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MEDICALLY REVIEWED BEAUTY & HEALTH
検査と数値

腎臓を守る生活習慣
——野菜は「強く推奨」。腎臓病の人は塩6g未満、肥満の人は減量を

健診で「eGFRが少し低い」「尿蛋白が±」と書かれていた。腎臓のために何をすればいいのか、減塩だけでいいのか——そんな方に向けた記事です。
2025年4月、日本医療研究開発機構(AMED)の研究班が「慢性腎臓病の発症・進展に関するヘルスケアサービスやデジタル技術介入に関する指針」を公表しました。慢性腎臓病(CKD)を防ぐ(発症)ためと、進ませない(進展)ために、生活習慣を一つずつ評価しています。
いちばん強かったのは、CKDを防ぐための「積極的な野菜の摂取」(強く推奨)。一方で、腎臓病でない人が減塩すればCKDを防げるかは、報告が限られていて「推奨なし」でした。
「防ぐ」と「進ませない」で答えが違う——その違いを整理します。

執筆:なぎ先生(内科医) 公開:2026年10月19日 読了:約10分

1. 先に結論

よくある思い込み資料の記述
腎臓のためには、まず減塩腎臓病でない人の減塩でCKDを防げるかは報告が限定的(推奨なし)。CKDの人には6g/日未満を強く推奨
野菜より果物のほうが体にいいCKDを防ぐために積極的な野菜の摂取を強く推奨。果物は有意な差がなく、果糖などの影響も考える必要がある
運動すれば腎臓病は防げるCKDの発症を抑える明らかなエビデンスはまだない。CKDの人には、可能な範囲での運動を提案
お酒は一滴でも腎臓に悪い軽い飲酒の人は蛋白尿や腎機能低下のリスクが低く、高度の飲酒は避けるべき
アプリを使えば腎臓を守れるアプリなどデジタル技術による運動・禁煙・睡眠・飲酒の支援が腎臓に及ぼす影響は、まだ十分な報告がない

この記事でいちばんお伝えしたいこと。

腎臓を守るために誰にでも勧められる第一歩は、野菜を積極的にとること。そして、健診で腎臓の数値を指摘された方は、受診してCKDかどうかを確かめたうえで、減塩(6g/日未満)や減量に取り組むのが、指針に沿った順番です。

2. 「防ぐ」と「進ませない」は別の問い

この記事で使う資料は、日本医療研究開発機構(AMED)の研究班(研究代表者:猪阪善隆)による「慢性腎臓病の発症・進展に関するヘルスケアサービスやデジタル技術介入に関する指針」(令和7年4月)です。

この指針の特徴は、生活習慣のそれぞれについて、CKDの「発症」を抑えるか(まだ腎臓病でない人が対象)と、CKDの「進展」を抑えるか(すでに腎臓病の人が対象)を、分けて評価していることです。同じ減塩でも、対象によって答えが変わります。

腎臓の数値(eGFR・尿蛋白)の読み方と、CKDとは何かについては腎臓の数値の記事で書いています。そちらで「自分はどちらに当たるか」を確かめてから読むと、この記事が使いやすくなります。

3.【核心】生活習慣ごとの評価を一覧で見る

腎臓を守る生活習慣の評価(2025年 AMED指針) 「防ぐ」=CKDでない人の発症、「進ませない」=CKDの人の進展 生活習慣 防ぐ(発症) 進ませない(進展) 野菜(と果物)野菜を強く推奨提案(高カリウム血症に注意) 減塩推奨なし(報告が限定的)6g/日未満を強く推奨 減量(肥満・過体重)提案強く推奨 運動推奨なし(エビデンスなし)可能な範囲で提案 禁煙10年以上の長期の禁煙で、腎機能低下リスクが下がる可能性。提案 飲酒高度の飲酒は避けるべき。提案 睡眠不眠・睡眠の質の低下はリスクの可能性。推奨なし カリウム発症・進展とも、十分なエビデンスなし(推奨なし) 管理栄養士の栄養管理—強く推奨 「推奨なし」は「効果がない」ではなく、判断するだけの研究が足りないという意味です。 出典:AMED研究班「慢性腎臓病の発症・進展に関する…指針」(2025年4月)をもとに作図

禁煙・飲酒・睡眠は、発症と進展をまとめて評価しています。根拠の強さ(エビデンスグレード)は項目によって異なり、多くは「弱い」です。

まだ腎臓病でない人が「防ぐ」ためにはっきり勧められたのは野菜で、すでに腎臓病の人が「進ませない」ためにはっきり勧められたのは減塩・減量・管理栄養士による栄養管理でした。

4. 野菜は「強く推奨」、果物は慎重に

「CKD の発症を抑制するために、積極的な野菜の摂取を推奨する。」(推奨レベル1 強く推奨する/エビデンスグレードB 中)

根拠は、複数の観察研究をまとめたメタ解析です。野菜の摂取量が多い群は少ない群に比べて、CKDの発症が有意に少なく(オッズ比0.79)、一方、果物では抑制される傾向はあったものの、統計的に有意ではありませんでした(オッズ比0.91)。

指針は、野菜などの植物性食品について、体の酸の負担やリンの負担が少ない、食物繊維が多い、血圧を下げる働きのあるカリウムを多く含む、といった点を挙げています。果物で差が出なかった理由としては、果糖による糖代謝の悪化や体重増加などが影響した可能性を挙げ、果物は耐糖能の悪化や体重増加などの負の影響を考慮する必要があるとしています。

そして、すでにCKDの人については、野菜・果物は進展を抑える可能性があるものの、高カリウム血症の発症に注意すべきとしています(提案)。腎臓の働きが落ちている方は、野菜の量を増やす前に主治医に相談してください。

5. 減塩は、腎臓病の人に「6g/日未満」

減塩については、対象によって答えがはっきり分かれました。

対象指針の推奨
CKDでない人(防ぐ)「非CKD 患者において食塩摂取制限によるCKD 発症の抑制効果を示唆する報告は限定的である。」(推奨なし)
CKDの人(進ませない)「CKD 患者において尿蛋白の抑制のため、6g/日未満の食塩摂取制限を推奨する。ただし、末期腎不全、GFR に対する効果は不明である。」(強く推奨・エビデンスC)

CKDの人の減塩について、指針は19の研究を評価し、紹介しているメタ解析では1日の食塩を4.8g減らすごとに尿蛋白が34%、アルブミン尿が36%減っていました。一方、腎機能(GFR)や透析導入への効果は分かっていません。

腎臓病でない人にとっても、減塩は血圧の面で意味があります(→家庭血圧の記事)。ただ、「減塩すれば腎臓病を防げる」と言える研究はまだ限られている、というのが指針の正確な位置づけです。

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この章で扱った減塩のための調味料です。AMEDの指針は、CKDの人について「尿蛋白の抑制のため、6g/日未満の食塩摂取制限を推奨する。」としています(強く推奨)。

※ 当サイトは、記事のなかで根拠を示したうえで推奨したものに限り広告を掲載しています。この推奨はCKDの人に対するもので、腎臓病でない人の減塩でCKDを防げるかは「報告が限定的」とされています。指針は、減塩で末期腎不全やGFRが変わるかは「不明」としています。塩化カリウムを使った減塩調味料は、腎臓の働きが落ちてカリウムの制限を受けている方には向きません。ここで紹介しているのは、キッコーマンの減塩しょうゆで、原材料に塩化カリウムは使われていません。メーカーによると、通常のこいくちしょうゆより食塩分を50%減らしていて、15mlあたり食塩相当量1.2g、カリウム25mgです。減塩しょうゆでも、かける量が増えれば食塩は増えます。腎臓の病気で通院中の方、降圧薬を飲んでいる方は、使う前に主治医にご相談ください。

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この章で扱った料理の塩分濃度を測る道具です。AMEDの指針は、CKDの人に6g/日未満の食塩摂取制限を強く推奨しています。家庭の味つけを確かめる手段の一つです。

※ 当サイトは、記事のなかで根拠を示したうえで推奨したものに限り広告を掲載しています。指針はこの道具そのものを評価しているわけではありません。ここで紹介しているのは、タニタの電子塩分計「しおみくん」SO-313-NWHです。メーカーによると、味噌汁やスープなどの液体の塩分濃度を0.4〜1.4%の範囲で6段階に表示し、測れるのは30〜90℃の液体で、粘りの強い液体や固形物は測れません。食事の1品を測る道具なので、1日の食塩摂取量そのものは分かりません。CKDと言われている方の減塩の進め方は、主治医や管理栄養士にご相談ください。

6. 体重:肥満・過体重の人の減量

体重について、指針は次のように評価しています。

対象指針の推奨
肥満・過体重の人(防ぐ)食事または運動による減量は、CKDの発症(蛋白尿・アルブミン尿の増加やGFRの低下)を抑えるため提案される
肥満・過体重のCKDの人(進ませない)減量により、透析など腎代替療法の導入が抑えられる可能性や、蛋白尿が減る可能性があるため強く推奨

どちらも、介入の方法や程度は、その人の背景や状態を考慮して判断するとされています。急な減量ではなく、主治医と相談しながら進めてください。体重と代謝については40代の代謝と筋肉で書いています。

7. お酒・たばこ・睡眠・運動

項目指針の記述
お酒「軽度の飲酒者は蛋白尿や腎機能低下のリスクが低く、高度の飲酒は蛋白尿のリスクが高いため、高度の飲酒は避けるべきである。」(提案)
たばこ10年以上の長期間の禁煙は、腎機能低下のリスクを下げる可能性があり、禁煙することを提案。禁煙支援アプリの腎臓への影響は、まだ報告がない
睡眠不眠症や睡眠の質の低下はCKDの発症・進展のリスクとなる可能性が示唆されている(推奨なし)
運動CKDの発症を抑える明らかなエビデンスはまだない(推奨なし)。CKDの人では、蛋白尿を増やすことはなく、腎機能(GFR)の改善をもたらす可能性があるため、年齢や心肺機能を考えながら可能な範囲で行うことを提案

お酒については、指針はアルコールが一部のがんのリスクであることにも触れています。量の目安はお酒と肝臓の数値の記事、睡眠については睡眠の記事で書いています。

この指針の名前にある「ヘルスケアサービスやデジタル技術」(アプリなど)については、運動・禁煙・睡眠・飲酒のどれも、腎臓への影響を評価した研究がまだ十分ではないとされています。アプリを使うこと自体を否定するものではありませんが、「アプリで腎臓が守れる」と言える段階ではありません。

8.【内科医の視点】健診の数値とつなげて考える

内科医として、ここはぜひ知っておいてほしいところです。この指針のいちばん大切なメッセージは、自分が「CKDでない人」なのか「CKDの人」なのかで、優先すべきことが違うという点です。

健診でeGFRの低下や尿蛋白を指摘されたら、まず医療機関で確かめることが出発点です。CKDと分かれば、減塩(6g/日未満)、肥満があれば減量、そして管理栄養士による栄養管理(強く推奨)が、指針の中で強く勧められている取り組みになります。たんぱく質の量やカリウムの扱いは、腎臓の状態によって変わるため、自己判断で制限しないでください。

まだCKDではない方は、野菜を積極的にとる、高度の飲酒を避ける、たばこをやめる、肥満があれば減量する。指針は、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病がCKDのリスクを高めることも書いています。血圧・血糖・脂質の管理は、腎臓を守ることにもつながります(→糖尿病予備軍)。

9. 相談・受診したほうがよいとき

医療機関で相談したいとき

・健診でeGFRの低下や尿蛋白を指摘された(CKDかどうかの確認。受診の目安は腎臓の数値の記事)

・CKDと言われていて、減塩・減量・食事の内容を相談したい(管理栄養士による栄養管理は強く推奨)

・CKDで、野菜や果物を増やしたい(高カリウム血症への注意が必要)

・CKDで運動を始めたい(年齢や心肺機能を考えて、可能な範囲で)

最後に、この記事の要点をもう一度。

① 指針は、CKDを「防ぐ」と「進ませない」を分けて評価している

② 防ぐために積極的な野菜の摂取を強く推奨。果物は有意差なし

③ 減塩は、CKDの人に6g/日未満を強く推奨。CKDでない人の発症予防は報告が限定的

④ 肥満・過体重のCKDの人の減量は強く推奨

⑤ 高度の飲酒は避ける、長期の禁煙を提案

⑥ 健診で腎臓の数値を指摘されたら、まず受診して確かめる

10. よくある質問

腎臓病を防ぐために、いちばん勧められている食習慣は何ですか?

日本医療研究開発機構(AMED)の研究班による「慢性腎臓病の発症・進展に関するヘルスケアサービスやデジタル技術介入に関する指針」(2025年4月)は、慢性腎臓病の発症を抑えるために、積極的な野菜の摂取を強く推奨しています。観察研究をまとめた解析で、野菜を多くとる群はCKDの発症が有意に少なかったとされています。果物では有意な差はみられませんでした。

腎臓のために減塩したほうがいいですか?

指針は、すでに慢性腎臓病の人には、尿蛋白を抑えるために1日6g未満の食塩摂取制限を強く推奨しています。一方、腎臓病でない人が減塩すれば慢性腎臓病を防げるかについては、それを示す報告が限定的で推奨なしとしています。減塩は血圧の面でも意味があるため、健診の結果とあわせて考えてください。

お酒は腎臓に悪いですか?

指針は、軽い飲酒の人は蛋白尿や腎機能低下のリスクが低く、高度の飲酒は蛋白尿のリスクが高いため、高度の飲酒は避けるべきとしています。禁酒・減酒アプリが腎臓に与える影響を評価した研究は、まだ報告されていないとされています。

運動は腎臓にいいですか?

指針は、運動が慢性腎臓病の発症を抑えるという明らかなエビデンスは現時点でないとしています。すでに慢性腎臓病の人については、運動は蛋白尿の増加をもたらさず、腎機能の改善をもたらす可能性があるため、年齢や心肺機能を考慮しながら可能な範囲で行うことを提案しています。

太っていると腎臓に関係がありますか?

指針は、肥満または過体重の人に食事や運動で減量を行うことを、慢性腎臓病の発症を抑えるために提案しています。肥満または過体重の慢性腎臓病の人には、透析などの導入が抑えられる可能性や蛋白尿が減る可能性があるとして、減量を強く推奨しています。方法や程度は、その人の背景や状態を考えて判断するとされています。

参考にした主な資料

凪
なぎ先生

内科系の臨床に15年ほど携わる医師。生活習慣病・ホルモン・栄養の相談を日常的に受けています。中立性の担保と診療継続のため、ペンネームで執筆しています。→ 運営者について

この記事は健康情報の提供を目的としたものであり、診断・治療に代わるものではありません。本文で紹介した推奨は、AMED研究班の「慢性腎臓病の発症・進展に関するヘルスケアサービスやデジタル技術介入に関する指針」(2025年4月)にもとづくもので、公開時点の情報です。慢性腎臓病と言われている方は、たんぱく質・カリウム・食塩などの食事の内容を自己判断で変えず、主治医や管理栄養士に相談してください。健診でeGFRの低下や尿蛋白を指摘された場合は医療機関を受診してください。掲載内容の誤りにお気づきの際はお問い合わせからお知らせください。