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MEDICALLY REVIEWED BEAUTY & HEALTH
体型と代謝

メタボと肥満症
——女性は腹囲90cm以上が目安。今の体重から約3%減らすだけで、血糖・血圧・脂質がよくなると報告されています

健診で「メタボ予備群」と書かれていた。体重はそれほど増えていないのに、お腹まわりだけ出てきた——そんな方に向けた記事です。
日本内分泌学会の一般向け解説(2026年9月更新)によると、メタボリックシンドロームが強く疑われる人は女性で約10人に1人(令和6年国民健康・栄養調査)。そして、更年期にエストロゲンが低下すると、内臓脂肪がたまりやすくなることが知られています。
一方で、内臓脂肪は減量で比較的減りやすい脂肪です。学会は、今の体重から約3%減らすだけでも、血糖値・血圧・脂質などの改善が得られると報告されていることを紹介しています。
メタボの基準と、肥満と「肥満症」の違いを整理します。

執筆:なぎ先生(内科医) 公開:2026年10月21日 読了:約9分

1. 先に結論

よくある思い込み資料の記述
太っていなければメタボではないBMIが高くなくても、内臓脂肪が多い場合はメタボになることがある
大幅に減量しないと意味がない今の体重から約3%減らすだけでも、血糖値・血圧・脂質などの改善が得られると報告されている
太っているのは自己管理が足りないから肥満症は「多因子からなる慢性疾患」。遺伝的な体質、睡眠不足、ストレス、薬なども関わる
肥満はすべて治療が必要肥満だけでは病気とはみなされない。健康障害を伴うなどで医学的に減量が必要な状態が「肥満症」

この記事でいちばんお伝えしたいこと。

メタボは、症状がないまま、糖尿病・高血圧・脂質異常症や、脳卒中・心筋梗塞のリスクが高まる状態です。目標は大きな減量ではなく、まず今の体重の約3%。食事・運動・行動の見直しを、無理なく続けることが基本です。

2. メタボの診断基準

日本内分泌学会は、メタボリックシンドロームを、BMIによらず、内臓脂肪の過剰な蓄積があり、かつ高血糖・高血圧・脂質異常のうち2つ以上を併せもつ状態と説明しています。わが国の診断基準は次のとおりです。

メタボリックシンドロームの診断基準(わが国) 日本内分泌学会「メタボリックシンドローム」(2026年9月更新)をもとに整理 必須:へそ周りの腹囲 女性 90cm以上 / 男性 85cm以上 + 次の3つのうち2つ以上 脂質異常 中性脂肪 150mg/dL以上 または HDL 40mg/dL未満 血圧高値 収縮期 130mmHg以上 または 拡張期 85mmHg以上 血糖高値 空腹時血糖 110mg/dL以上 強く疑われる人:女性10.0%・男性26.0%(20歳以上、令和6年国民健康・栄養調査) 出典:日本内分泌学会「一般の皆様へ メタボリックシンドローム」をもとに作図

予備群と考えられる人は、女性7.7%・男性25.3%とされています。

学会は、メタボでは多くの場合、自覚症状がないこと、そのため健康診断で初めて指摘されることも少なくないことを書いています。放っておくと糖尿病・高血圧・脂質異常症が進み、脳卒中や心筋梗塞などの危険性が高くなります。数値の見方は糖尿病予備軍、家庭血圧、コレステロールの記事で書いています。

3.【核心】約3%の減量で、代謝はよくなる

「内臓脂肪は皮下脂肪に比べて代謝活性が高く、減量によって比較的減少しやすいことから、少しの減量でも代謝異常の改善が期待できます。実際に、現在の体重から約3%減量するだけでも、血糖値、血圧、脂質などの改善が得られることが報告されています。」(日本内分泌学会「メタボリックシンドローム」)

体重60kgの人なら、約3%は約1.8kgです。学会は、治療の基本を食事療法・運動療法・行動療法としています。

治療の基本資料の記述
食事療法適切なエネルギー摂取を心がける
運動療法ウォーキングなど無理なく続けられる有酸素運動を取り入れる
行動療法減量後の体重維持や、体重の再増加を防ぐためにも重要
薬糖尿病・高血圧・脂質異常症を合併している場合は、それぞれに応じた薬を併用することがある

学会は、内臓脂肪を減らし、生活習慣を見直すことで代謝の異常がよくなり、将来の動脈硬化性疾患のリスクを下げられることが知られているとしています。歩数や座りすぎについては座りすぎと歩数の記事で書いています。

4. 更年期と内臓脂肪

「男性ではテストステロン、女性ではエストロゲンの低下など、更年期に伴うホルモンの変化は内臓脂肪の蓄積を助長することが知られています。」(日本内分泌学会「メタボリックシンドローム」)

そのため、メタボは中高年で多く、年齢とともに診断される割合が高くなります。学会は、BMIが高くなくても内臓脂肪が多い場合にはメタボになることがあるとも書いています。「体重はそれほど変わらないのに、お腹まわりが出てきた」という40〜50代の変化は、まさにこの話と重なります。40代からの代謝と筋肉については40代の代謝と筋肉の記事、更年期とコレステロールについては閉経とコレステロールの記事で書いています。

5. 肥満と「肥満症」は違う

学会は、肥満をBMI 25以上と定義しています。令和6年国民健康・栄養調査では、20歳以上で肥満の人は女性19.3%(男性32.4%)。女性では70歳以上(22.8%)で最も高くなっています。

「肥満であることだけでは病気とはみなされません。」(日本内分泌学会「原発性肥満」)

肥満に起因・関連する健康障害を合併している、あるいは将来の合併が予測され、医学的に減量が必要と判断される状態を「肥満症」といい、これが治療の対象になります。学会が挙げている代表的な健康障害は次の11です。

代謝・血管そのほか
①2型糖尿病 ②脂質異常症 ③高血圧
④高尿酸血症・痛風 ⑤狭心症・心筋梗塞
⑥脳梗塞 ⑦脂肪肝 ⑪肥満関連腎症
⑧月経異常・妊娠高血圧症候群
⑨睡眠時無呼吸症候群
⑩変形性関節症・変形性脊椎症・腰痛症

ほかにも、胆石症、気管支喘息や皮膚の病気、大腸がん・乳がん・子宮体がんなど一部のがんの発症リスクを高めることが知られているとされています。関連する記事として、脂肪肝、睡眠時無呼吸、変形性膝関節症、胆石も参考にしてください。

6. 治療の基本と、薬・手術

学会は、肥満症は多因子からなる慢性疾患で、治療の基本は食事療法・運動療法・行動療法による生活習慣の見直しだとしています。そのうえで、病態や重症度に応じて、薬や減量・代謝改善手術を組み合わせます。

そして学会は、病態に応じた治療を無理なく継続し、長期的に体重や健康状態を管理していくことが大切だとしています。GLP-1という薬についてはGLP-1の記事で書いています。

反対に、やせすぎ・栄養不足による健康障害については女性の低体重・低栄養症候群で書いています。

7.【内科医の視点】「食べ過ぎ・運動不足」だけではない

内科医として、ここはぜひ知っておいてほしいところです。学会は、肥満やメタボの背景には、食生活や運動習慣だけでなく、遺伝的な体質、加齢、睡眠不足、ストレス、社会環境、服用中の薬などさまざまな要因が関わり、「食べ過ぎ」や「運動不足」だけでは説明できない場合も少なくないと書いています。

そして、肥満症は本人の意思や自己管理だけでなく、体重を調節する体のしくみや環境要因が関わる慢性疾患だとしています。「努力が足りない」と自分を責めるより、まず約3%という現実的な目標から始め、必要なら医療機関に相談してください。睡眠については睡眠の記事で書いています。

8. 相談・受診したほうがよいとき

医療機関で相談したいとき

・健診でメタボやメタボ予備群と言われた

・腹囲が90cm以上で、血糖・血圧・脂質のどれかが高めと言われている

・肥満に加えて、月経異常、いびき・睡眠中の呼吸停止、膝や腰の痛みなどがある

・自分で減量を続けるのが難しい(薬や手術を含めて相談)

・市販の肥満の薬を使いたい(使う前に薬剤師などに相談)

最後に、この記事の要点をもう一度。

① メタボは腹囲(女性90cm以上)+脂質・血圧・血糖のうち2つ以上

② 強く疑われる女性は約10人に1人。BMIが高くなくてもなることがある

③ 更年期のエストロゲン低下は内臓脂肪の蓄積を助長する

④ 今の体重から約3%の減量で、血糖・血圧・脂質の改善が報告されている

⑤ 健康障害を伴う肥満は「肥満症」。食事・運動・行動療法が基本で、薬や手術の選択肢もある

9. よくある質問

メタボの診断基準を教えてください。

日本内分泌学会によると、わが国の診断基準では、へそ周りの腹囲が女性90cm以上、男性85cm以上であることを必須条件とし、脂質異常(中性脂肪150mg/dL以上、またはHDLコレステロール40mg/dL未満)、血圧高値(収縮期130mmHg以上、または拡張期85mmHg以上)、血糖高値(空腹時血糖110mg/dL以上)の3項目のうち2項目以上を満たす場合に診断されます。

どのくらい体重を減らせばいいですか?

日本内分泌学会は、内臓脂肪は皮下脂肪に比べて減量で比較的減りやすいため、少しの減量でも代謝異常の改善が期待でき、今の体重から約3%減らすだけでも血糖値・血圧・脂質などの改善が得られることが報告されているとしています。治療の基本は食事療法・運動療法・行動療法です。

更年期になってお腹まわりが出てきました。関係はありますか?

日本内分泌学会は、女性ではエストロゲンの低下など、更年期に伴うホルモンの変化が内臓脂肪の蓄積を助長することが知られているとしています。そのため、メタボは中高年で多く、年齢とともに診断される割合が高くなります。BMIが高くなくても、内臓脂肪が多い場合にはメタボになることがあります。

肥満と肥満症は何が違うのですか?

日本内分泌学会によると、肥満はBMI 25以上と定義されますが、肥満であることだけでは病気とはみなされません。肥満に起因・関連する健康障害を合併している、あるいは将来の合併が予測され、医学的に減量が必要と判断される状態を「肥満症」といい、治療の対象となります。

市販の肥満の薬を使ってもいいですか?

日本内分泌学会は、肥満症の治療の基本は食事療法・運動療法・行動療法による生活習慣の見直しで、病態や重症度に応じて薬や手術を組み合わせるとしています。一般用医薬品(OTC医薬品)もあるものの、使うときは薬剤師などの専門家に相談することが大切だとしています。

参考にした主な資料

凪
なぎ先生

内科系の臨床に15年ほど携わる医師。生活習慣病・ホルモン・栄養の相談を日常的に受けています。中立性の担保と診療継続のため、ペンネームで執筆しています。→ 運営者について

この記事は健康情報の提供を目的としたものであり、診断・治療に代わるものではありません。本文で紹介した内容は、日本内分泌学会の一般向け解説(2026年9月更新)にもとづくもので、公開時点の情報です。減量の方法や薬の使用は、持病や体の状態によって異なるため、医師や薬剤師に相談してください。掲載内容の誤りにお気づきの際はお問い合わせからお知らせください。