放置したため、偽関節になることが多い

出典:日本整形外科学会「舟状骨骨折」、日本手外科学会 手外科シリーズ9「舟状骨骨折」(2024年3月改訂)をもとに整理。

3. 症状——痛みは一時軽くなる

時期資料の記述
けがの直後(急性期)手首の親指側が腫れ、痛みがある
急性期を過ぎると一時軽快する
放置して偽関節になると手首の関節の変形が進行し、手首に痛みが生じて、力が入らなくなり、動きにくくなる。日本手外科学会のパンフレットは、手をついたり重い物を持ったりしたときに手首に痛みが生じるとしている

出典:日本整形外科学会「舟状骨骨折」、日本手外科学会 手外科シリーズ9「舟状骨骨折」をもとに整理。

4. 診断——初めのレントゲンでは見えにくい

転んで手のひらをついたときに多い手首の骨折(橈骨遠位端骨折)は手首の骨折の記事で、同じ手根骨の月状骨がつぶれる病気はキーンベック病の記事で書いています。

5. 治療——ギプス、ネジによる固定、手術

日本整形外科学会によると、舟状骨は血行が悪いため、骨がつきにくい骨折の1つです。

状態治療
早期に発見された場合ギプス固定で治療することもある。この固定は長期になることが多い
治療期間を短くするために最近では特殊なネジによる固定を行い、治療期間を短縮することも積極的に行われている
偽関節になったもの放置すると手首全体が悪くなってくることが多いため、手術が必要

出典:日本整形外科学会「舟状骨骨折」、日本手外科学会 手外科シリーズ9「舟状骨骨折」をもとに整理。

最後に、この記事の要点をもう一度。

① 舟状骨は手首の親指側にある手根骨。手首を背屈して手をついたときによく折れる

② 痛みは一時軽くなるので、捻挫と思って放置されやすい

③ 初期のX線写真では見えにくい。疑わしいときは後日の再検査やCT・MRI

④ 血行が乏しく、骨がつかない偽関節になりやすい

⑤ 早期ならギプスや特殊なネジによる固定。偽関節になったら手術が必要

6. よくある質問

舟状骨骨折はどんなときに起こりますか?

日本整形外科学会によると、スポーツや交通事故などで手首を背屈して手をついたときによく起こります。

痛みが軽くなったので、捻挫だと思っていいですか?

学会によると、舟状骨骨折は急性期を過ぎると一時軽快しますが、放置して骨折部がつかずに偽関節になると、手首の関節の変形が進み、痛み、力が入らない、動きにくいといった症状が出てきます。捻挫したと思ったまま放置したため偽関節になることが多いのが特徴とされています。手首の痛みが続く場合は整形外科で相談してください。

レントゲンで骨折がないと言われました。

日本整形外科学会によると、舟状骨骨折は初期には普通のX線写真でも発見されにくいことが多く、疑わしいものはCTやMRIで骨折部がはっきりします。日本手外科学会も、受傷早期では骨折が診断できないことがあるため、後日の検査が必要なこともあるとしています。

どんな治療をしますか?

学会によると、早期に発見された場合はギプス固定で治療することもあります。固定は長期になることが多いため、特殊なネジによる固定で治療期間を短縮することも行われています。偽関節になったものは、放置すると手首全体が悪くなることが多いため、手術が必要です。

参考にした主な資料

凪
なぎ先生

内科系の臨床に15年ほど携わる医師。生活習慣病・ホルモン・栄養の相談を日常的に受けています。中立性の担保と診療継続のため、ペンネームで執筆しています。→ 運営者について

この記事は健康情報の提供を目的としたものであり、診断・治療に代わるものではありません。本文で紹介した内容は、日本整形外科学会の解説「舟状骨骨折」と日本手外科学会の手外科シリーズ9「舟状骨骨折」にもとづくもので、公開時点の情報です。手首のけがのあと痛みが続くときは、自己判断せず整形外科に相談してください。掲載内容の誤りにお気づきの際はお問い合わせからお知らせください。