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からだの変化

まぶたのトラブル
——下がる・腫れる・しこり・ピクピク。眼瞼下垂、ものもらい(麦粒腫と霰粒腫)、眼瞼けいれんの違い

まぶたが重くて目が開けづらい。まぶたが赤く腫れた、コロコロしたしこりがある。まぶたがピクピクする、勝手に閉じてしまう——そんな方に向けた記事です。
日本眼科学会の解説によると、まぶたが下がる眼瞼下垂は、加齢による筋肉の変化で起こるものが多く、ハードコンタクトレンズの装用者にも起こりやすいことが分かっています。いわゆる「ものもらい」には、細菌感染の麦粒腫と、脂の腺が詰まってできる霰粒腫があります。
「まぶたがけいれんする」という方の大部分は、疲労などで起こる眼瞼ミオキミアです。一方、まぶたが勝手に閉じてしまう眼瞼けいれんは、40〜70歳の女性に多い病気です。

執筆:なぎ先生(内科医) 公開:2026年10月22日 読了:約9分

1. 先に結論

よくある思い込み資料の記述
まぶたが下がるのは年齢のせいだけ加齢性が多いが、重症筋無力症や動眼神経麻痺などの病気で起こることもある。まず原因を正しく診断することが重要
ものもらいはどれも同じ細菌感染の麦粒腫と、脂の腺が詰まったしこりの霰粒腫がある。麦粒腫として治療を始め、実は霰粒腫だったということもよくある
まぶたのしこりは放っておいてよい霰粒腫は自然に吸収していくことが多いが、高齢者では脂腺癌などの悪性腫瘍が含まれていることもある
まぶたのピクピクは重い病気「まぶたがけいれんする」という方の大部分は、不眠・ストレス・疲労・お茶やコーヒーの多飲などで生じる眼瞼ミオキミア

この記事でいちばんお伝えしたいこと。

まぶたの症状は、下がる・腫れる・しこり・ピクピクで原因が違います。とくに、高齢者のなかなか引かないしこりと、まぶたが勝手に閉じて開けにくい状態は、眼科で調べてもらってください。

2.【核心】まぶたのトラブル早見表

まぶたのトラブル早見表 日本眼科学会(監修:日本眼形成再建外科学会)の解説をもとに整理 下がる:眼瞼下垂 ・まぶたの重み、開けづらさ ・視界が狭い、目元の印象の変化 ・加齢性が多い。ハードコンタクト  レンズ装用者にも起こりやすい 治療:原因を診断したうえで手術など 赤く腫れて痛む:麦粒腫 ・まぶたの分泌腺への細菌感染 ・赤み・腫れ・軽度の痛み ・膿が出たら炎症が沈静化し、  回復していく 治療:抗菌薬の点眼や内服など しこり:霰粒腫 ・脂の腺(マイボーム腺)の出口が  詰まってできた“しこり” ・典型例は痛みも赤みもほとんどない ・自然に吸収していくことが多い 高齢者は悪性腫瘍との区別が重要 ピクピク・閉じる ・眼瞼ミオキミア:一部がピクピク。  「けいれんする」の大部分はこれ ・眼瞼けいれん:開こうとすると  同時に閉じようとする。通常、両眼 けいれん:40〜70歳・女性に多い 出典:日本眼科学会「眼瞼下垂」「麦粒腫」「霰粒腫」「眼瞼けいれん」をもとに作図

麦粒腫と霰粒腫は、どちらも俗に「ものもらい」「めばちこ」「めいぼ」などと呼ばれる病気です。

3. 眼瞼下垂——加齢とハードコンタクトレンズ

何らかの原因でまぶた(眼瞼)が下がった状態を、眼瞼下垂といいます。まぶたを上げるには筋肉(上眼瞼挙筋とミュラー筋)の収縮が関わっており、筋肉の機能や、筋肉を支配する神経の機能が落ちることで起こります。

分類資料の記述
先天性眼瞼下垂生まれつき筋肉の力が弱い先天単純性眼瞼下垂が多くを占める。片側性の方が多いと考えられている
後天性眼瞼下垂加齢性眼瞼下垂が多くを占める。コンタクトレンズ(主にハードコンタクトレンズ)装用者は、同様の機序による眼瞼下垂が起こりやすい。重症筋無力症、慢性進行性外眼筋麻痺、動眼神経麻痺、ホルネル症候群なども代表的な病気
眼瞼皮膚弛緩症筋肉や神経に異常はないものの、加齢によって弛緩した皮膚が視界を遮るように垂れ下がった状態。後天性眼瞼下垂に含まれる

症状は、まぶたの重み、開けづらさ、下がったまぶたが視界を遮ることによる視界の狭さなどです。日本眼科学会は、目元の印象が変わることによる外観の変化もしばしば問題になるとしています。視力の発達過程にある小児では、弱視になる危険性があるため注意が必要です。

「先天単純性眼瞼下垂、加齢性眼瞼下垂は手術で治療しますが、すべての眼瞼下垂が手術治療の適応になるわけではありません。」(日本眼科学会「眼瞼下垂」)

たとえば重症筋無力症では内科的治療、動眼神経麻痺とホルネル症候群ではその原因を治療することで、眼瞼下垂が改善することがあります。そのため、まずその原因を正しく診断することが重要とされています。シワ治療のボツリヌス注射でまぶたが下がることについてはシワ・タルミの美容医療の記事で書いています。

まぶたが腫れる、見開いたようになる変化は、甲状腺眼症でもよく起こります(→甲状腺眼症)。

4. ものもらい①麦粒腫——細菌感染

まぶたには、涙や汗の分泌腺や毛穴がたくさんあります。麦粒腫は、それらの分泌腺への細菌感染です。まぶたの表面側の皮脂腺や汗腺で起きたものを外麦粒腫、裏面側のマイボーム腺で起きたものを内麦粒腫といいます。

「汚い手で目をこすったりしないように注意が必要です。」(日本眼科学会「麦粒腫」)

5. ものもらい②霰粒腫——脂の腺が詰まったしこり

霰粒腫は、まぶたにできた“しこり”です。涙の成分を分泌する脂の腺(マイボーム腺)の出口が詰まり、その中にたまった脂を処理する過程で肉芽腫ができたものです。大きさは5mm以下の小さなものから1cmを超える大きなものまでさまざまで、乳幼児から高齢者までみられます。

「高齢者では霰粒腫と思われた病変の中に脂腺癌などの悪性腫瘍が含まれていることもあります。」(日本眼科学会「霰粒腫」)

日本眼科学会は、悪性腫瘍との区別がとくに重要だとし、高齢者で、なかなか良くならない場合などでは病理検査を含めた精査が必要としています。マイボーム腺は、涙の表面を覆う油を出す腺でもあります(→ドライアイの記事)。

6. ピクピク・勝手に閉じる——眼瞼ミオキミアと眼瞼けいれん

病気資料の記述
眼瞼ミオキミアまぶたを閉じる筋の一部だけがピクピク動く状態で、閉じる動作まで至らない。不眠、精神的ストレス、疲労、お茶やコーヒーの多飲などで生じる。「まぶたがけいれんする」という方の大部分はこれ
眼瞼けいれん開こうとすると同時に閉じようとする状態。通常、両眼に生じる。眩しさ、目の乾燥感などの感覚異常や、うつ状態を伴うことがある。日本での発症は10万人あたり1.6〜6.5人で、40〜70歳に多く、男女比は1:2で女性に多い
顔面けいれん通常、顔面神経が圧迫され、左右どちらかのまぶたと同じ側の口が同じリズムでけいれんする

眼瞼けいれんの原因は不明なことが多いですが、抗不安薬などの薬剤が関係する場合もあります。けいれんが長く続くと、皮膚やまぶたを開ける筋肉が伸びて、眉毛やまぶたが下がることもあるとされています。感覚の異常が似ている病気には、ドライアイや片頭痛があります。

原因が不明な場合、根本的な治療法はなく、症状を軽くする治療(対症療法)を行います。けいれんにはボツリヌス毒素を閉じる筋に注射して筋力を弱め、数か月で作用が弱まるので注射を繰り返します。眩しさにはFL-41というピンク色のレンズの眼鏡、乾燥感には人工涙液の目薬を使います。まぶたの皮膚や筋肉の緩みには形成手術を行います。

7.【内科医の視点】まぶたの症状の裏にある病気

内科医として、ここはぜひ知っておいてほしいところです。資料は、眼瞼下垂の原因として重症筋無力症のような内科的治療が必要な病気や、動眼神経麻痺のような神経の病気を挙げ、まず原因を正しく診断することが重要としています。まぶたが下がってきたら、「年齢のせい」と決めつけずに眼科で相談してください。

もう一つは、飲んでいる薬です。眼瞼けいれんでは、抗不安薬などの薬剤が関係する場合があるとされています。まぶたが開けにくくなったときは、飲んでいる薬を医師に伝えてください。

8. 眼科を受診したいとき

眼科を受診・相談したいとき

・まぶたが下がって視界が狭い、開けづらい

・まぶたが赤く腫れて痛む、腫れが強くなってきた

・まぶたのしこりが大きい、なかなか引かない(とくに高齢者)

・まぶたが勝手に閉じて開けにくい、まぶしさが強い

・まぶたのけいれんが口元まで同じリズムで起こる

・子どものまぶたが下がっている(弱視の危険性がある)

最後に、この記事の要点をもう一度。

① 眼瞼下垂は加齢性が多く、ハードコンタクトレンズ装用者にも起こりやすい。まず原因の診断

② 麦粒腫は細菌感染。抗菌薬の点眼や内服など

③ 霰粒腫は脂の腺が詰まったしこり。高齢者は悪性腫瘍との区別が重要

④ まぶたのピクピクの大部分は眼瞼ミオキミア(不眠・ストレス・疲労・お茶やコーヒーの多飲)

⑤ 眼瞼けいれんは40〜70歳の女性に多い。ボツリヌス毒素の注射などで症状を軽くする

9. よくある質問

まぶたが下がってきたのは年齢のせいですか?

日本眼科学会によると、後天性の眼瞼下垂は、筋肉に加齢による変化が生じる加齢性眼瞼下垂が多くを占めます。コンタクトレンズ(主にハードコンタクトレンズ)の装用者も同じしくみで起こりやすいことが分かっています。ただし、重症筋無力症や動眼神経麻痺などの病気で起こることもあるため、まず原因を正しく診断することが重要とされています。

ものもらいの麦粒腫と霰粒腫はどう違いますか?

日本眼科学会によると、麦粒腫はまぶたの分泌腺への細菌感染で、赤く腫れてしばしば軽い痛みを伴います。霰粒腫は脂の腺(マイボーム腺)の出口が詰まってできたしこりで、典型例では痛みも赤みもほとんどありません。麦粒腫として治療を始め、腫れが引いたら実は霰粒腫だったということもよくあるとされています。

霰粒腫は手術しないといけませんか?

日本眼科学会によると、霰粒腫は自然に吸収していくことが多いですが、吸収には長期間かかることがあります。しこりが大きい場合やなかなか吸収されなくて困る場合には、肉芽腫を摘出する手術をします。高齢者では、霰粒腫と思われた病変の中に脂腺癌などの悪性腫瘍が含まれていることもあるため、なかなか良くならない場合などは病理検査を含めた精査が必要とされています。

まぶたがピクピクするのは病気ですか?

日本眼科学会によると、「まぶたがけいれんする」という方の大部分は、まぶたを閉じる筋の一部だけがピクピク動く眼瞼ミオキミアで、不眠、精神的ストレス、疲労、お茶やコーヒーの多飲などで生じます。開こうとすると同時に閉じようとする眼瞼けいれんや、片側のまぶたと口が同じリズムでけいれんする顔面けいれんとは区別されます。

眼瞼けいれんはどんな治療をしますか?

日本眼科学会によると、原因が不明な場合は症状を軽くする治療を行います。けいれんにはボツリヌス毒素を閉じる筋に注射して筋力を弱め、数か月で作用が弱まるので注射を繰り返します。眩しさにはFL-41というピンク色のレンズの眼鏡、乾燥感には人工涙液の目薬を使い、皮膚や筋肉の緩みには形成手術を行います。

参考にした主な資料

凪
なぎ先生

内科系の臨床に15年ほど携わる医師。生活習慣病・ホルモン・栄養の相談を日常的に受けています。中立性の担保と診療継続のため、ペンネームで執筆しています。→ 運営者について

この記事は健康情報の提供を目的としたものであり、診断・治療に代わるものではありません。本文で紹介した内容は、日本眼科学会の一般向け解説(監修:日本眼形成再建外科学会)にもとづくもので、公開時点の情報です。まぶたの腫れやしこりが続く場合、まぶたが下がって視界が狭い場合、まぶたが勝手に閉じて開けにくい場合は眼科を受診してください。掲載内容の誤りにお気づきの際はお問い合わせからお知らせください。