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MEDICALLY REVIEWED BEAUTY & HEALTH
肌

酒さ(赤ら顔)とは
——4つのタイプと、タイプで変わる治療。ガイドライン2023で整理

顔の赤みや火照りが続く。ニキビのようなブツブツが出るのに、白ニキビや黒ニキビはない。
日本皮膚科学会の「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」によると、酒皶(しゅさ)は主として中高年の顔面に生じる原因不明の慢性炎症性疾患で、紅斑と毛細血管拡張、火照り感を主体とする症状は「赤ら顔」とも呼ばれます。
2023年の改訂は主に酒皶の部分が見直されました。4つのタイプ、悪くする因子、タイプ別の治療と推奨度、スキンケアを、ガイドラインで整理します。

執筆:なぎ先生(内科医) 公開:2026年11月5日 読了:約7分

1. 先に結論

知っておきたいことガイドラインの記述
どんな病気か主として中高年の顔面に生じる、原因不明の慢性炎症性疾患
タイプ赤ら顔(第1度)、ニキビに似たブツブツ(第2度)、鼻のこぶ(第3度)、目の症状(眼型)。単独または混在する
ニキビとの違いニキビとは異なり、面皰(白ニキビ・黒ニキビ)を伴わない
悪くする因子紫外線、外気温の急激な変化、刺激のある食べ物やアルコールの摂取など
治療タイプで異なる。ブツブツタイプには0.75%メトロニダゾールゲルが推奨度A。赤ら顔タイプにはレーザー・光治療が選択肢(推奨度C1)

この記事でいちばんお伝えしたいこと。

酒さは、タイプによって治療がまったく違う病気です。ガイドラインが「強く推奨する」(推奨度A)としている治療は、ブツブツタイプ(第2度)へのメトロニダゾールゲルの外用だけです。赤みが中心のタイプ(第1度)には、日本の薬の承認状況から一様に推奨できる塗り薬や飲み薬はないとされ、レーザー・光治療は保険適用外であることに注意が必要です。どのタイプでも、遮光と刺激の少ないスキンケアが選択肢として推奨されています。

2.【核心】酒さには4つのタイプがある

ガイドラインは、酒皶を次の4つのタイプが単独もしくは混在するのを特徴とする病気としています。以前は進行度・重症度に合わせて第1度から第3度と呼ばれてきました。

タイプ主な症状
紅斑毛細血管拡張型
(第1度酒皶・紅斑性酒皶)
紅斑と毛細血管拡張、火照り感が主体。「赤ら顔」とも呼ばれる
丘疹膿疱型
(第2度酒皶・酒皶性痤瘡)
ニキビに似た丘疹・膿疱が主な症状。ただし面皰を伴わない
瘤腫型・鼻瘤
(第3度酒皶)
鼻を中心とした腫瘤を形成する。鼻瘤が代表
眼型(眼合併症)まぶたや白目(眼球結膜)の充血や炎症を伴う

出典:日本皮膚科学会「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」の用語の解説をもとに整理。

3. 悪くする因子と、ニキビとの違い

ガイドラインは、酒皶の増悪因子として次を挙げています。

スキンケアの項目では、紫外線や寒暖差、乾燥を防ぐことが症状の改善に寄与するとしています。また、発作的に赤くなる紅斑に対しては、きっかけ(トリガー)となる刺激因子(日光を浴びること、寒暖差など)を避けることが症状の軽減につながるため、日常的な患者教育も重要としています。

ニキビ(尋常性痤瘡)との大きな違いは、面皰を伴わないことです。ガイドラインは、酒皶を「痤瘡類似疾患として鑑別が必要で,かつ治療方針が異なる」病気として扱っています。ニキビの治療と見分け方はニキビの記事で書いています。

4.【一覧】タイプ別の治療と推奨度

ガイドラインの「酒皶病型別治療一覧2023」(表2)をもとに整理しました。推奨度は、A(強く推奨する)、C1(選択肢の一つとして推奨する)、C2(十分な根拠がないので推奨しない)です。

タイプ推奨度治療
赤ら顔
(第1度)
C1スキンケア、パルス色素レーザー、ロングパルスのヤグレーザー、IPL(光治療)
C2漢方
ブツブツ
(第2度)
Aメトロニダゾール(外用)
C1アゼライン酸(外用)、スキンケア、ドキシサイクリン・ミノサイクリン・テトラサイクリン(内服)
C2イオウカンフルローション(外用)、イベルメクチン・メトロニダゾール・漢方(内服)、レーザー治療
鼻のこぶ
(第3度)
C2外科的切除、炭酸ガスレーザー、ロングパルスのヤグレーザー

出典:日本皮膚科学会「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」表2「酒皶病型別治療一覧2023」をもとに整理。眼型(眼合併症)の眼科的治療には言及しないが、併存する皮膚症状に関しては上記に従うとされている。

5. 赤ら顔タイプ(第1度)——レーザー・光治療

ガイドラインは、赤ら顔タイプにパルス色素レーザー、ロングパルスのヤグレーザー、IPL(光治療)を選択肢の一つとして推奨しています(推奨度C1)。レーザー・光治療は、毛細血管拡張を減らしたり縮小させたりすることで症状を改善するとされています。

一方で、ガイドラインは次の点にも触れています。

塗り薬と飲み薬については、日本の薬の承認状況などから、赤ら顔タイプに一様に推奨できる外用薬や内服薬(漢方を含む)はないとされています(推奨度C2)。ブツブツタイプに使うメトロニダゾールゲルも、毛細血管拡張に伴う赤みへの有効性の根拠はないとされています。

6. ブツブツタイプ(第2度)——メトロニダゾールゲルが推奨度A

ガイドラインは、丘疹膿疱型酒皶に0.75%メトロニダゾールゲルの外用治療を強く推奨しています(推奨度A)。

ほかの治療ガイドラインの記述
アゼライン酸(外用)日本での根拠が乏しいので、選択肢の一つとして推奨(C1)。アゼライン酸を含む低刺激性の製剤が化粧品として販売されているが、医薬品としては未承認で、酒皶に対する有効性の検証試験は行われていない
イオウカンフルローション(外用)酒皶に保険適用があり、保険診療で使える。ただし、ガイドラインの基準にそった日本での良質な根拠はない(C2)
テトラサイクリン系の飲み薬(ドキシサイクリン・ミノサイクリン・テトラサイクリン)日本での根拠が乏しいので、選択肢の一つとして推奨(C1)。妊娠中には投与されるべきではない。子どもでは歯の黄ばみなどの副作用から慎重に検討。長期使用による耐性菌にも注意
漢方、イベルメクチン・メトロニダゾールの飲み薬推奨できる良質な根拠はない(C2)
レーザー治療有効性を検証する比較試験は行われておらず、一様に推奨できるレーザー治療はない(C2)

出典:日本皮膚科学会「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」CQ S2 をもとに整理。

7. 鼻のこぶ(第3度)と、目の症状

鼻のこぶ(瘤腫型酒皶・鼻瘤)について、ガイドラインは、外用療法・内服療法・外科的治療・レーザー治療などを「行ってもよいが,推奨はしない」としています(推奨度C2)。そのうえで、一人ひとりの患者に対して、これらの治療の一部や組み合わせた治療を考慮することが望まれるとしています。

目の症状(眼型酒皶)は、酒皶の炎症がまぶたの縁のまつ毛のまわりや、脂を出すマイボーム腺のまわりに及んだもので、まぶたの縁、まぶたの裏、白目に赤み、充血、ドライアイ、目やにの増加などの症状をきたすと考えられています。ガイドラインは、現時点では眼型酒皶に対するコンセンサスの得られた治療方法はないとしています。

8. スキンケア——遮光と、刺激の少ない洗顔料・保湿剤

ガイドラインは、酒皶に適切な遮光と、低刺激性の洗顔料や保湿剤の適切な使用についての指導を、選択肢の一つとして推奨しています(推奨度C1)。

紫外線を防ぐ方法は日焼け止めの選び方・塗り方の記事で書いています。

最後に、この記事の要点をもう一度。

① 酒さは、主として中高年の顔に生じる原因不明の慢性炎症性疾患。面皰を伴わない

② 赤ら顔・ブツブツ・鼻のこぶ・目の症状の4つのタイプが、単独または混在する

③ 悪くする因子は紫外線、急な気温の変化、刺激のある食べ物、アルコール

④ ブツブツタイプにはメトロニダゾールゲルが推奨度A。赤ら顔タイプのレーザー・光治療は選択肢だが保険適用外

⑤ どのタイプでも、遮光と低刺激の洗顔料・保湿剤。カバーメイクも選択肢

9. よくある質問

酒さとニキビはどう違いますか?

日本皮膚科学会のガイドラインによると、酒皶はニキビ(痤瘡)とは異なり、面皰(白ニキビ・黒ニキビ)を伴いません。主として中高年の顔面に生じ、紅斑と毛細血管拡張、火照り感を主体とした赤ら顔や、ニキビに似た丘疹・膿疱などがみられます。治療方針も異なるため、見分けることが必要とされています。

何が赤みを悪くしますか?

ガイドラインは、増悪因子として紫外線、外気温の急激な変化、刺激のある食べ物やアルコールの摂取などを挙げています。発作的な赤みには、日光を浴びることや寒暖差などのきっかけを避けることが症状の軽減につながるとしています。

赤ら顔に塗り薬は使えますか?

ガイドラインは、赤みが中心のタイプ(紅斑毛細血管拡張型)には、日本の薬の承認状況から一様に推奨できる外用薬はないとしています。ニキビに似たブツブツのタイプ(丘疹膿疱型)には、0.75%メトロニダゾールゲルの外用を強く推奨しています。

レーザー治療は保険がききますか?

ガイドラインによると、赤ら顔タイプにはパルス色素レーザーなどのレーザー・光治療が選択肢の一つとして推奨されていますが、毛細血管拡張症以外の酒皶の症状に対するパルス色素レーザーは保険適用がないことに留意が必要とされています。施術では、保険適用外であること、効果に個人差があること、再発の可能性があることなどの十分な説明が必要とされています。

参考にした主な資料

凪
なぎ先生

内科系の臨床に15年ほど携わる医師。生活習慣病・ホルモン・栄養の相談を日常的に受けています。中立性の担保と診療継続のため、ペンネームで執筆しています。→ 運営者について

この記事は健康情報の提供を目的としたものであり、診断・治療に代わるものではありません。本文で紹介した内容は、日本皮膚科学会「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」にもとづくもので、公開時点の情報です。顔の赤みの原因はさまざまなので、自己判断せず皮膚科に相談してください。掲載内容の誤りにお気づきの際はお問い合わせからお知らせください。