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MEDICALLY REVIEWED BEAUTY & HEALTH
肌

類天疱瘡とは
——高齢者に多い、かゆみを伴う赤い斑点と、パンパンに張った水ぶくれ

親が、からだのあちこちがかゆいと言い、大きな水ぶくれができてきた——そんなときに知っておきたい病気です。
日本皮膚科学会によると、類天疱瘡は、自分の皮膚に対する抗体(自己抗体)ができて皮膚を傷つけ、水ぶくれを作る病気です。いちばん多い水疱性類天疱瘡は、60歳以上、特に70〜90歳台の高齢者にみられます。
類天疱瘡は、どのタイプもうつりません。

執筆:なぎ先生(内科医) 公開:2026年10月30日 読了:約7分

1. 先に結論

よくある思い込み資料の記述
水ぶくれがたくさん出るなら、うつる病気では類天疱瘡はどのタイプもうつらない。ただし、破れたところに細菌がつかないよう清潔にする
高齢者の病気は、治療が難しい高齢者に発症した場合は比較的容易にコントロールできる傾向がある。ただし高齢者はステロイドの飲み薬の副作用が出やすく、慎重な治療が必要
落ち着いてきたら、薬は自分の判断で減らしてよい飲み薬を自己判断で変えたりやめたりすると、急に水ぶくれが再発することがある

この記事でいちばんお伝えしたいこと。

水疱性類天疱瘡は、わずかな外からの力が当たるところにも水ぶくれができることがあります。学会は、絆創膏を皮膚に直接貼らず、病変全体をガーゼで包み、その上から絆創膏やネットで固定すること、手足や肘・膝をぶつけないこと、擦れる下着や服、きついベルトを避けることを挙げています。

2. 類天疱瘡とは——自分の皮膚に対する抗体

日本皮膚科学会の皮膚科Q&Aによると、類天疱瘡は次のような病気です。

学会は、最近は類天疱瘡の原因も少しずつ明らかになり、治療法も進歩して、治癒に至ることもあるとしています。そのうえで、きちんとした検査で確実な診断をつけ、より良い治療を行っていく必要があるとしています。

3. 種類と、かかりやすい人

病型資料の記述
水疱性類天疱瘡類天疱瘡でもっとも患者さんが多い病型。高齢者に多く、年齢的には60歳以上、特に70〜90歳台。まれに18歳以下の若い人や子どもにもみられる。日本の高齢化で、さらに多くの患者さんがいると考えられる
粘膜類天疱瘡口や目などの粘膜を中心に症状が出る
後天性表皮水疱症自己抗体の標的が、水疱性類天疱瘡と異なる

出典:日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「類天疱瘡(水疱症)」Q2をもとに整理。この3つは厚生労働省の指定難病に認定されています。

このほか、まれな病型として、妊娠性類天疱瘡、抗p200類天疱瘡、疱疹状皮膚炎、線状IgA水疱性皮膚症、IgM類天疱瘡があります。

4. 原因——糖尿病の薬との関係も

学会によると、水疱性類天疱瘡は、表皮と真皮の境の基底膜にある接着のための構造(ヘミデスモソーム)を作るタンパク質、BP180とBP230に対する抗体ができることで起こります。病気の勢いは、水ぶくれの数や、血液中の抗体の量を参考にして決めます。

学会は、薬との関係についても書いています。

5. 症状

病型症状
水疱性類天疱瘡全身のあちこちに、かゆみを伴う赤い斑点(紅斑)と、大きくパンパンに張った、破れにくい水ぶくれができる。水ぶくれが破れたあとはただれ(びらん)になる。時に口の中にもただれができる
粘膜類天疱瘡口の中を中心に、目、鼻の中、のど、陰部、肛門などの粘膜に水ぶくれやただれができる。口だけ、目だけに症状が出る人もいる
後天性表皮水疱症肘や膝など外からの刺激を受けやすいところに水ぶくれをくり返し、赤みが少ないタイプと、水疱性類天疱瘡のように水ぶくれと赤みの両方がみられるタイプがある

出典:日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「類天疱瘡(水疱症)」Q4をもとに整理。

学会によると、類天疱瘡はどのタイプもうつりません。ただし、水ぶくれが破れてできたただれに細菌がつくと、傷の回復が遅れることがあるので、清潔にする必要があります。

なお、日本皮膚科学会の皮膚科Q&A「とびひ」は、高齢者のとびひでは水疱性類天疱瘡などとの区別が必要なこともあるとしています(とびひの記事)。

6. 検査

7. 治療と、ステロイドの副作用

資料の記述
軽症の水疱性類天疱瘡まず強力なステロイドの塗り薬や、テトラサイクリン系の抗生剤(ドキシサイクリンやミノサイクリン)、レクチゾールの飲み薬。ミノサイクリンにニコチン酸アミドの飲み薬を併用することもある。これらで悪化する場合はステロイドの飲み薬
中等症以上の水疱性類天疱瘡ステロイドの飲み薬が中心。中等量で有効なことが多い。なかなか落ち着かない場合は、重い天疱瘡と同様の治療(ステロイドパルス療法、免疫グロブリン大量静注療法、免疫抑制剤の併用、血漿交換療法の併用)。飲み薬の代わりに、強力なステロイドを全身に塗る治療もある
粘膜類天疱瘡軽症ではステロイドのうがい(口の中の病変に)や塗り薬、テトラサイクリン系の抗生剤、レクチゾールの飲み薬。症状が強いときや口以外の粘膜にも症状があるときはステロイドの飲み薬
後天性表皮水疱症水疱性類天疱瘡とほぼ同様。テトラサイクリン系の抗生剤はあまり使われず、コルヒチンが使われることがある

出典:日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「類天疱瘡(水疱症)」Q7をもとに整理。薬の量は主治医の判断によります。

学会は、ステロイドの飲み薬の副作用として、満月様顔貌(顔が丸くなる)や体重増加をはじめ、高血圧、糖尿病、高脂血症、消化性潰瘍、不眠、骨粗鬆症、白内障、緑内障、大腿骨頭壊死、ニキビなどを挙げています。

学会は、こうした副作用は高齢者に起こりやすいと考えられるため、高齢者に多い水疱性類天疱瘡では特に注意する必要があるとしています。ステロイドと骨については骨粗鬆症の記事でも書いています。

8.【核心】経過と、日常生活の注意

学会によると、経過は次のとおりです。

「最終的に全ての治療を中止しても皮膚病変は出現せず、治癒したと考えられる患者さんも多くおりますので、期待して治療を継続して頂きたいと思います。」(日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「類天疱瘡(水疱症)」Q9)

学会は、日常生活の注意として次の点を挙げています。

資料の記述
薬飲み薬を自己判断で変えたりやめたりすると、急に水ぶくれが再発することがある。主治医の指示を守り、飲み忘れがないようにする。副作用の徴候があるときは、すぐに主治医に知らせる
家族治療には家族の理解や協力も必要。診断が確定して治療を始めるときには、身近な家族にも病気の性質や治療などについて説明がある
皮膚を守るわずかな外からの力が当たるところにも水ぶくれができることがある。絆創膏は直接貼らず、病変全体をガーゼで包み、その上から絆創膏やネットで固定する。手足や肘、膝をぶつけないようにし、擦れる下着や服、きついベルトは避ける

出典:日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「類天疱瘡(水疱症)」Q10をもとに整理。

9. 医療費の助成

学会によると、水疱性類天疱瘡、粘膜類天疱瘡、後天性表皮水疱症は厚生労働省の指定難病に認定されていて、医療費の助成を受けることができます。病気ごとに認定基準があり、主治医の診断にもとづいて都道府県に申請し、認定されると「特定医療費(指定難病)受給者証」が交付されます。詳しくは難病情報センターのホームページで確認できます。

10. 受診したいとき

資料にあるもの

・全身のあちこちに、かゆみを伴う赤い斑点ができた

・大きくパンパンに張った水ぶくれができた。破れたあとがただれている

・口の中や目などの粘膜に、水ぶくれやただれがある

・類天疱瘡の治療中に、副作用の徴候がある(すぐに主治医へ)

最後に、この記事の要点をもう一度。

① 類天疱瘡は、自分の皮膚に対する抗体で水ぶくれができる病気。うつらない

② いちばん多い水疱性類天疱瘡は60歳以上、特に70〜90歳台。かゆみを伴う赤い斑点と、パンパンに張った破れにくい水ぶくれ

③ 糖尿病の薬(DPP-4阻害薬)を飲んでいる人で発症頻度が比較的高い。詳しい因果関係は不明

④ 高齢者は比較的容易にコントロールできる傾向。ただしステロイドの副作用に注意し、薬を自己判断でやめない

⑤ 絆創膏は直接貼らず、ガーゼで包んでから固定。指定難病で医療費の助成がある

11. よくある質問

類天疱瘡とはどんな病気ですか?

日本皮膚科学会によると、表皮と真皮の境目にある基底膜部に対する自己抗体ができ、表皮と真皮の接着が悪くなって水ぶくれができる病気です。天疱瘡とあわせて自己免疫性水疱症とも呼ばれます。どうして特定の人に自己抗体ができるのかは、はっきりしていません。

類天疱瘡はうつりますか?

学会によると、類天疱瘡はどのタイプもうつりません。ただし、水ぶくれが破れてできたただれに細菌がつくと、傷の回復が遅れることがあるので、清潔にする必要があります。

どんな人がかかりやすいですか?

学会によると、もっとも多い水疱性類天疱瘡は高齢者に多く、60歳以上、特に70〜90歳台にみられます。まれに18歳以下の若い人や子どもにもみられます。DPP-4阻害薬を飲んでいる糖尿病の患者さんや、免疫チェックポイント阻害薬の治療を受けているがんの患者さんで、発症頻度が比較的高いことがわかっています。

治療はどうなりますか?

学会によると、軽症の水疱性類天疱瘡では強力なステロイドの塗り薬や、テトラサイクリン系の抗生剤などの飲み薬を使います。中等症以上ではステロイドの飲み薬が中心です。高齢者ではステロイドの副作用が出やすいので、慎重な治療が必要とされています。

日常生活で気をつけることはありますか?

学会によると、飲み薬を自己判断で変えたりやめたりすると急に水ぶくれが再発することがあるので、主治医の指示を守ります。わずかな外力でも水ぶくれができることがあるため、絆創膏は直接貼らずに病変全体をガーゼで包み、その上から絆創膏やネットで固定します。擦れる下着や服、きついベルトは避けます。

医療費の助成はありますか?

学会によると、水疱性類天疱瘡、粘膜類天疱瘡、後天性表皮水疱症は厚生労働省の指定難病に認定されていて、医療費の助成を受けることができます。主治医の診断にもとづいて都道府県に申請し、認定されると受給者証が交付されます。

参考にした主な資料

凪
なぎ先生

内科系の臨床に15年ほど携わる医師。生活習慣病・ホルモン・栄養の相談を日常的に受けています。中立性の担保と診療継続のため、ペンネームで執筆しています。→ 運営者について

この記事は健康情報の提供を目的としたものであり、診断・治療に代わるものではありません。本文で紹介した内容は、日本皮膚科学会の皮膚科Q&A「類天疱瘡(水疱症)」にもとづくもので、公開時点の情報です。治療中の薬は自己判断で変えたりやめたりせず、主治医に相談してください。水ぶくれやただれが続く場合は皮膚科を受診してください。掲載内容の誤りにお気づきの際はお問い合わせからお知らせください。