1. 先に結論
| 知っておきたいこと | 国民生活センターの資料 |
|---|---|
| セルフエステとは | 事業者が提供するエステ機器等と施設を使い、店舗で説明を受けて、消費者自らがエステ機器等を操作するもの |
| 報告された危害 | HIFUをうたった機器を自分で顔に当てて唇の神経を損傷、ラジオ波や超音波が出る機器で脚にII度熱傷など |
| 契約のトラブル | 無料体験のあとに契約を強く勧められる、解約を申し出ると違約金を請求される、など |
| クーリング・オフ | 自身でエステ機器等を使用するため、一般に特定商取引法の対象外と解されており、クーリング・オフや中途解約のルール等は適用されない |
| 相談先 | 消費生活センター等、消費者ホットライン188 |
出典:国民生活センター 報道発表資料(2020年2月13日、2024年7月31日)をもとに整理。
2. セルフエステとは——説明を受けて、自分で機器を当てる
国民生活センターは、セルフエステを次のように説明しています。
- エステティックサロンで用いられる機器や、それらと同等の効果があるとうたう機器等と施設を事業者が提供し、店舗で説明を受けて消費者自らがエステ機器等を操作するもの(2020年)
- 2024年の資料では、消費者自身がエステ機器及び溶剤等を使用して施術を行うもの。歯を白くする「セルフホワイトニング」も含めている
国民生活センターが相談事例をもとにまとめた、一般的なセルフエステの流れは次のとおりです。
| 順番 | 一般的なセルフエステの流れ |
|---|---|
| ① | 消費者がセルフエステの店舗に行く |
| ② | 店舗スタッフから説明を受け、タブレット等で動画を見てエステ機器等の操作方法を確認する |
| ③ | 自分でエステ機器等を操作し、自身の肌に機器をあてる |
出典:国民生活センター「セルフエステ」報道発表資料(2020年2月13日)参考情報。国民生活センターで把握している相談事例をもとに作成されたもの。
資料によると、初回はスタッフがそばで使い方を説明してくれることがありますが、2回目以降は基本的にスタッフがいない中で、自分でエステ機器等を操作することになります。また、セルフエステの規約等では、エステ機器等の操作は消費者の自己責任で行うことを求められるケースが見受けられるとされています。
3. 相談件数と、相談する人
| 資料 | 国民生活センターの記述 |
|---|---|
| 2020年の注意喚起 | 2014年度以降、セルフエステの相談が119件。うち23件は危害が生じたという相談で、2018年度までは年間数件だったが、2019年度は13件と増加 |
| 2024年の注意喚起 | 相談件数は2022年度に400件を超え、2023年度は特に「セルフホワイトニング」の相談件数が大きく増加。2024年度は5月31日までの登録分で38件(うちセルフホワイトニングが31件) |
| 相談する人(2024年) | 平均年齢31.1歳。20歳代が約47%で最多。女性が約93% |
| 契約購入金額(2024年) | 平均は約20万円。セルフホワイトニングのみに限ると約7万円 |
出典:国民生活センター 報道発表資料(2020年2月13日、2024年7月31日)。相談件数はPIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)の登録分。2024年の資料では、2020年の公表時から検索方法を変更している。
2024年の資料によると、インターネットやSNSの広告等をきっかけに無料体験へ出向いたところ、事前の説明と異なっていたり、解約条件についてトラブルになったりしたという相談が寄せられています。
4.【核心】自分で機器を当てて起きた危害
2020年の資料では、HIFU(高密度焦点式超音波)をうたった機器による顔のリフトアップや痩身、ラジオ波機器による痩身などで、エステ機器等を自分で操作し肌にあてたところ傷害を負ってしまったケースが多くみられるとされています。紹介された危害事例は次の3つです。
| 事例 | 相談の内容(国民生活センターの資料から) |
|---|---|
| ①HIFU機器を自分で顔に当てた (30歳代女性) | 動画で使い方の説明を受け、説明通りに使っていた。何度か通っていたが、使っていたところ唇に痛みが走り、下唇、口角、内側の感覚がなくなった。神経内科で神経損傷で唇の感覚が無くなっていると言われ、回復は年単位かもしれないと言われた。治療1カ月以上 |
| ②HIFU機器で顔のリフトアップ (20歳代女性) | 店員が隣に座り、使用上の注意があった。その後15分ほど自分で顔にあてた。施術中に痛みがあり熱くなった。翌日耳鼻科を受診すると、因果関係は不明だが顎の下の神経が麻痺しているかもしれないと診断された。現在も体の右側全体に違和感がある。治療1カ月以上 |
| ③痩身エステでラジオ波や超音波が出る機器を脚に当てた (20歳代女性) | 温度設定はレベル5まであるなかでレベル1にしたが、いつもとは思えない熱さで、触れた瞬間に熱傷をした。受診するとII度熱傷と診断された。店舗には、返金も退会も規約に書いてあるのでできないと言われ、一切責任はないと言われた。治療1週間未満 |
出典:国民生活センター「セルフエステ」報道発表資料(2020年2月13日)相談事例1〜3をもとに要約。
2020年の資料では、危害情報23件の傾向も分析されています。
- 危害部位は顔面が10件で最多。目、口、耳などもあわせると頭部全体で16件となり、大半を占める
- 危害内容は皮膚障害が11件、熱傷が5件と多い
- 危害程度は「医者にかからず」が11件で最多だが、HIFUをうたった機器の操作によるものなど「1カ月以上」が3件あった
エステなどでのHIFUによる事故と、2024年に厚生労働省が示した医師法の見解はエステのHIFU(ハイフ)の記事、やけどをしたときの冷やし方はやけどの記事で書いています。
5. 機器ごとのリスク——専門家のコメント
2020年の資料には、消費者安全調査委員会専門委員で日本形成外科学会専門医の森文子氏のコメントが載っています。機器を使った施術では、目的に合った機器を選んだうえで、肌や皮膚はもちろん全身の状態をみることがとても大事だとしています。機器ごとのリスクは次のとおりです。
| 機器 | 専門家のコメント(国民生活センターの資料から) |
|---|---|
| HIFU(ハイフ)機器 | 超音波を体内の特定部位に集中させて加熱し、熱変性を生じさせる。人体に施術する行為は医学的知識や技能が必要。施術者の微妙な手加減で照射焦点の深度に差が生じ、焦点によっては表皮に熱傷やミミズ腫れ、しびれや違和感などの一時的な神経麻痺が生じることがある。静脈を損傷した場合には皮下出血が生じ得る |
| 高周波(ラジオ波・RF)温熱機器 | 皮下組織をあたためるため、体内の特定部位を加熱する。電極の端子を傾いた状態であてると熱傷の危険性がある。弱い電流、電圧でも長い時間使用すると熱傷を負うこともある |
| 光脱毛器 | 毛根のメラニン色素に反応して熱を生じさせる波長の光をあてる。皮膚の日焼けの程度や部位、毛の太さなどによって繊細な出力エネルギーの調整が必要。熱傷により色素沈着が生じたり、傷跡が残る可能性もある |
出典:国民生活センター「セルフエステ」報道発表資料(2020年2月13日)専門家からのコメントをもとに整理。
コメントでは、目を守るためにゴーグルなどの装具をして使わなければならない機器や、色素に反応するエネルギーであれば化粧を落としてから使う必要がある機器があり、正しく理解し実行することが重要だとしています。そのためには機器の構造や知識が必要で、施術中は適切に稼働しているか常に把握する必要もあるとされています。
6. 契約・解約のトラブル
国民生活センターの資料では、危害のほかに、契約・解約のトラブルの事例も紹介されています。
| 事例 | 相談の内容(国民生活センターの資料から) |
|---|---|
| 100円キャンペーンのセルフ脱毛(2020年) | 「セルフ脱毛が100円キャンペーン中」という広告を見て施術したら、会計で「135ショット使用したので13,500円になる」と言われ、1ショット100円の請求だと初めて分かった |
| 痩身の無料体験(2020年) | 体験後に気分が悪くなり考えたいと伝えたが、「今日契約すれば入会金と事務手数料が無料になる」と勧められ断り切れず月額1万円のコースを契約。後日解約を申し出ると「解約するなら3万円を請求する」と言われた |
| 通い放題のコース(2020年) | 今日契約すれば体験の施術料と入会金が無料になると言われてその場で契約。解約を申し出ると、3カ月間はやめられないと言われ、入会金と今月分の会費で約35,000円の支払いを求められた |
| 「1か月無料」の痩身(2024年) | 「1か月間は無料、無料期間中に解約もできる」と説明されて契約したが、契約後のメールには「無料期間中に解約はできない」と書かれていた。解約すると違約金約3万円が発生すると言われた |
| セルフホワイトニングの無料体験(2024年) | 検討したいと言うと「家に帰って検討したら契約しないでしょう。今考えて」「今日決めないと月額料金が増える」などと言われ、契約。最低契約期間と中途解約の違約金約2万円を後から説明された。クーリング・オフ通知には「クーリング・オフ対象の取引ではない、解約するなら違約金を請求する」と返信された |
| セルフホワイトニングの回数券(2024年) | 「何回か通うと白くなる」と説明され、体験当日に回数券約3万円を購入。帰宅後にクーリング・オフを申し出たが、「クーリング・オフは対象外である」と言われた |
出典:国民生活センター 報道発表資料(2020年2月13日 相談事例4〜6、2024年7月31日 相談事例1〜3)をもとに要約。
7. セルフエステは、一般にクーリング・オフできない
2024年の資料は、エステティシャンが施術するエステティックサロンとの違いを次のように説明しています。
| 種類 | 国民生活センターの記述 |
|---|---|
| エステティックサロン (エステティシャンが施術) | 期間が1か月を超え、金額が5万円を超える場合、特定商取引法の特定継続的役務として同法が適用され、契約書面を受け取った日を含む8日間はクーリング・オフができる |
| セルフエステ (自身でエステ機器等を使用) | 一般に同法の対象外と解されており、クーリング・オフや契約書の交付義務、中途解約のルール等は適用されない |
出典:国民生活センター「セルフエステ」報道発表資料(2024年7月31日)消費者へのアドバイス(1)をもとに整理。
そのため資料は、事前に契約内容や解約条件等について確認し、納得した上で契約するよう呼びかけています。美容医療サービスでクーリング・オフができる場合は、美容医療のトラブルの記事で書いています。
8. 国民生活センターのアドバイス
2020年と2024年の資料に書かれた、消費者へのアドバイスです。
- 操作方法やリスクの説明を求める:事業者からエステ機器等の操作方法、リスクや傷害を負った場合の対応等について十分な説明を求める。自分で安全に機器の操作ができるか不安な場合は契約をしない
- 解約条件を確認する:「入会金無料」などと説明されても、契約前に契約期間や解約条件、キャンペーン等が適用される条件をよく確認する。長期間の契約や回数券を購入する場合は、継続できるかどうかや中途解約の可否も踏まえ、慎重に検討する
- “無料”という言葉に注意する:契約の必要がない場合や、もう少し検討したいと思ったら、その場で契約せず、きっぱりと断る
- 危害が出たらすみやかに受診する:セルフエステの後、身体に異変を感じたらすみやかに受診し、医師に操作したエステ機器等や操作方法などの内容を伝え、治療を受ける
- 消費生活センター等に相談する:危害が起きた場合や、契約で不安に思った場合、解約時にトラブルになった場合は、最寄りの消費生活センター等か、消費者ホットライン「188(いやや!)」に相談する
最後に、この記事の要点をもう一度。
① セルフエステは、店舗で説明を受けて自分でエステ機器等を操作するもの。2回目以降は基本的にスタッフがいない
② HIFUをうたった機器で唇の神経損傷、ラジオ波などの機器でII度熱傷の事例。危害は頭部が大半
③ 無料体験のあとの勧誘や、解約時の違約金のトラブルが多い
④ セルフエステは、一般にクーリング・オフできないと解されている
⑤ 困ったら消費生活センター等、消費者ホットライン188
9. よくある質問
セルフエステとは何ですか?
国民生活センターによると、事業者がエステ機器等と施設を提供し、店舗で説明を受けて、消費者自らがエステ機器等を操作するものです。初回はスタッフがそばで説明してくれることがありますが、2回目以降は基本的にスタッフがいない中で、自分で機器を操作することになります。
セルフエステでは、どんな危害が起きていますか?
国民生活センターの2020年の資料では、HIFUをうたった機器を自分で顔に当てて唇の神経を損傷した事例や、ラジオ波や超音波が出る機器で脚にII度熱傷を負った事例が紹介されています。危害情報23件のうち、危害部位は顔面が10件で最多でした。
セルフエステの契約は、クーリング・オフできますか?
国民生活センターによると、セルフエステは自身でエステ機器等を使用するため、一般に特定商取引法の対象外と解されており、クーリング・オフや契約書の交付義務、中途解約のルール等は適用されません。事前に契約内容や解約条件等を確認し、納得した上で契約するよう呼びかけています。
セルフエステのあとに肌に異変が出たら、どうすればいいですか?
国民生活センターは、セルフエステの後に身体に異変を感じたらすみやかに受診し、医師に操作したエステ機器等や操作方法などの内容を伝え、治療を受けるよう呼びかけています。トラブルにあった場合は、消費生活センター等や消費者ホットライン188に相談できます。
参考にした主な資料
- 国民生活センター 報道発表資料:「セルフエステ」の契約は慎重に検討しましょう!(2020年2月13日)
- 国民生活センター 報道発表資料:「セルフエステ」の契約トラブルに注意!(2024年7月31日)