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MEDICALLY REVIEWED BEAUTY & HEALTH
肌

脱毛施術による危害
——エステで680件の相談。症状が出た人の7割以上は、リスクの説明を受けていませんでした

エステや医療機関での脱毛で、やけどや色素沈着などの危害を受けたという相談が、国民生活センターに寄せられています。
国民生活センターは2017年、約5年間の危害相談964件(エステ680件、医療機関284件)と、脱毛を受けたことのある1,000人へのアンケートを分析しました。アンケートでは約4分の1が、脱毛を受けた後にやけどや痛みなどの症状が出た経験があると答え、その7割以上は事前にリスクの説明を受けていませんでした。
エステと医療機関の脱毛の違い、報告された危害、施術を受ける前に知っておきたいことを、国民生活センターの資料で整理します。

執筆:なぎ先生(内科医) 公開:2026年11月7日 読了:約7分

1. 先に結論

知っておきたいこと国民生活センターの資料
危害の相談2012年度以降の約5年間で964件。エステで受けた脱毛が680件、医療機関が284件
危害の内容エステ、医療機関ともに皮膚障害と熱傷(やけど)が多い
アンケート1,000人のうち25.5%が、脱毛を受けた後にやけどや痛みなどの症状が出た経験あり。そのうちトラブルや副作用の説明を受けていた人は26.3%
エステでできること光を照射すること等による一時的な除毛・減毛など、医行為に該当しない範囲の施術のみ
危害を受けたら施術を受けたエステや医療機関に申し出た上で、必要な場合は速やかに医療機関を受診。消費生活センター等(188)に相談

出典:国民生活センター「なくならない脱毛施術による危害」報道発表資料(2017年5月11日)をもとに整理。

2. エステの脱毛と、医療機関の脱毛の違い

国民生活センターの資料によると、脱毛は大きく分けて、医療機関と医療機関以外(エステ)の2つの施設で行われています。

高い脱毛効果を得るためには、毛を形作る細胞である毛包幹細胞(皮脂腺開口部から毛乳頭の間のバルジ領域にある)を熱変性(破壊)する必要があります。しかし、毛乳頭や皮脂腺開口部等を破壊する行為は「医行為」に該当するため、医療機関でしか行うことができません。

施設国民生活センターの記述
エステ医行為に該当しない範囲の施術。代表的な施術は光脱毛。業界団体の自主基準では、光脱毛は「皮膚に負担を与えず毛の幹細胞を破壊しない範囲」で行うとされている
医療機関厚生労働省の通知では、毛のうへ針を挿入し電気を通して毛乳頭部を破壊する脱毛行為と、用いる機器が医療用であるか否かを問わず、レーザー光線などを毛根部分に照射し毛乳頭、皮脂腺開口部等を破壊する行為が「医行為」とされている。代表的な施術はレーザー脱毛、光脱毛、電気脱毛

出典:国民生活センター「なくならない脱毛施術による危害」(2017年5月11日)表1「エステと医療機関で行われる脱毛の違い」をもとに整理。

資料によると、医療機関で行われる脱毛は人体の組織を破壊する行為のため、やけどや腫れ、赤みなどの皮膚トラブルが起きる可能性があるとされていますが、トラブルが起きた際も直ちに医師の診察を受けることができます。

学会のガイドラインに載っている医療脱毛の機器と推奨度、起こりうる合併症は、医療脱毛の記事で書いています。

3. 危害の相談——964件の内訳

PIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)には、2012年度以降の約5年間(2017年2月末日までの登録分)に、脱毛施術で危害を受けたという相談が964件寄せられています。

項目エステ(680件)医療機関(284件)
受けた施術(重複あり)光脱毛229件、レーザー脱毛72件、電気脱毛31件レーザー脱毛が大部分(206件、96.3%)
危害の内容皮膚障害50.7%、熱傷39.6%熱傷47.2%、皮膚障害41.9%
医療機関で治療を受けた57.3%67.0%
治療1カ月以上17.6%23.6%
多い危害部位腕・肩25.5%、大腿・下腿23.4%、顔面16.2%顔面22.3%、腕・肩20.8%、大腿・下腿16.7%

出典:国民生活センター「なくならない脱毛施術による危害」(2017年5月11日)図2〜4・図10。割合は不明・無回答等を除いた件数に対するもの。皮膚障害の具体的な内容は、痛み、腫れ、炎症、発疹等が多い。

4.【核心】報告された危害の事例

資料で紹介された主な危害事例です(相談者の申し出に基づくもの)。

事例相談の内容(国民生活センターの資料から)
①エステ・広範囲の脱毛
(20歳代女性)
初回施術後、背中や胸、腕、わきなどに広範囲に発疹ができ、皮膚科で毛のう炎と診断された。その後5カ月ほど、発疹が良くなりかけてはぶり返すことが続き、わきには黒ずみもできた
②エステ・デリケートゾーン
(女性)
光脱毛の施術時に、スタッフがシェーバーで下処理をした。数日後、傷があり、血がかさぶたになっていることに気付いた。皮膚科の医師には、シェーバーによる施術ミスに違いないと言われた
③エステ・針を刺す脱毛
(20歳代女性)
ひざ下に、毛穴に針を刺して毛根を熱で死滅させる施術を受け、赤く腫れ上がった。3カ月通ったが痛みが強く、赤く腫れたままで中途解約。3年半経っても痕が消えず、医師から痕が残ると言われた
④エステ・肛門周りの光脱毛
(30歳代女性)
照射で激痛が走り、痛みを訴えたが施術を続けられた。肛門の上あたりがやけどになり、皮膚がズルむけの状態に。乾くのに時間がかかる部位なので、1年以上かかることもあると言われた
⑤美容外科・ひざ下のレーザー脱毛
(40歳代女性)
効果がないと伝えると、レーザー機器の出力を上げたようで、帰宅後から肌がひりひりし、2、3日したらやけどのように腫れた。色素沈着が残った
⑥美容クリニック・レーザー脱毛
(20歳代女性)
2〜3回目くらいに硬毛化が表れ、強いレーザーを当てることに。5回目の施術の後、皮膚が赤くただれ、やけどのようになった
⑦皮膚科・ひげのレーザー脱毛
(30歳代男性)
5回目の施術の1週間後くらいから、ほほの赤みが目立ち、照射された部分が丸くやけどのような状態になった。医師にはレーザー機器の調子が悪かったようだと言われた
⑧皮膚科・ひざ下のレーザー脱毛
(30歳代女性)
医師から施術内容の説明がないまま、女性スタッフが施術した。2回目の施術後に赤くなり蕁麻疹が出て、レーザーの跡が残った。別の病院では、半年かかると言われた

出典:国民生活センター「なくならない脱毛施術による危害」(2017年5月11日)主な危害事例1〜8をもとに要約。

やけどをしたときの冷やし方と、傷跡を目立たせないための対応はやけどの記事で書いています。

5. アンケート——症状が出た人の7割以上は、リスクの説明なし

国民生活センターは2017年3月、過去3年間にエステや医療機関で脱毛を受けたことのある1,000人(男性376人、女性624人)に、インターネットでアンケートを行いました。

質問結果
脱毛を受けようと思ったきっかけ(複数回答)エステや医療機関のホームページ38.0%、親族・友人・知人からの紹介33.5%、ネット広告21.7%。インターネット上の情報を参考にする人が多い
脱毛後に、やけどや痛み、ヒリヒリ感などの症状が出た経験ある25.5%(255人)。うち112人はエステ、130人は医療機関
症状の内容(255人)痛み55.3%、かゆみ39.6%、やけど12.9%、乾燥11.0%、肌荒れ10.6%
症状が出た部位(255人)顔25.5%、わき18.8%、ひざ下16.1%
施術前に「脱毛によって起こり得るトラブルや副作用」の説明を受けた(255人)26.3%(67人)。7割以上は、脱毛のリスク等について説明を受けていなかった

出典:国民生活センター「なくならない脱毛施術による危害」(2017年5月11日)アンケート結果(図5〜7)をもとに整理。

6. エステでの脱毛の問題点

国民生活センターは、エステで受けた脱毛による危害相談の中に、医師法等に抵触するおそれがある施術を受けたという相談もみられたとしています。

問題点国民生活センターの記述
光線を毛根部に照射する脱毛エステでレーザー脱毛や光脱毛など、光線を用いた脱毛施術を受けて危害が出たという相談が少なくとも301件。やけど等で長期間の治療を要したり、傷痕や色素沈着が残ったという内容もある。医行為に該当する可能性があり、問題
電気脱毛エステで針状の器具を使った電気脱毛を受けて危害が出たという相談が31件。約4割は治療に3週間以上を要していた
シェービング(毛そり)エステの脱毛による危害のうち17件(2.5%)は、かみそりやシェーバーによる毛そりで切り傷や擦り傷を負ったもの。顔そりは理容師法で規制されている
リスクの説明アンケートで、エステで症状が出た人のうち、トラブルや副作用の説明を施術前に受けていた人は31.3%
広告・ホームページ医行為に該当するような施術をイメージさせる表現や、「痛みゼロ」「痛みもリスクもありません」など、安全な施術であるとイメージさせる表現がみられた

出典:国民生活センター「なくならない脱毛施術による危害」(2017年5月11日)の問題点と広告等の調査の章をもとに整理。広告の調査期間は2017年4月4日〜18日。

7. 医療機関での脱毛の問題点

問題点国民生活センターの記述
リスクの説明危害相談のうち、施術前にリスクの説明がなかったという相談が28件(9.9%)。アンケートで、医療機関で症状が出た人のうち、トラブルや副作用の説明を施術前に受けていた人は24.6%
危害を受けた後の対応治療を受けた122件のうち45.9%が別の医療機関を受診。脱毛を受けた医療機関の対応や治療に不満や不信感を抱いて他院を受診した、という内容が多数
広告・ホームページ比較広告など医療広告ガイドラインで禁止された内容の広告や、著名人が受診している旨、費用を強調する表現などがみられた

出典:国民生活センター「なくならない脱毛施術による危害」(2017年5月11日)の問題点の章をもとに整理。

資料によると、2016年12月に長期的な減毛効果を目的とした医療機器として承認されたレーザー装置について、厚生労働省は適正使用の通知を出しており、「不適切に使用した場合には合併症(熱傷、色素沈着過度等)のリスクがあることが明らかとなっている」とされています。

8. 医師のアドバイス

資料には、西山美容・形成外科医院の西山真一郎院長のアドバイスが載っています。要点は次のとおりです。

9. 国民生活センターのアドバイス

最後に、この記事の要点をもう一度。

① 脱毛の危害相談は約5年間で964件(エステ680件、医療機関284件)。皮膚障害とやけどが多い

② 毛乳頭などを破壊する脱毛は医行為。エステでできるのは、医行為に該当しない範囲の施術だけ

③ アンケートでは約4分の1に症状が出た経験があり、その7割以上はリスクの説明を受けていなかった

④ 施術前にリスクの説明を求める。「痛みゼロ」などの広告をうのみにしない

⑤ 危害を受けたら、施術先に申し出て、必要なら速やかに受診。消費生活センター等(188)に相談

10. よくある質問

エステの脱毛と医療機関の脱毛は、何が違いますか?

国民生活センターによると、毛乳頭や皮脂腺開口部等を破壊する行為は医行為に該当するため、医療機関でしか行うことができません。エステで行うことができるのは、光を照射すること等による一時的な除毛・減毛など、医行為に該当しない範囲の施術のみです。

脱毛で、どんな危害が起きていますか?

国民生活センターの2017年の資料では、約5年間に脱毛施術による危害の相談が964件寄せられ、エステ、医療機関ともに皮膚障害と熱傷が多くみられました。やけどの後に色素沈着が残った事例や、毛のう炎と診断された事例などが紹介されています。

施術の前に、リスクの説明は受けられますか?

国民生活センターのアンケートでは、脱毛を受けた後にやけど等の症状が出た255人のうち、施術前に脱毛によって起こり得るトラブルや副作用の説明を受けた人は26.3%で、7割以上は説明を受けていませんでした。国民生活センターは、施術を受ける前に十分な説明を求めるよう呼びかけています。

脱毛のあとにやけどをしたら、どうすればいいですか?

国民生活センターは、施術を受けたエステや医療機関に申し出た上で、必要な場合は速やかに医療機関を受診し、適切な診断・治療を受けるよう呼びかけています。早めに最寄りの消費生活センター等(消費者ホットライン188)に相談することもすすめています。

参考にした主な資料

凪
なぎ先生

内科系の臨床に15年ほど携わる医師。生活習慣病・ホルモン・栄養の相談を日常的に受けています。中立性の担保と診療継続のため、ペンネームで執筆しています。→ 運営者について

この記事は健康情報の提供を目的としたものであり、診断・治療に代わるものではありません。本文で紹介した内容は、国民生活センターの報道発表資料「なくならない脱毛施術による危害」(2017年5月11日)にもとづくもので、公開時点の情報です。掲載内容の誤りにお気づきの際はお問い合わせからお知らせください。