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MEDICALLY REVIEWED BEAUTY & HEALTH
肌

美容医療のトラブル
——「今やった方がいい」と言われたら。即日契約・モニター契約・クーリング・オフ

カウンセリングに行ったら、広告の金額や予算よりも高額な契約を、その日のうちに勧められた。
国民生活センターによると、美容医療サービスの相談件数は、2023年度の6,281件から2024年度は10,744件に増えました。相談事例には、不安をあおられて即日契約・施術を急かされるケースや、割引のあるモニター契約で予算より高額な契約をしてしまうケースが目立ちます。
どんなトラブルが起きているのか、契約前に何を確かめればよいのか、困ったときの相談先を、国民生活センターの資料で整理します。

執筆:なぎ先生(内科医) 公開:2026年11月6日 読了:約6分

1. 先に結論

知っておきたいこと国民生活センターの資料
相談件数2023年度6,281件 → 2024年度10,744件 → 2025年度7,944件
目立つ勧誘「今やった方がいい」などと不安をあおり、モニター契約などの大幅な割引で、即日契約・施術を急かす
アドバイス美容目的の施術は、多くの場合緊急性がない。その場で契約・施術をしない
クーリング・オフ一部の美容医療は、期間が1か月を超え、金額が5万円を超える場合、契約書面を受け取った日を含む8日間はクーリング・オフができる
相談先消費者ホットライン「188(いやや!)」番

この記事でいちばんお伝えしたいこと。

国民生活センターは、美容目的の施術は、多くの場合、緊急性がありませんとしています。「今すぐ施術を受ける必要がある」と不安をあおられたり、モニター契約などの大幅な割引を提案されたりしても、その場で判断せず、いったん帰宅して周囲に相談するなど、慎重に検討するよう呼びかけています。

2. 相談件数と、相談する人

年度美容医療サービスの相談件数(PIO-NET)
2018年度1,980件
2022年度3,709件
2023年度6,281件
2024年度10,744件
2025年度7,944件

出典:国民生活センター「美容医療サービス」(2026年7月31日更新)、「増加する美容医療サービスのトラブル」(2023年8月30日公表)。消費生活センター等からの経由相談は含まれていない。

国民生活センターがまとめた2022年度の相談の傾向は、次のとおりです。

この資料でいう美容医療サービスとは、医師による医療のうち「専ら美容の向上を目的として行われる医療サービス」で、医療脱毛、脂肪吸引、二重まぶた手術、包茎治療、審美歯科、植毛などが主な施術です。

3.【核心】相談事例からみる3つの問題点

問題点国民生活センターの記述
① 不安をあおり、即日契約・施術を急かす「今やったほうがいい」「今やらなければ間に合わない」などと、施術の必要性を強調したり不安をあおったりする勧誘が目立つ。モニター契約などによる大幅な割引を提案して、即日契約・施術を急かしている
② 手軽さを強調し、リスクが伝わらない「私も施術を受けた。大丈夫だ」「副作用は顔が少し腫れる程度」などと説明し、リスクや副作用を十分に理解しないまま契約・施術をしている。予約時に希望していた施術とは別の施術や、広告とは別の高額なプランを不意打ち的に勧誘されたという相談もある
③ ローンを勧め、虚偽の申告を案内する「ローンで支払っている人が多い」などと分割払いを勧め、断り切れずに契約しているケースがある。審査を通すために、収入の少ない消費者に虚偽の年収や貯金額を申請させるなどの案内がみられる

出典:国民生活センター「増加する美容医療サービスのトラブル-不安をあおられたり、割引のあるモニター契約を勧められても慎重に判断を!-」(2023年8月30日公表)をもとに整理。

報告書には、たとえば次のような相談が載っています。

最新の事例としては、美容注射の契約で医師からリスクの説明がなかった、額や眉間のしわを取るボトックス注射を受けたところまぶたが垂れ下がってしまった、といった相談が紹介されています(国民生活センター「美容医療サービス」)。

4. オンライン診療の「定期購入」トラブル

国民生活センターは、痩身目的などのオンライン診療についても注意を呼びかけています。美容医療のオンライン診療に関する相談は、2021年度49件、2022年度205件と増えています。

国民生活センターは、糖尿病治療薬は痩身目的の使用に関して安全性と有効性は確認されていませんとしています。処方薬も含めて医師からしっかり説明を受けること、解約条件などを申し込み前によく確認することを勧めています。肥満症の治療薬についてはGLP-1の記事で書いています。

5. 消費者へのアドバイス

アドバイス国民生活センターの記述
その場で契約・施術をしない美容目的の施術は、多くの場合、緊急性がない。不安をあおられたり大幅な割引を提案されたりしても、いったん帰宅して周囲に相談するなど、慎重に検討する
施術前にリスクや副作用を確認する自由診療では、医師は副作用や合併症のほか、施術費用と解約条件、保険診療でできるかどうか、効果に個人差があることなども丁寧に説明することが求められている。「切らない」「施術跡がばれない」など手軽さが強調されていても、ダウンタイムやリスクがまったくないわけではない。カウンセリングの前に、自分でも情報を集めておく
ローンを組んでまで必要か考える分割払いは月々の支払いが少額でも、手数料を含めた総額が高額になることがある。年収などは正しく申告する。断るときは「お金がない」ではなく「契約しない」とはっきり伝える
早めに相談する不安に思ったときやトラブルになったときは、早めに最寄りの消費生活センター等に相談する

出典:国民生活センター「増加する美容医療サービスのトラブル」(2023年8月30日公表)の「消費者へのアドバイス」をもとに整理。

ダウンタイムとは、施術のあとに腫れやむくみ、痛み、内出血などが落ち着いて、日常生活に戻れるようになるまでの期間のことです。シワ・タルミや脱毛の施術ごとのリスクは、シワ・タルミの美容医療の記事と医療脱毛の記事で書いています。

6. クーリング・オフができる場合

場合国民生活センターの記述
一部の美容医療サービス期間が1か月を超え、金額が5万円を超える場合、特定商取引法が適用され、契約書面を受け取った日を含む8日間はクーリング・オフができる
モニター料が得られると勧誘された場合サービスを無料や格安で受けられると勧誘して契約させる場合も特定商取引法が適用され、契約書面を受け取った日を含む20日間はクーリング・オフができる
対象外一日で施術が完了する契約などは、特定商取引法の適用外

出典:国民生活センター「増加する美容医療サービスのトラブル」(2023年8月30日公表)本文と注をもとに整理。対象となる美容医療は、医療脱毛などを含む、皮膚を清潔にし美化する、体型を整える、体重を減らす、歯を漂白するための医学的処置などで、主務省令で定める方法によるものに限られる。

クーリング・オフの通知書面の書き方や手続きの方法は、国民生活センターのサイトで案内されています。

7. 困ったときの相談先——188

消費者ホットライン「188(いやや!)」番

最寄りの市町村や都道府県の消費生活センター等を案内する、全国共通の3桁の電話番号です。

国民生活センターによると、消費生活相談の救済の対象は、原則として契約トラブルなどの経済的な実被害です。医療の質だけに関する問い合わせや、精神的な損害に対する慰謝料の請求などは、専門家や弁護士へ相談するよう案内されています。

最後に、この記事の要点をもう一度。

① 美容医療の相談は2024年度に1万件を超えた。女性が約8割、20歳代が最も多い

② 目立つのは、不安をあおる勧誘、モニター契約の大幅な割引、即日契約・施術

③ 美容目的の施術は多くの場合緊急性がない。その場で契約・施術をしない

④ 費用・解約条件・リスク・効果の個人差を確認。断るときは「契約しない」

⑤ 条件を満たせば8日間(モニター勧誘は20日間)のクーリング・オフ。困ったら188

8. よくある質問

カウンセリングで「今日なら安い」と言われました。その日に決めるべきですか?

国民生活センターは、美容目的の施術は多くの場合緊急性がなく、不安をあおられたりモニター契約などの大幅な割引を提案されたりしても、その場で判断せず、いったん帰宅して周囲に相談するなど慎重に検討するよう勧めています。

美容医療の契約はクーリング・オフできますか?

国民生活センターによると、医療脱毛などを含む一部の美容医療サービスは、期間が1か月を超え金額が5万円を超える場合、契約書面を受け取った日を含む8日間はクーリング・オフができます。一日で施術が完了する契約などは対象外です。

ローンを勧められたら、どう断ればいいですか?

国民生活センターは、分割払いは手数料を含めた総額が高額になることがあるので、本当に必要な施術か落ち着いて考えるよう勧めています。断るときは「お金がない」ではなく「契約しない」とはっきり意思を伝えるよう案内しています。

トラブルになったら、どこに相談すればいいですか?

消費者ホットライン「188(いやや!)」番に電話すると、最寄りの消費生活センター等を案内してもらえます。医療の質だけに関する問い合わせや慰謝料の請求などは、専門家や弁護士への相談が案内されています。

参考にした主な資料

凪
なぎ先生

内科系の臨床に15年ほど携わる医師。生活習慣病・ホルモン・栄養の相談を日常的に受けています。中立性の担保と診療継続のため、ペンネームで執筆しています。→ 運営者について

この記事は健康情報の提供を目的としたものであり、診断・治療に代わるものではありません。本文で紹介した内容は、国民生活センターの「美容医療サービス」と注意喚起の発表(2023年8月30日、2023年12月20日)にもとづくもので、公開時点の情報です。契約や施術で困ったときは、早めに消費生活センター等(188)に相談してください。掲載内容の誤りにお気づきの際はお問い合わせからお知らせください。