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MEDICALLY REVIEWED BEAUTY & HEALTH
体型と代謝

女性の低体重・低栄養症候群(FUS)
——やせすぎは月経・骨・筋肉に響く。2025年に提唱された新しい考え方

体重は軽いほうがいい。少しでも細くなりたい——そんな思いで食事を減らしていませんか。
日本内分泌学会の一般向け解説(2026年9月更新)によると、女性の低体重/低栄養症候群(FUS)は、過度な痩身志向などを背景にした低体重や低栄養によって、月経異常、骨量低下、筋肉量の減少、不妊など、さまざまな心身の健康障害が起こる状態をまとめて捉える、2025年に提唱された新しい考え方です。
日本人女性では、20歳代の約20〜25%が低体重(BMI18.5未満)で、国際的にみても高い水準にあります。
学会は、FUSは本人の努力不足や意志の弱さによるものではないとも書いています。

執筆:なぎ先生(内科医) 公開:2026年10月21日 読了:約8分

1. 先に結論

よくある思い込み資料の記述
やせているのは健康的低体重や低栄養が続くと、月経異常、骨量低下、筋肉量の減少など全身にさまざまな健康障害が起こる可能性がある
体重が軽いだけで病気ではないFUSは単に体重が少ない状態ではなく、低体重や低栄養に伴う全身の健康障害を問題とする考え方
やせすぎは本人の問題FUSは本人の努力不足や意志の弱さによるものではなく、さまざまな要因が複雑に関わる
若いうちは関係ない若い頃から適切な栄養状態を保つことは、将来の骨粗鬆症やフレイルの予防にも重要と考えられている

この記事でいちばんお伝えしたいこと。

体質的にやせている場合でも、低栄養や骨量低下などの健康リスクがないか確かめることが大切です。月経が乱れている、疲れやすい、貧血と言われた——そんなサインがあれば、骨密度や血液の検査、栄養指導について医療機関で相談してください。

2. FUSとは、どんな考え方か

「女性の低体重/低栄養症候群(Female Underweight/Undernutrition Syndrome:FUS)は、特に若い女性の過度な痩身志向などを背景として生じる低体重や低栄養により、月経異常、骨量低下、筋肉量の減少、不妊など、さまざまな身体的・精神的健康障害を包括的に捉える新しい疾患概念です。」(日本内分泌学会「女性の低体重/低栄養症候群」)

学会は、女性の健康と、「やせていることが望ましい」という社会的風潮やボディイメージの問題への理解を深めることを目的として、2025年に提唱されたとしています。

3.【核心】低体重・低栄養で起こること

低体重・低栄養で起こりうること 日本内分泌学会「女性の低体重/低栄養症候群」(2026年9月更新)をもとに整理 代表的なもの ・筋肉量や筋力の低下 ・骨粗鬆症、骨折のリスク上昇 ・月経異常、妊娠・出産への影響 栄養不足による ・貧血 ・傷の治りが遅い、免疫の低下 ・味覚障害 代謝の異常 ・耐糖能異常 ・低T3症候群(甲状腺ホルモン) ・脂質異常症 心・神経と日常の症状 ・だるさ、睡眠障害、抑うつ、不安 ・集中力の低下 ・冷え、低血圧、便秘、肌や髪の変化 高齢期には、フレイルやサルコペニアにつながる可能性 出典:日本内分泌学会「一般の皆様へ 女性の低体重/低栄養症候群」をもとに作図

FUSでは、体重が少ないことそのものより、低体重・低栄養に伴う全身の健康障害が問題とされています。

学会は、長期的な経過はまだ十分にわかっていないとしつつ、低体重や低栄養が続くと、さまざまな健康障害のリスクが高まると書いています。とくに月経異常や妊娠・出産に関わる問題、骨量低下が心配されること、そして高齢期にはフレイルやサルコペニアにつながり、健康寿命が短くなる可能性があることが挙げられています。

骨については骨粗鬆症の記事と骨密度の記事、筋肉についてはサルコペニアの記事で書いています。

4. どんな人に多いのか、何が原因か

学会は、実際よりも自分を太っていると感じるボディイメージの歪みや、過度な痩身願望を背景に、低体重や低栄養になった人に多いと考えられるとしています。

「FUSは本人の努力不足や意志の弱さによるものではなく、個人を取り巻くさまざまな要因が複雑に関与して発症すると考えられています。」(日本内分泌学会「女性の低体重/低栄養症候群」)

原因はまだ十分に解明されていませんが、体質的な要因に加え、心理的・社会的要因や社会経済的要因など、さまざまな要因が関わると考えられています。なかでも、「やせていることが望ましい」とする社会的風潮や過度な痩身願望は、重要な背景とされています。

5. GLP-1受容体作動薬の美容目的の使用

学会は、原因の説明の中で、次の点にも触れています。

「近年では、肥満症や2型糖尿病の治療薬であるGLP-1受容体作動薬などが美容目的で使用される例もみられますが、不適切な使用により必要な栄養摂取が不足し、低体重や低栄養につながる可能性も指摘されています。」(日本内分泌学会「女性の低体重/低栄養症候群」)

FUSとの関係については、今後さらに検討が進むことが期待されているとされています。GLP-1受容体作動薬を美容目的で使うことの問題については、GLP-1の記事で詳しく書いています。

6. 対応:まず健康リスクを確かめる

学会は、FUSへの対応には、原因や背景に応じた個別の対応と、社会・教育レベルでの取り組みの両方が必要だとしています。

状況資料の記述
体質的にやせているその場合でも、低栄養や骨量低下などの健康リスクがないか確認することが重要。必要に応じて骨密度測定、血液検査、栄養指導
過度な痩身志向が背景にある正しいボディイメージを形成するための教育や支援が重要
経済的・社会的な背景がある十分な栄養をとることが難しい場合は、自治体や社会福祉サービスなどの支援も重要

社会全体の取り組みとしては、学校教育などを通じたヘルスリテラシーの向上、体型の多様性への理解、メディア情報を適切に評価する力、バランスのよい栄養摂取の大切さについての啓発が挙げられています。

7.【内科医の視点】やせすぎも、太りすぎも

内科医として、ここはぜひ知っておいてほしいところです。前回のメタボと肥満症の記事では、内臓脂肪がたまることのリスクを書きました。一方で、今回のFUSのように、やせすぎ・栄養不足も、月経・骨・筋肉・心の健康に響くことがわかってきています。

FUSが挙げている症状の中には、貧血、味覚障害、冷え、便秘、肌や髪の変化など、このサイトで扱ってきた不調が並んでいます。どれも、体重が軽すぎる・食事が足りないことが背景にある場合があります。関連して鉄不足の記事、たんぱく質の記事も参考にしてください。

8. 相談・受診したほうがよいとき

医療機関で相談したいとき

・BMIが18.5未満で、月経が乱れている・止まっている

・やせていて、疲れやすい、貧血、冷え、便秘などが続く

・骨密度や栄養状態が心配(骨密度測定・血液検査・栄養指導)

・GLP-1受容体作動薬などを美容目的で使っている、使おうとしている

・食事や体型のことで強い不安がある

最後に、この記事の要点をもう一度。

① FUSは、低体重・低栄養による全身の健康障害をまとめて捉える、2025年に提唱された考え方

② 日本人女性は20歳代の約20〜25%が低体重で、国際的にも高い

③ 月経異常・骨量低下・筋肉の減少・貧血・味覚障害・冷え・便秘・髪や肌の変化など

④ 本人の努力不足や意志の弱さによるものではない

⑤ GLP-1受容体作動薬の美容目的の不適切な使用は、低体重・低栄養につながる可能性

9. よくある質問

女性の低体重/低栄養症候群(FUS)とは何ですか?

日本内分泌学会によると、特に若い女性の過度な痩身志向などを背景として生じる低体重や低栄養によって、月経異常、骨量低下、筋肉量の減少、不妊など、さまざまな心身の健康障害が起こる状態をまとめて捉える新しい考え方で、2025年に提唱されました。主に18歳以上の閉経前女性が対象です。

やせていると、どんな健康障害が起こりますか?

学会によると、筋肉量や筋力の低下、骨粗鬆症や骨折のリスクの上昇、月経異常と妊娠・出産への影響が代表的です。ほかにも、貧血、傷の治りの遅れ、免疫の低下、味覚障害、耐糖能異常や脂質異常症などの代謝異常、だるさ、睡眠障害、抑うつ、不安、冷え、低血圧、便秘、皮膚や髪の変化などがみられることがあります。

体質的にやせているだけでも、気をつけたほうがいいですか?

学会は、体質的にやせている場合でも、低栄養や骨量低下などの健康リスクがないか確認することが重要で、必要に応じて骨密度測定、血液検査、栄養指導などが行われるとしています。低体重のすべての女性がFUSに当たるわけではなく、低栄養や健康障害の有無を含めて総合的に評価することが大切とされています。

GLP-1の薬を美容目的で使うのは問題ですか?

学会は、肥満症や2型糖尿病の治療薬であるGLP-1受容体作動薬などが美容目的で使われる例もみられるが、不適切な使用により必要な栄養摂取が不足し、低体重や低栄養につながる可能性も指摘されているとしています。FUSとの関係については、今後さらに検討が進むことが期待されています。

若いころの低体重は、将来に影響しますか?

学会は、長期的な経過はまだ十分にわかっていないとしつつ、低体重や低栄養が続くとさまざまな健康障害のリスクが高まり、高齢期にはフレイルやサルコペニアにつながって健康寿命の短縮に影響する可能性があるとしています。若いころから適切な栄養状態を保つことは、将来の骨粗鬆症やフレイルの予防にも重要と考えられています。

参考にした主な資料

凪
なぎ先生

内科系の臨床に15年ほど携わる医師。生活習慣病・ホルモン・栄養の相談を日常的に受けています。中立性の担保と診療継続のため、ペンネームで執筆しています。→ 運営者について

この記事は健康情報の提供を目的としたものであり、診断・治療に代わるものではありません。本文で紹介した内容は、日本内分泌学会の一般向け解説(2026年9月更新)にもとづくもので、公開時点の情報です。女性の低体重/低栄養症候群は2025年に提唱された新しい考え方で、今後見直される可能性があります。月経の異常や体重・食事に関する不安がある場合は、医療機関で相談してください。掲載内容の誤りにお気づきの際はお問い合わせからお知らせください。