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MEDICALLY REVIEWED BEAUTY & HEALTH
肌

除毛クリームの肌トラブル
——危害の相談738件。顔に使える商品はありませんでした

腕や脚、ワキの毛を除去するための除毛クリーム。
国民生活センターには、除毛剤などを使ったところ赤み、かゆみ、痛み、腫れなどが出たという相談が738件寄せられています(2014年度〜2019年10月)。特に、男性がヒゲを除去するために使って顔に皮膚障害を負った事例が増えていました。国民生活センターが売れ筋の10銘柄の表示を調べたところ、「顔」に使用できる銘柄はありませんでした。
除毛剤の仕組み、報告された皮膚障害、表示の調査、専門家のコメント、使う前に知っておきたいことを、国民生活センターの資料で整理します。

執筆:なぎ先生(内科医) 公開:2026年11月8日 読了:約6分

1. 先に結論

知っておきたいこと国民生活センターの資料
除毛剤とは医薬部外品。チオグリコール酸カルシウムなどの還元剤で、毛髪のケラチンタンパク質の結合を切断し、毛髪を軟化して除去する。化学的に毛髪や皮膚に作用するため、人によっては炎症を起こすことがある
危害の相談738件。皮膚障害が約98%。男性は顔面・頭部が約41%で最多
表示の調査(10銘柄)商品本体、パッケージ、取扱説明書の表示で「顔」に使用できる銘柄はなかった。使用前テストは10銘柄すべてに記載
定期購入危害相談のうち、通信販売での定期購入に関する相談が約74%(548件)
アドバイス使用部位を表示で確認する。まず1回分を購入し、使用前テストで肌に合うか確認する。異常が出たらただちに使用を中止する

出典:国民生活センター「除毛剤の使用による顔などの皮膚障害に注意!」報道発表資料(2019年12月19日)をもとに整理。

2. 除毛剤とは——毛を化学的に軟らかくして除去する

国民生活センターの資料によると、腕の毛、脚の毛やワキ毛などを除去する商品には、次の2種類があります。

種類国民生活センターの記述
除毛剤化学的作用によって毛髪を軟化して除去するもの。チューブタイプやスプレータイプの除毛クリームなど
脱毛剤物理的に毛髪を抜いて除去するもの。脱毛テープや脱毛ワックスなど

出典:国民生活センター「除毛剤の使用による顔などの皮膚障害に注意!」(2019年12月19日)。危害の相談は、除毛剤に関するものが大半を占めていた。

3. 危害の相談——738件の内訳

PIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)には、2014年度以降(2019年10月31日までの登録分)、除毛剤などを使ったところ、赤み、かゆみ、痛み、腫れ等が出たという危害情報が738件寄せられています。

項目国民生活センターの記述
危害の内容皮膚障害が724件で約98%
危害の程度「医者にかからず」が約89%。治療期間が1カ月以上のものが2件
性別・年代男性は208件で20歳代が最多(68件)。女性は502件で40歳代が最多(157件)。男性がヒゲを除去するために使い、顔などに皮膚障害を負った事例が増加傾向
危害部位(男性)顔面・頭部 約41%、脚 約36%
危害部位(女性)腕・手 約53%、脚 約32%
購入した時期春から夏(3〜8月)がほとんどだが、秋から冬も70件。年間を通して購入されている

出典:国民生活センター「除毛剤の使用による顔などの皮膚障害に注意!」(2019年12月19日)図4〜6と本文。割合は不明・無回答等を除いた件数に対するもの。

4.【核心】表示の調査——「顔」に使える銘柄はなかった

国民生活センターは2019年9〜11月、インターネットショッピングモールの売れ筋ランキングの高い除毛剤10銘柄(主に男性用と思われるもの5銘柄、主に女性用と思われるもの5銘柄)の表示を調べました。いずれも、医薬部外品の有効成分はチオグリコール酸カルシウムでした。

調べたこと結果
「顔」への使用商品本体、パッケージ及び取扱説明書の表示で、「顔」に使用できる銘柄はなかった
「デリケート部分」への使用使用できるもの4銘柄、使用できないもの4銘柄、記載のないもの2銘柄
ウェブサイトとの違い商品本体等と発売元のウェブサイトとで、「デリケート部分」の記載が異なるものが2銘柄。ショッピングモールの表示でも、「ヒゲ」や「デリケート部分」は使用できるとしながら、商品本体等では「顔」は使用できないとしたものなどがあった
放置する時間5〜10分程度が9銘柄、10分程度が1銘柄。使用部位ごとの目安を定めた銘柄はなかった
使用前テスト使用前に少量を試す「使用前テスト」は10銘柄すべてに記載。かゆみや赤みなどが出た場合は使用しない旨も記載
異常が出たとき腫れ、かゆみ、赤み、刺激、色抜け(白斑)、黒ずみなどの異常が出たら、使用を中止し、皮膚科専門医等に相談することを勧める旨が10銘柄すべてに記載
成分量とpH(測定)チオグリコール酸カルシウム量は10銘柄すべて7.0%以下、1%水溶液のpHは11〜12。男性用と女性用で大きな差はなかった

出典:国民生活センター「除毛剤の使用による顔などの皮膚障害に注意!」(2019年12月19日)の調査の章をもとに整理。

国民生活センターは、危害相談のうち男性では顔面・頭部が最多になっていることから、ヒゲの除去に使っていて、商品の「用法・用量」や「使用上の注意」に基づいて使っていない可能性があるとしています。

5. 報告された事例

事例相談の内容(国民生活センターの資料から)
①顔に使った
(20歳代女性)
顔に1回使ったところ、肌に合わず、毛穴が赤くなり、かゆみも出た。医師からはクリームが原因だろうと言われ、薬を処方された。解約しようとすると、2回目の代金と正規料金との差額で合計約10,000円を請求された
②ヒゲに使った
(10歳代男性)
ヒゲの除毛がしたくて購入し、使って顔がカサカサになった。「首から下」に使用できると表示されていたが、同時に「全身分」の表示もあった。定期購入だと理解せずに申し込んでいた
③デリケート部分に使った
(40歳代女性)
広告にはデリケート部分に使用可能と記載があったと思うが、記憶はあいまい。使うと肌が赤くなりヒリヒリし、発疹も出た。解約しようとすると「5回継続が条件の定期コース。規定回数購入後でないと解約不可。」と言われた
④脚に使った
(20歳代男性)
脚に使ったら皮膚が赤くなった。皮膚科で、除毛クリームを使わない方がいいと言われた。業者に解約したいと伝えたが、その程度では解約できないと言われた

出典:国民生活センター「除毛剤の使用による顔などの皮膚障害に注意!」(2019年12月19日)主な事例1〜4をもとに要約。

国民生活センターは、「全身用」という表示をみて顔に使用できないものを使って危害を負った事例(事例②)や、広告の表示の記憶があいまいなまま、デリケート部分に使って危害を負った事例(事例③)があるとしています。

6. 専門家のコメント——顔と陰部には使うべきでない

資料には、藤田医科大学ばんたね病院 総合アレルギー科の鈴木加余子准教授のコメントが載っています。要点は次のとおりです。

化粧品などで起きるかぶれの種類と、原因の調べ方は接触皮膚炎(かぶれ)の記事で書いています。

7. 定期購入の解約トラブル

国民生活センターによると、除毛剤などの危害情報の中には、総額数万円の定期購入契約のため解約したいという相談が多数みられます。

8. 国民生活センターのアドバイス

最後に、この記事の要点をもう一度。

① 除毛剤は、毛のタンパク質の結合を切断して除去する医薬部外品。人によっては炎症を起こす

② 危害の相談は738件で、皮膚障害が約98%。男性は顔面・頭部が最多

③ 売れ筋10銘柄に、「顔」に使用できる銘柄はなかった。ウェブサイトと表示が違うものもあった

④ まず1回分を購入し、使用前テストで肌に合うか確認する

⑤ 異常が出たらただちに中止し、症状の程度によっては商品を持って皮膚科へ

9. よくある質問

除毛クリームを顔やヒゲに使ってもいいですか?

国民生活センターが売れ筋の除毛剤10銘柄を調べたところ、商品本体、パッケージ及び取扱説明書の表示で「顔」に使用できる銘柄はありませんでした。資料に載った専門家のコメントでも、ヒゲを剃った際の細かい傷や口へ入るおそれを考えると、顔には除毛剤を使用すべきではないとされています。

デリケート部分に除毛クリームを使ってもいいですか?

国民生活センターの調査では、デリケート部分に使用できるものが4銘柄、使用できないものが4銘柄、記載のないものが2銘柄で、ウェブサイトと商品本体で記載が異なるものもありました。専門家のコメントでは、陰部は皮膚が薄くダメージを受けやすいため、除毛剤の使用は適切ではないとされています。

除毛クリームを使う前に、何をすればいいですか?

国民生活センターは、商品に記載された用法・用量や使用上の注意で使用部位を確認し、まず1回分を購入して、使用前テストで肌に合うか確認してから使うよう呼びかけています。使用前テストは、調査した10銘柄すべてに記載されていました。

除毛クリームで肌が赤くなったら、どうすればいいですか?

国民生活センターは、肌に赤み、かゆみ、痛み、腫れなどの異常があらわれたときは、ただちに使用を中止して、症状の程度によっては皮膚科医を受診し、その際は使っていた商品を持参するよう呼びかけています。

参考にした主な資料

凪
なぎ先生

内科系の臨床に15年ほど携わる医師。生活習慣病・ホルモン・栄養の相談を日常的に受けています。中立性の担保と診療継続のため、ペンネームで執筆しています。→ 運営者について

この記事は健康情報の提供を目的としたものであり、診断・治療に代わるものではありません。本文で紹介した内容は、国民生活センターの報道発表資料「除毛剤の使用による顔などの皮膚障害に注意!」(2019年12月19日)にもとづくもので、公開時点の情報です。掲載内容の誤りにお気づきの際はお問い合わせからお知らせください。