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検査と数値

大腸ポリープ
——ほとんどは無症状。良性の腺腫を内視鏡で切れば、大腸がんになりにくい。6mm以上が切除の目安

便潜血検査で陽性になり、大腸内視鏡でポリープが見つかった。切ったほうがいいのか、様子を見ていいのか——そんな方に向けた記事です。
日本消化器病学会の患者さん向けガイドによると、大腸がんができるメインルートは、良性腫瘍(腺腫)が悪性化してがんになるルートと考えられており、腺腫を切除すれば大腸がんになりにくくなると考えられています。そのほとんどは内視鏡で切除可能です。
一方、大腸ポリープはほとんどの場合、自覚症状がありません。だからこそ、がん検診を受けることが、がんになる可能性のあるポリープを早く見つけることにつながるとされています。

執筆:なぎ先生(内科医) 公開:2026年10月25日 読了:約7分

1. 先に結論

よくある思い込み資料の記述
ポリープがあれば症状が出るほとんどの場合、自覚症状はない。とくに小さいポリープは、すべて無症状といっても過言ではない
ポリープはすべてがんになる良性腫瘍(腺腫)がすべてがんになるわけではない。非腫瘍性ポリープのように放置してよいものもある
見つかったポリープは全部切る切除の目安は径6mm以上の良性ポリープなど。5mm以下は経過観察も可能。白色の小さな過形成性ポリープは経過観察で大丈夫
内視鏡で切ればリスクはゼロまれに穴が開く(約0.07%)、出血(約0.4%)がある。出血は治療後数日たって起こることもある

この記事でいちばんお伝えしたいこと。

大腸ポリープはほとんど症状がないので、大腸がん検診(便潜血検査)を受け、陽性なら内視鏡の精密検査へ。親子兄弟に大腸ポリープや大腸がんの人がいる場合は、早めに検査を受けてください。

2. 大腸ポリープとは——腫瘍性と非腫瘍性

大腸の内側の表面は粘膜でできていて、その一部がイボ状に盛り上がったものを大腸ポリープといいます。

種類資料の記述
腫瘍性ポリープ良性腫瘍(腺腫)と悪性腫瘍(がん)に分けられる。腺腫は治療が必要な「前がん状態」とされる
非腫瘍性ポリープ炎症性ポリープ、過形成性ポリープ、過誤腫性ポリープなど。がんと関係のないものは放置してよい

大腸がんができる過程には、腺腫が悪性化する場合、非腫瘍性ポリープが腫瘍化する場合、ポリープを経ずに一気にがんになる場合がありますが、メインルートは腺腫が悪性化してがんになるルートと考えられています。また、極めてまれですが、遺伝する大腸ポリープもあります。

3. 症状と、見つけ方

日本人は大腸がんになる人が多く、大腸がんは女性の死因の第1位(男性は2位)とされています。市町村や職域の大腸がん検診では、まず便潜血検査を行い、2日間の便で1日でも陽性なら、内視鏡による精密検査を行います。

「便潜血検査により、進行がんの90%以上、早期がんの約50%、腺腫などのポリープの約30%を見つけることができ、その結果、大腸がんの死亡率を約60%、大腸がんになるリスクを46〜80%下げることが報告されています。」(日本消化器病学会「患者さんとご家族のための大腸ポリープガイド2023」Q3)

便潜血検査で陽性になったら、もう一度便の検査をするのではなく内視鏡へ——という点については便潜血検査と大腸がん検診の記事で詳しく書いています。便潜血陽性のほか、家族歴などでポリープが疑われる場合や、血便、便が細い、腹痛などの症状がある場合も、内視鏡による精密検査を行います。

4.【核心】切るポリープ、様子を見るポリープ

内視鏡治療の対象になるポリープ 日本消化器病学会「患者さんとご家族のための大腸ポリープガイド2023」Q6をもとに整理 内視鏡で切る ・径6mm以上の良性のポリープ ・リンパ節転移の可能性が  ほとんどなく、一括で  切除できるがん ・5mm以下でも、平坦・へこんだ  形や、がんとの区別が難しい  もの 経過観察もできる ・径5mm以下の良性ポリープ ・直腸やS状結腸に多い、  白色の5mm以下の多発する  過形成性ポリープ  (経過観察で大丈夫) 手術が必要と判断されたがんは、外科手術で治療する 出典:日本消化器病学会「患者さんとご家族のための大腸ポリープガイド2023」をもとに作図

ポリープが見つかると、無害な青い色素をまいて観察する「色素内視鏡検査」や、特殊な光で拡大して見る「拡大内視鏡検査」で、治療が必要かどうかを確かめます。

治療が必要と判断されたら、良性の腺腫か、がんを含むものかを見分けます。色素・拡大内視鏡や超音波内視鏡である程度は見分けられますが、原則として切除した組織を顕微鏡で調べる(病理組織検査)ことで最終的に診断します。ほとんどのポリープは内視鏡による治療だけで完了するとされています。

腺腫やがんが粘膜にとどまっていれば、リンパ節への転移はないとされています。一方、切除したがんが粘膜下層まで深く入り込んでいた場合は、リンパ節への転移が約10%に起こるといわれ、リンパ節を取る追加手術を検討します。

5. 内視鏡治療の方法と、切ったあと

方法資料の記述
ポリペクトミーポリープの茎にスネア(金属の輪)をかけ、高周波電流で切り取る。茎のあるポリープに
内視鏡的粘膜切除術(EMR)粘膜の下に薬液を注入して病変を持ち上げ、スネアで切り取る。茎のない平坦な病変に
内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)専用の電気メスで周囲を切開し、少しずつはがして切除する。大きな病変や、薬液で持ち上がらないときに

6. 大腸がんの危険因子と予防因子

分類資料の記述
最大の危険因子年齢(50歳以上)と大腸がんの家族歴
生活の危険因子確実とされているのは過量の飲酒。赤身肉や加工肉の摂取、高度の肥満、喫煙なども報告されている
予防因子適度な運動習慣は効果があることが確実視されている。食物繊維や野菜を食べる習慣の人はリスクが低いが、積極的にとることで下がるかはまだ証明されていない
二次予防腺腫を内視鏡で切除することで、大腸がんによる死亡率を下げることが証明されている

アスピリンや非ステロイド性抗炎症薬が大腸がんや腺腫を減らすこともわかっていますが、長く飲むことで胃腸障害のリスクが高くなることや、費用対効果も考える必要があるとされています。お酒の量の目安はお酒とγ-GTPの記事で書いています。

7.【内科医の視点】家族歴がある人は早めに

内科医として、ここはぜひ知っておいてほしいところです。資料によると、親子兄弟などの血縁者に大腸ポリープや大腸がんと診断された人がいる場合、大腸がんになる危険性は3倍程度とされ、早めに検査を受けたほうがよいとされています。家族の病歴は、健診や受診のときにぜひ伝えてください。

もう一つは、便に血がまじることについてです。資料は、肛門の近くのポリープで血液のまじった便が出ることがあるとしています。痔と見分けが必要な病気については痔の記事で書いています。

8. 受診したいとき

消化器内科を受診・相談したいとき

・便潜血検査で陽性と言われた(1日でも陽性なら内視鏡の精密検査)

・血便、便が細い、腹痛がある

・親子兄弟に大腸ポリープや大腸がんの人がいる

・ポリープを切ったあと、数日たってから出血した

最後に、この記事の要点をもう一度。

① 大腸がんのメインルートは腺腫の悪性化。腺腫を切れば大腸がんになりにくい

② ポリープはほとんど無症状。見つけるには検診と内視鏡

③ 切除の目安は径6mm以上の良性ポリープなど。5mm以下は経過観察も可能

④ 内視鏡治療はまれに穴や出血。出血は数日後のことも

⑤ 危険因子は50歳以上・家族歴・飲酒・肥満・喫煙など。運動は予防因子

9. よくある質問

大腸ポリープはがんになりますか?

日本消化器病学会の患者さん向けガイドによると、大腸がんができるメインルートは良性腫瘍(腺腫)が悪性化してがんになるルートと考えられており、腺腫を切除すれば大腸がんになりにくくなると考えられています。ただし、腺腫がすべてがんになるわけではなく、非腫瘍性のポリープのように放置してよいものもあります。

見つかったポリープは全部切りますか?

日本消化器病学会の患者さん向けガイドによると、一般的には径6mm以上の良性のポリープと、リンパ節への転移の可能性がほとんどなく一括で切除できるがんが内視鏡治療の対象です。径5mm以下の良性ポリープは経過観察も可能ですが、平坦やへこんだ形のものや、がんとの区別が難しいものは治療の対象になります。

ポリープを切るのは危険ですか?

日本消化器病学会の患者さん向けガイドによると、大変まれですが、大腸に穴が開く穿孔(約0.07%)や、切った部分からの出血(約0.4%)が起こることがあります。出血は治療後数日たってから起こることもあります。多くは内視鏡による処置で対応できますが、穿孔は手術が必要になる場合もあります。

症状がなくても検査を受けたほうがいいですか?

日本消化器病学会の患者さん向けガイドによると、大腸ポリープの多くは無症状のため、がん検診を受けることが早期発見につながります。対策型検診ではまず便潜血検査を行い、陽性なら内視鏡で精密検査を行います。便潜血検査で大腸がんの死亡率を約60%下げることが報告されています。

大腸がんを防ぐ方法はありますか?

日本消化器病学会の患者さん向けガイドによると、大腸がんを完全に防ぐ方法はありませんが、過量の飲酒が確実な危険因子で、赤身肉や加工肉、高度の肥満、喫煙なども報告されています。適度な運動習慣は効果があることが確実視されています。また、腺腫を内視鏡で切除することで大腸がんによる死亡率を下げることが証明されています。

参考にした主な資料

凪
なぎ先生

内科系の臨床に15年ほど携わる医師。生活習慣病・ホルモン・栄養の相談を日常的に受けています。中立性の担保と診療継続のため、ペンネームで執筆しています。→ 運営者について

この記事は健康情報の提供を目的としたものであり、診断・治療に代わるものではありません。本文で紹介した内容は、日本消化器病学会の患者さん向けガイドにもとづくもので、公開時点の情報です。ポリープを切るかどうか、次回の検査時期は、内視鏡の所見や病理検査の結果によって異なるため、主治医と相談してください。便潜血検査で陽性と言われた場合は、内視鏡の精密検査を受けてください。掲載内容の誤りにお気づきの際はお問い合わせからお知らせください。