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MEDICALLY REVIEWED BEAUTY & HEALTH
肌

乾癬(かんせん)
——決してうつりません。肥満やカロリーのとりすぎで悪化し、メタボとも関係が深い皮膚の病気

ひじやひざ、頭に、白い粉をふいたような赤い発疹がある。人の目が気になって、半袖や温泉を避けている——そんな方と、そのまわりの方に向けた記事です。
日本皮膚科学会の「皮膚科Q&A」は、乾癬について「決してうつりません」と書いています。そして、この情報がとても大切だと強調しています。
乾癬は、こすれる場所に出やすく、カロリーのとりすぎや肥満で悪化します。メタボリック症候群を合併しやすいとも考えられていて、内科医にとっても見逃せない病気です。
治療は、塗り薬・飲み薬・光線療法・注射(生物学的製剤)と選択肢が広がり、治療で発疹が完全に消える経験は30〜70%の患者さんにみられるとされています。

執筆:なぎ先生(内科医) 公開:2026年10月20日 読了:約9分

1. 先に結論

よくある思い込み資料の記述
人にうつる皮膚病決してうつりません。学会は、うつらない病気であることを常に啓発している
日本人にはめったにない人口のおよそ0.1〜0.3%。増加傾向にあり、決してまれとはいえなくなった
皮膚だけの病気メタボリック症候群を合併しやすい。10人に1人くらいは関節炎を伴う
一生よくならない治療で発疹が完全に消える経験は30〜70%の患者さんにみられる。長く出ない、自然に消える人もまれではない

この記事でいちばんお伝えしたいこと。

乾癬はうつらない病気です。そして、カロリーのとりすぎや肥満で悪化し、メタボリック症候群を合併しやすい病気でもあります。皮膚の治療と一緒に、血圧・脂質・血糖にも目を向けてください。

2. 乾癬とは、どんな病気か

皮膚科Q&Aは、乾癬の典型的な症状を次のように説明しています。

このほか、かぜで喉が痛んだあとに雨のしずくのような小さな発疹が出る滴状乾癬、まれに発疹が全身に広がる乾癬性紅皮症、発熱やだるさとともに全身に膿をもったポツポツが出る重症の汎発性膿疱性乾癬(乾癬の1%程度・入院治療が必要)があります。

原因はまだ完全にはわかっていませんが、乾癬になりやすい遺伝的な素因に、不規則な生活や食事、ストレス、肥満、感染症、特殊な薬剤などの環境の要因が加わって発症すると言われています。日本では、家族の中で発症する割合は4〜5%で、欧米(20〜40%)よりずっと低いとされています。

3.【核心】決してうつらない。こすれる場所に出やすい

「決してうつりません。」(日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「乾癬」Q4)

皮膚科Q&Aは、乾癬の患者さんは発疹を見られることで周囲の視線を意識して生活していること、その意味で乾癬はきわめて社会的な病気で、生活の質が下がっていることを書いています。「うつらない」という情報はきわめて重要だとしています。家族や職場の方にも、ぜひ知っておいてほしいことです。

乾癬の発疹は「こすれる場所」に出やすい 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「乾癬」Q1・Q5・Q6・Q12より 出やすい場所 ・頭(毛が伸びるとき皮膚をこする) ・ひじ、ひざ ・腰まわり、おしり ・すねの外側(下腿伸側) 顔は出にくい(紫外線のためと 考えられている) 悪化・発疹のきっかけ ・こする刺激、ひっかくこと ・かぜ、扁桃炎などの感染症 ・仕事や家庭でのストレス ・カロリーのとりすぎ、肥満 ・特殊な薬剤 ・体を締め付ける衣類 生活の中でできること 硬いタオルでこすらない/バランスのよい食事と規則正しい生活/ 日光浴(ただし過度な日光浴は避ける) 出典:日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「乾癬」をもとに作図

紫外線で逆に悪化する患者さんもいるため、日光浴は「過度に」ならないようにと書かれています。

乾癬の発疹は全身のどこにでも出ますが、こすれる場所に出やすいのが特徴です。頭も、毛が伸びるときに皮膚をこするため、出やすい場所とされています。皮膚科Q&Aは、入浴のときに硬いタオルでこすらないこと、細いジーンズのような体を締め付ける衣類も好ましくないことを挙げています。かゆみでひっかくことも、悪化につながります。

4. 悪化させるもの・よい影響のあるもの

項目資料の記述
食事・体重食べ物はバランスよく、規則正しい生活を勧める。カロリーのとりすぎや肥満は乾癬を悪化させる
ストレスストレスも発疹を悪化させるので、できるだけ避ける工夫を。治療への不満もストレスになるので、納得がいくまで治療方針の説明を受けるとよい
日光(紫外線)乾癬によい効果がある。日光浴を勧める。ただし紫外線で悪化する患者さんもいるので、過度な日光浴は避ける
かゆみ入浴、アルコールや香辛料の強い食事などで体が温まるとかゆくなることがある。かゆみ止めの飲み薬を使うこともある

なお、乾癬のかゆみはふつう、それほど強くないとされています。かゆみがあまりに強い場合は、別の皮膚病の可能性もあるので医師に相談してください。かゆみ全般については乾燥肌とかゆみの記事で書いています。

5. 治療は4つ。組み合わせて選ぶ

乾癬は慢性で、よくなったり悪くなったりを繰り返すため、一律の治療方針はなく、病気の程度や状況に応じて治療を選びます。

治療資料の記述
外用療法(塗り薬)ふつうは塗り薬から始める。ステロイド外用薬、ビタミンD3外用薬、その両方の配合薬が主に使われる
内服療法(飲み薬)レチノイド、シクロスポリン、メトトレキサート、アプレミラストが主なもの
光線療法ナローバンドUVB(311nm付近のごく狭い範囲の紫外線)は、手間が少なく照射時間も短く、急速に普及。ふつう週2〜3回から始める
抗体療法(生物学的製剤)炎症物質(サイトカイン)をピンポイントで抑える注射薬。現在11種類。ほかの治療で十分でない場合などに使う。初めて使うときは学会が定める医療機関を受診する

皮膚科Q&Aは、医師が治療を選ぶときは、慢性の病気であることを考え、患者さんの希望も聞きながら、治療効果と副作用(短期・長期)、薬剤費の負担のバランスで選んでいる、と説明しています。

そして、治療によって発疹が完全に消える経験は30〜70%の患者さんでみられ、長く発疹が出ない、あるいは自然に消える患者さんもまれではないとされています。症状がよくなったら、悪化させる要因(不規則な生活・食生活、ストレスなど)をできるだけ避けて再発を防ぐよう心がけることが勧められています。

6. 関節の痛みに注意(関節症性乾癬)

「乾癬で関節炎を伴うことがあります(乾癬の患者さんの10人に1人くらい)。」(日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「乾癬」Q14)

皮膚の症状と関節の痛みは一見関係ないように見えますが、関連している可能性もあるので、気になったら皮膚科専門医に相談するよう勧められています。かかとの痛みについてはかかと・アキレス腱の痛みの記事でも書いています。

7.【内科医の視点】メタボと一緒に考える

内科医として、ここはぜひ知っておいてほしいところです。皮膚科Q&Aは検査の説明の中で、次のように書いています。

「乾癬の患者さんは普通の方よりメタボリック症候群を合併しやすいと考えられていますので血圧、コレステロールなどの脂質検査、糖尿病などの検査も行います。」(日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「乾癬」Q10)

しかも、カロリーのとりすぎや肥満は乾癬を悪化させるとされています。つまり、体重や食事の見直しは、皮膚のためにも、血圧・脂質・血糖のためにも意味がある、ということです。乾癬と言われている方は、健診の数値にも目を向けてください(→糖尿病予備軍、家庭血圧)。

また、生物学的製剤による治療を始める場合は、通常の検査に加えて、胸の画像検査、肝炎ウイルス、結核などの検査も行われます。肝炎ウイルスの検査については肝炎ウイルス検査の記事で書いています。

8. 受診・相談したほうがよいとき

皮膚科を受診・相談したいとき

・ひじ・ひざ・頭などに、白い粉をともなう赤く盛り上がった発疹が続く

・乾癬と言われていて、関節の腫れや痛み、アキレス腱の付け根や足の裏の痛み、腰・背中・首の痛みがある

・経過中に、ふだんと違う発疹や症状が出た

・発熱やだるさとともに、全身に赤みと膿をもったポツポツが出た(重症で入院治療が必要とされる型の可能性。すぐに受診)

・今の治療に納得できない、負担が大きい(治療方針の説明を受け直す)

最後に、この記事の要点をもう一度。

① 乾癬は決してうつらない

② こすれる場所(頭・ひじ・ひざ・腰まわり)に出やすい。硬いタオルや締め付ける服は避ける

③ カロリーのとりすぎや肥満で悪化。メタボリック症候群を合併しやすい

④ 治療は塗り薬・飲み薬・光線療法・生物学的製剤の4つを組み合わせる

⑤ 10人に1人くらいに関節炎。発疹が軽くても関節炎が強いことがある

9. よくある質問

乾癬は人にうつりますか?

日本皮膚科学会の皮膚科Q&Aは、乾癬は決してうつらないと明言しています。乾癬の患者さんは発疹を見られることで周囲の視線を意識して生活しており、うつらないという情報はきわめて重要だとして、学会は一般社会に向けて常に啓発しています。

乾癬は、どんな場所に出やすいですか?

皮膚科Q&Aによると、乾癬の発疹は全身のどこにでも出ますが、こすれる場所に出やすく、ひじ、ひざ、腰まわりなどが代表的です。頭も、毛が伸びるときに皮膚をこするため出やすい場所です。入浴時に硬いタオルでこすることや、体を締め付ける衣類は好ましくないとされています。

食事や体重は乾癬に関係しますか?

皮膚科Q&Aは、食べ物はバランスよく、規則正しい生活を勧め、カロリーのとりすぎや肥満は乾癬を悪化させるとしています。また、乾癬の患者さんはメタボリック症候群を合併しやすいと考えられているため、血圧、脂質、糖尿病などの検査も行われます。

乾癬はよくなりますか?

皮膚科Q&Aによると、乾癬は慢性で発疹を繰り返す病気ですが、治療によって発疹が完全に消える経験は30〜70%の患者さんでみられ、長期にわたって発疹が出ない、あるいは自然に消える患者さんもまれではないとされています。症状がよくなったら、悪化させる要因をできるだけ避けて再発を防ぐことが勧められています。

乾癬で関節が痛くなることはありますか?

皮膚科Q&Aによると、乾癬の患者さんの10人に1人くらいに関節炎がみられます(関節症性乾癬)。発疹の程度とは必ずしも一致せず、乾癬が出てから数年後に起こることが多く、アキレス腱の付け根や足の裏、腰・背中・首が痛むこともあります。放置すると関節が変形することもあるため、気になったら皮膚科専門医に相談してください。

参考にした主な資料

凪
なぎ先生

内科系の臨床に15年ほど携わる医師。生活習慣病・ホルモン・栄養の相談を日常的に受けています。中立性の担保と診療継続のため、ペンネームで執筆しています。→ 運営者について

この記事は健康情報の提供を目的としたものであり、診断・治療に代わるものではありません。本文で紹介した内容は、日本皮膚科学会の皮膚科Q&A「乾癬」にもとづくもので、公開時点の情報です。乾癬の治療は症状や状況によって異なるため、皮膚科専門医に相談してください。発熱やだるさとともに全身に発疹や膿をもったポツポツが出た場合は、すぐに受診してください。掲載内容の誤りにお気づきの際はお問い合わせからお知らせください。