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からだの変化

白内障と老眼
——60歳代で約70%、70歳代で90%が白内障。かすむ・まぶしいは手術で、眼内レンズは担当医と選ぶ

最近、景色がかすんで見える。夜の車のライトがまぶしい。手元の文字が見えにくくなってきた——そんな方に向けた記事です。
日本眼科学会によると、白内障は目の中のレンズ(水晶体)が濁る病気で、主な原因は加齢です。60歳代で約70%、70歳代で90%、80歳代ではほとんどの人が白内障になります。
濁った水晶体を点眼薬や内服薬でもとに戻すことはできず、手術が主な治療です。一方、近くが見えにくくなる老眼(老視)は、40代くらいから始まるピントを合わせる力の衰えで、白内障とは別のものです。

執筆:なぎ先生(内科医) 公開:2026年10月23日 読了:約8分

1. 先に結論

よくある思い込み資料の記述
白内障は目薬で治療できる進行を遅らせる点眼薬と内服薬はあるが、濁った水晶体をもとに戻すことはできない。そのため手術治療が主な治療
手術は時間が短く、切開が小さいほど良いそれは間違った認識。手術時間は白内障の程度や病状によって異なり、合併症で重い視力障害が生じる場合もあるので、眼科医とよく相談して決める
高い眼内レンズほど良い最新の眼内レンズや費用が高額な眼内レンズが優れているわけではなく、すべての人に向いているわけでもない。担当医とよく相談して選ぶ
近視の人は老眼にならないよく耳にするが誤り。近視の人は老眼の症状を自覚しにくいが、遠くを見るためのメガネをかけたまま近くを見るとぼやける

この記事でいちばんお伝えしたいこと。

白内障は年齢とともにほとんどの人に起こる病気で、治療の中心は手術です。かすみ・まぶしさ・だぶって見えることで生活に困るようになったら眼科で相談し、眼内レンズは担当医とよく相談して選んでください。

2.【核心】白内障は年齢とともに、ほぼ誰にでも

年代別、白内障になっている人の割合 日本眼科学会「白内障」の記述をもとに作図(80歳代は「ほとんどの人」) 60歳代 70歳代 80歳代 約70% 90% ほとんどの人 主な原因は加齢。軽度の白内障は症状がなく、通常ゆっくり年月をかけて進行する 出典:日本眼科学会「白内障」(監修:日本白内障屈折矯正手術学会)

生まれつき白内障がある「先天性白内障」もあります。

白内障は、目の中にある水晶体というレンズが濁ることで、見る機能が低下する病気です。日本眼科学会は、主な原因が加齢であるため、60歳代で約70%、70歳代で90%、80歳代ではほとんどの人が白内障になるとしています。

3. 白内障を進行させる要因と、症状

要因資料の記述
加齢以外の要因喫煙、紫外線曝露、放射線曝露も白内障を進行させる
病気・薬など糖尿病、強度近視、アトピー性皮膚炎、外傷、ステロイドや向精神薬などは白内障を進行させる

アトピー性皮膚炎についてはアトピー性皮膚炎の記事で書いています。

4. 治療——薬では元に戻らず、手術が中心

「白内障の進行を遅らせる点眼薬と内服薬がありますが、濁った水晶体をもとに戻すことはできません。そのため手術治療が主な治療となります。」(日本眼科学会「白内障」)

日本眼科学会の「白内障手術」の解説によると、手術は次のように行います。

「手術時間が短いことが良い手術とか、切開が小さく簡単な手術といった間違った認識があります」(日本眼科学会「白内障手術」)

日本眼科学会は、手術時間は白内障の程度や病状によって異なり、また手術の合併症によって重い視力障害が生じる場合もあるので、眼科医とよく相談して決める必要があるとしています。一般的に手術の効果は良好とされています。

5. 眼内レンズの選び方

眼内レンズは、水晶体の代わりに目の中に入れる人工の水晶体です。ほとんどが、小さな切開から入れられる柔らかい素材(アクリル樹脂、シリコンなど)でできています。ただし、水晶体と違ってすべての距離にピントを合わせることはできません。

種類資料の記述
単焦点眼内レンズ現在最も多く使用されている
多焦点眼内レンズより広い範囲にピントが合う。眼鏡の必要性が減り、遠くの視力を保ったまま中間〜近くを眼鏡なしで見られるのが最大のメリット。一方、くっきり見えるかどうか(コントラスト感度)が下がる、ハローやグレア(光の輪・夜間の光のにじみ)が出ることがあり、一般に単焦点より見え方の質が低下する。慣れるまで時間がかかることも。基礎部分は保険で給付され、特別料金部分は全額自己負担になる形か、全額自己負担で、費用は施設により異なる
トーリック眼内レンズ単焦点・多焦点のどちらにもある、乱視を同時に矯正する眼内レンズ

「最新の眼内レンズや費用が高額となる眼内レンズが優れているというわけではなく、また、すべての患者さんに向いているというわけではありませんので、担当医とよく相談して眼内レンズを選択することが重要です。」(日本眼科学会「白内障手術」)

6. 手術のあとの見え方と注意点

7. 老眼(老視)——「近視の人は老眼にならない」は誤り

日本眼科学会によると、老視は、遠くや近くに自由にピントを変える力(調節力)が衰え、近くのものを見るのが難しくなった状態で、昔から俗に「老眼」と呼ばれています。

「「近視の人は老眼にならない」ということをよく耳にしますがこれは誤りです。」(日本眼科学会「老視(老眼)」)

治療は眼鏡やコンタクトレンズを使います。そのほか、手術や点眼薬(日本では未承認)による治療もあるとされています。老眼と目の疲れ、アイフレイルについては目の健康とアイフレイルの記事で詳しく書いています。

8.【内科医の視点】進行させる要因に、内科の病気と薬がある

内科医として、ここはぜひ知っておいてほしいところです。資料は、白内障を進行させるものとして喫煙、糖尿病、ステロイドや向精神薬を挙げています。糖尿病の治療中の方や、ステロイドを使っている方は、こうした関係があることを知っておいてください。糖尿病の目の合併症については糖尿病網膜症の記事で書いています。

もう一つは、眼内レンズは「高いほど良い」わけではないことです。資料は、多焦点眼内レンズにはメリットとデメリットの両方があり、術前に眼科専門医とよく相談する必要があるとしています。自分の目の状態と生活に合うものを、担当医と一緒に選んでください。

9. 眼科を受診・相談したいとき

眼科を受診・相談したいとき

・かすむ、まぶしい、だぶって見える、だんだん見にくい

・手元が見にくい(遠視・近視の方も)

・糖尿病がある、ステロイドを使っている

・白内障の手術後に、見え方の異常を感じる(後発白内障や他の病気のことがある)

最後に、この記事の要点をもう一度。

① 白内障は60歳代で約70%、70歳代で90%、80歳代ではほとんどの人

② 喫煙・紫外線・糖尿病・ステロイドなども進行させる

③ 薬ではもとに戻らず、手術が主な治療。手術時間の短さで良し悪しは決まらない

④ 眼内レンズは高額=優れている、ではない。担当医とよく相談して選ぶ

⑤ 老眼は40代くらいから。近視の人も老眼になる

10. よくある質問

白内障はどのくらいの人がなりますか?

日本眼科学会によると、白内障の主な原因は加齢で、60歳代で約70%、70歳代で90%、80歳代ではほとんどの人が白内障になります。加齢以外に、喫煙、紫外線曝露、糖尿病、ステロイドなども白内障を進行させる要因とされています。

白内障は目薬で治療できますか?

日本眼科学会によると、白内障の進行を遅らせる点眼薬と内服薬はありますが、濁った水晶体をもとに戻すことはできません。そのため手術治療が主な治療となります。手術では濁った水晶体を取り除き、人工の眼内レンズを目の中に固定します。

多焦点眼内レンズのほうが良いのですか?

日本眼科学会によると、多焦点眼内レンズは眼鏡の必要性が減る一方、コントラスト感度が下がったり、ハローやグレアが出たりすることがあり、一般に単焦点眼内レンズよりも見え方の質が低下します。最新や高額な眼内レンズが優れているわけではなく、すべての人に向いているわけでもないため、担当医とよく相談して選ぶことが重要とされています。

白内障の手術のあとは何に気をつければいいですか?

日本眼科学会によると、一定期間は処方された点眼液をさす必要があり、医師の許可が下りるまでは自分での洗顔や洗髪は控えて清拭のみとし、汚い手で目をこすらないようにします。白内障は再発しませんが、長期的には後発白内障などで視力が低下することもあるため、異常を感じたら眼科を受診してください、とされています。

近視の人は老眼にならないのですか?

日本眼科学会は、「近視の人は老眼にならない」というのは誤りだとしています。近視の人はもともと近くにピントが合いやすいため老眼の症状を自覚しにくいものの、遠くを見るためのメガネをかけた状態で近くのものがぼやけるなどの症状が出ます。

参考にした主な資料

凪
なぎ先生

内科系の臨床に15年ほど携わる医師。生活習慣病・ホルモン・栄養の相談を日常的に受けています。中立性の担保と診療継続のため、ペンネームで執筆しています。→ 運営者について

この記事は健康情報の提供を目的としたものであり、診断・治療に代わるものではありません。本文で紹介した内容は、日本眼科学会の一般向け解説にもとづくもので、公開時点の情報です。手術を受けるかどうかや眼内レンズの種類は、目の状態や生活によって異なるため、眼科医とよく相談してください。手術後に見え方の異常を感じた場合は眼科を受診してください。掲載内容の誤りにお気づきの際はお問い合わせからお知らせください。