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からだの変化

子宮体がんとは
——婦人科で最も多いがん。初期症状は不正出血、子宮にとどまれば80%以上が治癒

更年期や閉経後に出血があった方、月経不順が続いている方、家族にがんの人がいて気になる方に向けた記事です。
日本産科婦人科学会によると、日本では毎年約18,000人の女性が子宮体がんにかかり、約2,500人が亡くなっています。婦人科のがんで最も多く、今も年々増えています。
最も多い自覚症状は不正な性器出血です。病気が子宮にとどまっていれば、80%以上の方が治癒します。

執筆:なぎ先生(内科医) 公開:2026年10月27日 読了:約7分

1. 先に結論

よくある思い込み資料の記述
子宮のがんといえば子宮頸がん婦人科のがんで最も多いのは子宮体がん。今も年々増えている
閉経後の少しの出血は気にしなくていい最も多い症状は不正な性器出血。とくに更年期や閉経後の不正出血は産婦人科へ
がんの検査は大がかり子宮内膜の検査は外来で行える。特別な準備は必要なく、割と簡単に受けられる
がんと言われたら治りにくい治りにくいタイプのがんではない。病気が子宮にとどまっていれば80%以上が治癒

この記事でいちばんお伝えしたいこと。

子宮体がんは、不正出血という初期症状が出ることが多いがんです。その初期症状を見逃さないことが重要で、とくに更年期や閉経後に出血があったら、産婦人科を受診してください。早期発見・早期治療が、何といっても大切です。

2. 子宮体がんとは——子宮の奥の内膜から

日本産科婦人科学会によると、子宮は、妊娠したときに赤ちゃんを育てる子宮体部と、出産のときに産道の一部になる子宮頸部に分けられます。このうち子宮体部にできるがんが、子宮体がんです。

3.【核心】2つの女性ホルモンと、なりやすい人

学会によると、子宮体がんには卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)という2つの女性ホルモンが深く関わっています。

2つの女性ホルモンと、子宮体がんができるまで 日本産科婦人科学会「子宮体がん」をもとに整理 卵胞ホルモン(エストロゲン) 黄体ホルモン(プロゲステロン) 子宮内膜の細胞を増やして厚くする 内膜の細胞が増えるのを抑える この2つの働きが乱れ、内膜の細胞が増え続けると 子宮内膜増殖症(前段階) 子宮体がん(子宮内膜がん) → このほか、女性ホルモンと関係なく、遺伝子の異常で起こるタイプ(高齢者に多い)もある 出典:日本産科婦人科学会「子宮体がん」をもとに作図

卵胞ホルモンと黄体ホルモンの働きが乱れることが、発生に深く関わると考えられています。

タイプ子宮体がんのリスクが高いといわれる方
女性ホルモンと関係するタイプ出産したことがない/肥満/月経不順がある/卵胞ホルモン製剤だけを服用し続けている
女性ホルモンと関係なく起こるタイプ(高齢者に多い・遺伝子の異常が原因とされる)高血圧や糖尿病がある/近親者に乳がんや大腸がんの患者がいる

4. 症状——いちばん多いのは不正出血

学会によると、子宮体がんで最も多い自覚症状は不正な性器出血(異常子宮出血)です。

不正出血の種類や、更年期の出血との見分け方については40代からの不正出血の記事で書いています。

5. 検査——外来で受けられる

学会によると、子宮内膜の検査は、子宮頸がんと同じように外来で行うことができます。

検査内容
子宮内膜細胞診子宮の中へ細い棒状の器具を入れて、細胞をとる
子宮内膜吸引組織診組織を吸引してとる。疑わしい場所があれば、スプーン状の器具で組織をとることもある
超音波検査子宮体がんでは内膜が厚くなることが多いので有用。ただし初期のがんだと見つけられない可能性がある

学会は、子宮体がんの検査には特別な準備は必要なく、超音波や細胞・組織の検査を割と簡単に受けられるとしています。自治体などで受ける子宮頸がん検診との違いは、子宮頸がん検診の記事も参考にしてください。

6. 進行期と治療

子宮体がんの進行期(ステージ)は、がんの進み具合や広がりによってⅠ期からⅣ期に分けられます。学会が紹介している治療は次のとおりです。

治療内容
手術がんの進み具合にもよるが、子宮、卵巣・卵管、リンパ節を摘出する手術が一般的。開腹術に加えて、最近は腹腔鏡手術やロボット手術にも保険診療が適応されている。施設によるが、一定の条件を満たせば体の負担がより少ない手術も可能かもしれない
抗がん剤・放射線手術で完全に取り切るのが難しい場合や、手術後に再発リスクが高いと分かった場合に行う。最近は免疫チェックポイント阻害薬や分子標的薬など、新たな選択肢も増えている
ホルモン剤による治療若い女性が将来の妊娠・出産のために子宮を残すことを希望する場合。ただし対象はごく初期の子宮体がんに限られ、治療できるがんのタイプも決まっている

7.【内科医の視点】血圧・血糖・体重も、リスクの一つ

内科医として目を留めたいのは、学会がリスクとして挙げている項目に、肥満・高血圧・糖尿病が入っていることです。ふだん内科で扱う病気が、婦人科のがんのリスクにもつながっています。肥満とメタボについてはメタボと肥満症の記事で書いています。

もう一つは、卵胞ホルモン製剤だけを服用し続けることがリスクに挙げられている点です。更年期のホルモンの治療については更年期の治療の記事で書いています。

8. 受診したいとき

産婦人科に相談したいとき(資料にあるもの)

・更年期や閉経後に不正な出血があった

・閉経前でも、もともと月経不順がある、乳がんになったことがあり、不正な出血がある

・そのほか気になる症状がある(学会は、気になる症状があれば近くの産婦人科へ相談を、としている)

最後に、この記事の要点をもう一度。

① 子宮体がんは子宮の奥の内膜から。婦人科のがんで最も多く、年々増えている

② 2つの女性ホルモンの働きの乱れが深く関わる。出産経験がない・肥満・月経不順などはリスク

③ 高齢者に多い別のタイプもあり、高血圧・糖尿病、近親者の乳がん・大腸がんもリスク

④ 最も多い症状は不正出血。更年期・閉経後の出血は産婦人科へ

⑤ 検査は外来で。子宮にとどまっていれば80%以上が治癒する

9. よくある質問

子宮体がんの初期症状は何ですか?

日本産科婦人科学会によると、子宮体がんで最も多い自覚症状は、不正な性器出血(異常子宮出血)です。子宮体がんにかかりやすい年代は子宮頸がんより高齢なことが多いので、とくに更年期や閉経後に不正な出血があった場合は産婦人科を受診してください。

どんな人がなりやすいですか?

学会によると、出産したことがない、肥満、月経不順がある、卵胞ホルモン製剤だけを服用し続けているといった方はリスクが高いとされています。また、女性ホルモンと関係なく起こる高齢者に多いタイプもあり、高血圧や糖尿病がある方、近親者に乳がんや大腸がんの患者がいる方もリスクが高いとされています。

子宮体がんと子宮頸がんは、何が違いますか?

子宮は、赤ちゃんを育てる子宮体部と、出産のときに産道の一部になる子宮頸部に分けられます。子宮体部の内膜から発生するのが子宮体がんで、子宮内膜がんとも呼ばれます。日本産科婦人科学会によると、子宮体がんにかかりやすい年代は、子宮頸がんと比べて高齢なことが多いとされています。

検査は痛かったり、大がかりだったりしますか?

学会によると、子宮内膜の検査は子宮頸がんと同じように外来で行えます。細い棒状の器具を子宮の中に入れて細胞や組織をとる検査が一般的で、超音波検査も使われます。特別な準備は必要なく、割と簡単に受けられるとされています。

子宮体がんは治りますか?

学会は、子宮体がんは治りにくいタイプのがんではなく、病気が子宮にとどまっていれば80%以上の方が治癒するとしています。不正出血という初期症状を見逃さず、早期発見・早期治療につなげることが大切です。

子宮体がんになっても、妊娠は望めますか?

学会によると、若い女性が将来の妊娠・出産のために子宮を残すことを希望する場合は、ホルモン剤で治療することもあります。ただし対象はごく初期の子宮体がんに限られ、治療できるがんのタイプも決まっています。

参考にした主な資料

凪
なぎ先生

内科系の臨床に15年ほど携わる医師。生活習慣病・ホルモン・栄養の相談を日常的に受けています。中立性の担保と診療継続のため、ペンネームで執筆しています。→ 運営者について

この記事は健康情報の提供を目的としたものであり、診断・治療に代わるものではありません。本文で紹介した内容は、日本産科婦人科学会の一般向け解説「子宮体がん」にもとづくもので、公開時点の情報です。不正出血などの症状がある場合は、自己判断せず産婦人科を受診してください。掲載内容の誤りにお気づきの際はお問い合わせからお知らせください。