1. 先に結論
| 知っておきたいこと | 資料の記述 |
|---|---|
| どんな骨か | 手首にある8つの手根骨の1つで、親指側にある。船底のように彎曲しているので舟状骨という |
| 原因 | スポーツや交通事故などで、手首を背屈して手をついたときによく起こる |
| 注意したいこと | 通常のX線写真では見えにくく、見逃されることがある。捻挫と思って放置し、偽関節になることが多い |
| 治療 | 早期に見つかればギプス固定のことも。特殊なネジによる固定。偽関節になったものは手術が必要 |
この記事でいちばんお伝えしたいこと。
舟状骨骨折は、急性期を過ぎると痛みが一時軽くなるうえに、初期には普通のX線写真でも見つかりにくい骨折です。日本整形外科学会は、手首の痛みが続き動きにくくなれば、舟状骨骨折や舟状骨偽関節も疑い、X線撮影が重要としています。日本手外科学会は、専門医(手外科医)の受診を勧めています。
2.【核心】なぜ偽関節になりやすいのか
偽関節とは、骨折した骨がつかず、関節のように動くものをいいます。日本整形外科学会は、舟状骨骨折は偽関節になりやすいのが特徴としています。その理由として、資料からは次の3つが読み取れます。
| 理由 | 資料の記述 |
|---|---|
| X線で見えにくい | 舟状骨は親指の列にあるため、ほかの指の列とは45度傾いている。そのため通常のX線写真の撮り方では骨折が見えにくく、見逃されてしまうこともある |
| 血行が乏しい | 舟状骨は指先の側から手首に向かって血行がある。最も多い骨折部位の腰部(くびれた部分)で折れると、その手首側の血行不全が生じやすい |
| 捻挫と思われやすい | 骨折しているとは思わず、捻挫したと思ったまま放置したため、偽関節になることが多い |
出典:日本整形外科学会「舟状骨骨折」、日本手外科学会 手外科シリーズ9「舟状骨骨折」(2024年3月改訂)をもとに整理。
3. 症状——痛みは一時軽くなる
| 時期 | 資料の記述 |
|---|---|
| けがの直後(急性期) | 手首の親指側が腫れ、痛みがある |
| 急性期を過ぎると | 一時軽快する |
| 放置して偽関節になると | 手首の関節の変形が進行し、手首に痛みが生じて、力が入らなくなり、動きにくくなる。日本手外科学会のパンフレットは、手をついたり重い物を持ったりしたときに手首に痛みが生じるとしている |
出典:日本整形外科学会「舟状骨骨折」、日本手外科学会 手外科シリーズ9「舟状骨骨折」をもとに整理。
4. 診断——初めのレントゲンでは見えにくい
- 日本手外科学会:受傷直後より、手首の親指側に腫れと痛みがあれば舟状骨骨折を疑い、レントゲン検査を行う
- 日本整形外科学会:初期には普通のX線写真でも発見されにくいことが多く、これが偽関節になる原因の1つ
- 疑わしいものは、CTやMRIをとると、骨折があれば骨折部がはっきりする。日本手外科学会は、受傷早期では骨折が診断できないことがあるため、後日、レントゲン検査やMRI、CT検査が必要なこともあるとしている
転んで手のひらをついたときに多い手首の骨折(橈骨遠位端骨折)は手首の骨折の記事で、同じ手根骨の月状骨がつぶれる病気はキーンベック病の記事で書いています。
5. 治療——ギプス、ネジによる固定、手術
日本整形外科学会によると、舟状骨は血行が悪いため、骨がつきにくい骨折の1つです。
| 状態 | 治療 |
|---|---|
| 早期に発見された場合 | ギプス固定で治療することもある。この固定は長期になることが多い |
| 治療期間を短くするために | 最近では特殊なネジによる固定を行い、治療期間を短縮することも積極的に行われている |
| 偽関節になったもの | 放置すると手首全体が悪くなってくることが多いため、手術が必要 |
出典:日本整形外科学会「舟状骨骨折」、日本手外科学会 手外科シリーズ9「舟状骨骨折」をもとに整理。
最後に、この記事の要点をもう一度。
① 舟状骨は手首の親指側にある手根骨。手首を背屈して手をついたときによく折れる
② 痛みは一時軽くなるので、捻挫と思って放置されやすい
③ 初期のX線写真では見えにくい。疑わしいときは後日の再検査やCT・MRI
④ 血行が乏しく、骨がつかない偽関節になりやすい
⑤ 早期ならギプスや特殊なネジによる固定。偽関節になったら手術が必要
6. よくある質問
舟状骨骨折はどんなときに起こりますか?
日本整形外科学会によると、スポーツや交通事故などで手首を背屈して手をついたときによく起こります。
痛みが軽くなったので、捻挫だと思っていいですか?
学会によると、舟状骨骨折は急性期を過ぎると一時軽快しますが、放置して骨折部がつかずに偽関節になると、手首の関節の変形が進み、痛み、力が入らない、動きにくいといった症状が出てきます。捻挫したと思ったまま放置したため偽関節になることが多いのが特徴とされています。手首の痛みが続く場合は整形外科で相談してください。
レントゲンで骨折がないと言われました。
日本整形外科学会によると、舟状骨骨折は初期には普通のX線写真でも発見されにくいことが多く、疑わしいものはCTやMRIで骨折部がはっきりします。日本手外科学会も、受傷早期では骨折が診断できないことがあるため、後日の検査が必要なこともあるとしています。
どんな治療をしますか?
学会によると、早期に発見された場合はギプス固定で治療することもあります。固定は長期になることが多いため、特殊なネジによる固定で治療期間を短縮することも行われています。偽関節になったものは、放置すると手首全体が悪くなることが多いため、手術が必要です。