1. 先に結論
| 知っておきたいこと | 国民生活センター・厚生労働省の資料 |
|---|---|
| 個人輸入にあたる場合 | 海外から直接届く通販、個人輸入代行業者の利用、海外の旅行先で買って持ち帰る |
| おもなリスク | 国内では未承認・処方が必要な医薬品成分、化粧品に配合が認められていない成分、表示にない成分が含まれていることがある |
| 表示 | 日本語でない場合があり、使用方法や注意表示を正しく理解できないまま使ってしまうおそれ |
| 健康被害が出たら | 個人輸入された医薬品による健康被害は、医薬品副作用被害救済制度の対象にならない |
| アドバイス | 少しでも不安がある場合は、購入や使用を控えた方が良い。異変が出たら速やかに受診 |
この記事でいちばんお伝えしたいこと。
厚生労働省は、医薬品等の個人輸入について、通常、メリットよりも危険性(リスク)のほうが大きい場合が多いと考えられるとしています。医薬品の個人輸入を考えている方には、自分ひとりで判断せず、家族などと話し合い、地域の医師、薬剤師などの専門家に相談することを勧めています。
2. 何が起きたのか——美白クリームの事例
国民生活センターが2023年9月6日に公表した事例です。2023年6月、「医師からの事故情報受付窓口」(ドクターメール箱)に、次のような情報が寄せられました。
| 項目 | 国民生活センターの記述 |
|---|---|
| 患者 | 20歳代、女性 |
| 買い方 | インターネットの評判を見て、化粧品の美白クリームとの認識で、インターネット通信販売で購入 |
| 使い方 | 皮膚の色素沈着のある部位に使用 |
| 起きたこと | かぶれて色素沈着がより強くなった |
| 調べてわかったこと | 国内では医師の処方が必要な医薬品成分が含まれていた。その成分は作用が強く、基本的に軟膏として顔への使用は禁忌とされているものだが、顔にも使っている事例を宣伝している販売サイトもあった |
| どこで売られていたか | 主に医薬品の個人輸入サイトで購入が可能な商品だった |
出典:国民生活センター「個人輸入した医薬品、化粧品等にご注意!-インターネット通信販売で購入した美白クリームで皮膚障害が発生-」(2023年9月6日公表)をもとに整理。
本人は化粧品のつもりでも、国民生活センターは、この商品は医薬品の個人輸入に該当するものと考えられたとしています。かぶれ(接触皮膚炎)についてはかぶれの記事、シミの種類と美白化粧品についてはシミと肝斑の記事で書いています。
3. それ、「個人輸入」かもしれません
国民生活センターによると、インターネット通信販売では、販売者が海外の事業者であると気づかないまま注文し、国内の代理店などを通さずに海外から直接商品が届くケースがあります。次のような場合は、どれも個人輸入にあたります。
- インターネット通信販売で買い、海外から商品が直送されてくる
- 個人輸入代行業者を利用する
- 海外の旅行先で購入して持ち帰る
厚生労働省も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器などを、海外からインターネットなどで取り寄せたり、外国の旅行先で買って持ち帰ったりすることを、いわゆる個人輸入としています。
4.【核心】個人輸入した医薬品・化粧品のリスク
国民生活センターは、輸出国と日本とで法体系や分類、基準、規制が違うことから、次のようなことが起こりうるとしています。
| リスク | 資料の記述 |
|---|---|
| 成分 | 国内では未承認の医薬品成分や医師の処方が必要とされる医薬品成分、国内で化粧品への配合が認められていない成分が含まれていることがある。配合が認められている成分でも、最大配合量を超えて含まれていることがある |
| 表示 | 表示にない成分が配合されていることがある。販売サイトの記載や商品の表示・説明が日本語ではない場合もある |
| 製造 | 不衛生な場所や方法で製造された可能性も否定できない |
| 偽物 | 正規のメーカー品を偽った、偽造製品かもしれない(厚生労働省) |
| 宣伝 | 虚偽または誇大な効能・効果、安全性などを標ぼうして販売されている場合がある(厚生労働省) |
| トラブルのあと | 国内に拠点がある事業者とは違い、事業者との交渉も難しく、補償が得られない可能性も高い |
出典:国民生活センター「個人輸入した医薬品、化粧品等にご注意!」(2023年9月6日公表)、厚生労働省「医薬品等を海外から購入しようとされる方へ」をもとに整理。
国民生活センターは、こうした場合、期待した効果が得られないばかりではなく、思わぬ体調不良等の異常に陥ってしまう危険性もあるとしています。
厚生労働省はさらに、個人輸入された医薬品等については、医師、薬剤師等の専門家でも、その成分や作用等に関する十分な情報を有しておらず、副作用などに迅速に対応するのが難しい場合があるとしています。また、医師による診察、処方、経過観察が必要とされている医薬品を、受診せずに安易に個人輸入して使うと、安全性が著しく損なわれるとしています。
5. 医薬品と化粧品、個人輸入のルール
| 種類 | 国民生活センターの記述 |
|---|---|
| 医薬品 | 原則として、地方厚生局に必要書類を出し、営業のための輸入でないことの確認を受ける必要がある。ただし、自分で使うことを前提に、一定の数量の範囲内では、確認を経ずに輸入できる場合がある。医師の処方箋や指示書などが必要で、自己使用で重大な健康被害のおそれがある医薬品は、数量に関係なく確認が必要 |
| 化粧品 | 自己使用の目的に限り認められている |
| 共通 | ほかの人へ売ったり、譲ったりすることはできない。医薬品は、ほかの人の分をまとめて輸入することも認められていない |
出典:国民生活センター「個人輸入した医薬品、化粧品等にご注意!」(2023年9月6日公表)をもとに整理。
厚生労働省は、個人輸入した医薬品等をほかの人に販売、授与などした場合、医薬品医療機器等法の規定に違反するおそれがあるとしています。予定している品目が規制の対象になるかは、住んでいる地域の都道府県庁の薬務主管課に問い合わせるよう案内しています。
6. 健康被害が出ても、救済制度の対象になりません
厚生労働省によると、日本国内で医薬品医療機器等法を守って販売されている医薬品には、適正に使ったのに重大な健康被害が生じた場合に救済を図る公的制度(医薬品副作用被害救済制度)があります。
しかし、個人輸入された医薬品による健康被害は、救済対象となりません。
厚生労働省は、外国製品によって不利益を被るのは、購入・使用する本人や、その家族であることに留意するよう呼びかけています。
海外から個人輸入したカラーコンタクトレンズによる目のトラブルについては、カラコンの記事で書いています。
7. 買う前・使う前に。異変が出たら
国民生活センターの「消費者へのアドバイス」は次の2つです。
| 場面 | 国民生活センターのアドバイス |
|---|---|
| 買う前 | 配合成分の効果だけでなく、懸念される副作用なども調べ、販売サイトの記載内容をよく確認したうえで、購入する必要があるのかを判断する |
| 使う前 | 商品の表示などをよく理解してから使う。表示内容の理解に不安があれば、必要に応じて医師、薬剤師に相談する |
| 迷ったら | 少しでも不安がある場合は、購入や使用を控えた方が良い |
| 異変が出たら | 速やかに医療機関を受診する |
出典:国民生活センター「個人輸入した医薬品、化粧品等にご注意!」(2023年9月6日公表)の「消費者へのアドバイス」をもとに整理。
受診するときは、可能であれば商品・パッケージ・説明書などを持っていき、次のことを伝えるよう勧められています。
- 使用方法
- 使用量
- 使用頻度
- 使用期間
- 異常が発生した経緯
最後に、この記事の要点をもう一度。
① 海外から直接届く通販、代行業者、旅行先での購入は、どれも個人輸入
② 化粧品のつもりでも、処方が必要な医薬品成分が入っていた事例がある
③ 表示にない成分、偽造品、日本語でない表示。補償も得られない可能性が高い
④ 個人輸入された医薬品の健康被害は、救済制度の対象にならない
⑤ 少しでも不安があれば買わない・使わない。異変が出たら商品を持って受診
8. よくある質問
国内の通販サイトで買った商品でも、個人輸入になりますか?
国民生活センターによると、販売者が海外の事業者だと気づかずに注文し、国内の代理店などを通さずに海外から直接商品が届く場合は、個人輸入にあたります。個人輸入代行業者を利用した場合や、海外の旅行先で買って持ち帰る場合も同じです。
海外の美白クリームは、化粧品なら安全ですか?
国民生活センターは、個人輸入した化粧品などには、国内で化粧品への配合が認められていない成分や、最大配合量を超える成分、表示にない成分が含まれていることがあるとしています。化粧品だと思って買った美白クリームに、国内では処方が必要な医薬品成分が含まれていた事例も報告されています。
個人輸入した化粧品を、友人に譲ってもいいですか?
国民生活センターによると、化粧品の個人輸入は自己使用の目的に限り認められていて、個人輸入したものを他人に販売・授与することはできません。厚生労働省も、個人輸入した医薬品等を他者に販売、授与などした場合、医薬品医療機器等法に違反するおそれがあるとしています。
使って肌が荒れたら、どうすればいいですか?
国民生活センターは、速やかに医療機関を受診するよう勧めています。可能であれば商品・パッケージ・説明書などを持参し、使用方法、使用量、使用頻度、使用期間、異常が発生した経緯を伝えるよう案内しています。
参考にした主な資料
- 国民生活センター「個人輸入した医薬品、化粧品等にご注意!-インターネット通信販売で購入した美白クリームで皮膚障害が発生-」(2023年9月6日公表)
- 厚生労働省「医薬品等を海外から購入しようとされる方へ」