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からだの変化

口とのどの不調
——味がわからない、のどの違和感、治りにくい口内炎、声のかれ。受診すべきサインを整理します

食べ物の味が鈍くなった。のどに何かがひっかかっている感じが続く。口内炎がなかなか治らない。声がかれたまま戻らない——そんな方に向けた記事です。
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会の解説によると、味覚障害の多くは、血液中の亜鉛不足が関係しています。のどの違和感は、のどの病気だけでなく、貧血や更年期障害、糖尿病などの全身の病気でも起こります。
多くは心配のいらない不調ですが、なかにはがんの初期症状のこともあります。どんなときに耳鼻咽喉科を受診すべきかを、症状ごとに整理します。

執筆:なぎ先生(内科医) 公開:2026年10月20日 読了:約10分

1. 先に結論

よくある思い込み資料の記述
味がわからないのは年のせい多くのケースで血液中の亜鉛不足が関係。原因は原因不明、薬、かぜ、全身の病気の順に多い
舌の白い苔は、こすって取るべき舌には味のセンサー(味蕾)がたくさんあるので、舌苔をブラシなどで無理に取らない
のどの違和感は気のせいのどの違和感を訴える人はとても多い。原因はさまざまで、がんの初期症状のこともあるので、気になれば早めに耳鼻咽喉科へ
口内炎は放っておけばいい多くは1〜2週間程度で自然によくなる。治りにくい、何か所もできる、何度もできる場合は受診を

この記事でいちばんお伝えしたいこと。

のどの痛みで息がつらい、食事がとれないほど痛い、誰が聞いてもわかる強い声のかれは、急いで耳鼻咽喉科へ。そして、治らない口内炎・舌の異常、長く続くのどの違和感や声のかれは、がんの初期のこともあるので、早めに受診してください。

2.【最優先】急いで受診すべきのどの症状

「のどに痛みがあり、呼吸がつらいと感じたら直ちに耳鼻咽喉科医を受診してください。」(日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「口・のどの症状」)

学会は、口の中に音がこもったように聞こえる「含み声」も、急性喉頭蓋炎や扁桃周囲膿瘍など、のどに強い炎症がある病気を疑う必要があるとしています。

3.【核心】症状ごとの受診の目安

口とのどの症状ごとの受診の目安 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「口・のどの症状」「口腔・咽頭の病気」をもとに整理 症状 よくある原因 受診したいとき 味がわからない 亜鉛不足(原因不明・薬・かぜ・全身の病気)、貧血 続くとき(血液検査で亜鉛や貧血を調べる) のどの違和感 アレルギー性鼻炎、咽頭炎、胃食道逆流症、全身の病気 気になるとき早めに(がんの初期のことも) 口内炎 アフタ性口内炎が最多(1〜2週間でよくなることが多い) 治りにくい、何か所も、何度もできる 声がかれる かぜに伴う急性喉頭炎 長く続く、強い声のかれ(なるべく早く) 飲み込めない・むせる 炎症、通り道が狭くなる、飲み込む力の低下 がんの有無をしっかり確認 のどの痛みで息がつらい・食事がとれないほど痛い → 直ちに耳鼻咽喉科へ 出典:日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会の一般向け解説をもとに作図

あくまで目安です。気になる症状が続くときは、耳鼻咽喉科で診察を受けてください。

4. 味がわからない:多くは亜鉛不足

学会は、食べ物の味がわからなくなったり鈍くなったりすることを味覚障害と呼び、ときには特定の味だけがわからない、何も食べていないのに変な味がするといった症状のこともあるとしています。

「味覚障害の原因はさまざまですが、多くのケースで血清中の亜鉛不足が関係していることが分かっています。」(日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「口腔・咽頭の病気」)

そして学会は、舌には味のセンサーである味蕾(みらい)がたくさんあるので、舌の表面の舌苔(ぜったい)をブラシなどで無理に取らないようにと書いています。亜鉛については亜鉛と抜け毛の記事でも書いています。

5. のどの違和感:全身の病気でも起こる

のどに何かがひっかかっている、痰がこびりついている、のどが狭くなった、押さえつけられる——学会は、こうしたのどの違和感を訴える人はとても多いとしています。

原因の種類資料の記述
多い原因アレルギー性鼻炎、咽頭炎・喉頭炎などの感染症、胃食道逆流症
体の一部の病気のど、鼻・副鼻腔、甲状腺、首、食道の病気
全身の病気貧血、自律神経失調症、更年期障害、糖尿病、精神疾患など
注意したいもの喉頭がんや咽頭がんの初期症状のこともある

診察や検査で原因となる異常が見つからないことも多く、その場合は咽喉頭異常感症と呼ばれます。ただし学会は、原因となりうる病気がないか、きちんと診察・検査を受けることが重要だとしています。胸やけを伴う場合は逆流性食道炎の記事、更年期の不調については更年期のセルフケア、甲状腺については甲状腺の記事も参考にしてください。

鼻水がのどに流れる「後鼻漏」も、のどの不快感や咳の原因になります(→鼻の不調)。

6. 口内炎:受診したい口内炎

もっともよく見られるのはアフタ性口内炎で、痛みを伴う数ミリの灰白色の斑点ができます。歯でかんだり歯ブラシで傷つけたりした傷に雑菌が入ることで起こり、ビタミン不足やストレスによる免疫力の低下も関係するといわれています。学会は、うがいなどで口の中を清潔に保ち、1〜2週間程度で自然によくなることが多いとしています。

「一度に何か所もできる、何度もできるという場合は、自己免疫疾患(ベーチェット病、シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデスなど)をはじめとする全身疾患の一症状として出てくる口内炎の場合もあるため、ぜひ耳鼻咽喉科を受診してください。」(同学会「口腔・咽頭の病気」)

学会は、なかなか治らない舌の異常やよくならない口の粘膜の異常があるときは、耳鼻咽喉科・頭頸部外科の専門医を受診するよう勧めています。小さいうちに見つかれば、部分的な切除で済む場合も多く、早期発見・早期治療が大切とされています。歯ぐきの腫れや出血は歯周病とまぎらわしいことがあるので、口の健康の記事もあわせて読んでください。

7. 声のかれ・口の乾き

声のかれ

声のかれでもっとも多いのは、かぜに伴う急性喉頭炎で、病気がよくなるとともに声も戻ります。一方、声のかれが長く続く場合は、声帯ポリープ、声帯結節、喉頭がん、下咽頭がん、声帯麻痺などを疑う必要があるとされています。学会は、声がかれたらなるべく早く耳鼻咽喉科を受診するよう勧めています。

口の乾き

唾液を作る唾液腺や、その管に異常が起きると、唾液がうまく出なくなり口の中が乾く原因になります。学会は、唾液腺炎には感染によるもののほか、シェーグレン症候群など自己免疫に関連したものがあり、目などほかの臓器の病気を伴う場合もあるので、疑わしいときは複数の診療科で詳しい検査が必要としています。目の乾きも気になる方はドライアイの記事も参考にしてください。

8.【内科医の視点】貧血と、のどの症状

内科医として、ここはぜひ知っておいてほしいところです。今回の解説の中で、貧血が何度も出てきます。

健診で貧血を指摘されたまま、という方は、フェリチンと鉄欠乏の記事も読んでみてください。のどや口の症状が続くときは、耳鼻咽喉科に加えて、血液検査で貧血がないかを確かめることも大切です。

9. 受診したほうがよいとき

直ちに耳鼻咽喉科を受診してほしいとき

・のどが痛く、呼吸がつらい

・食事がとれないほどのどが痛い、口が開きにくい

・息をするとぜいぜい・ヒューヒューする、声もかれている

早めに耳鼻咽喉科を受診したいとき

・なかなか治らない口内炎や舌の異常(舌の縁のしこり、赤みや白い変化)

・口内炎が一度に何か所も、何度もできる

・声のかれやのどの違和感が長く続く

・味がわからない状態が続く、飲み込みにくい、むせる

最後に、この記事の要点をもう一度。

① 味覚障害の多くは亜鉛不足。舌苔は無理に取らない

② のどの違和感は、貧血・更年期障害・糖尿病など全身の病気でも起こる

③ 口内炎は1〜2週間でよくなることが多い。治りにくい・何か所も・何度もは受診

④ 長く続く声のかれや治らない舌の異常は、がんの初期のことも

⑤ のどの痛みで息がつらいときは、直ちに受診

10. よくある質問

最近、食べ物の味がよくわかりません。

日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会によると、味覚障害の原因はさまざまですが、多くのケースで血液中の亜鉛不足が関係しています。亜鉛不足の原因は、多い順に原因不明、薬、かぜ、全身の病気とされ、鉄欠乏性貧血による舌炎なども原因になります。血液検査で亜鉛や貧血を調べて診断し、亜鉛不足が考えられる場合は栄養指導や亜鉛剤の処方が行われます。

舌の白い苔は、歯ブラシで取ったほうがいいですか?

学会は、舌には味のセンサーである味蕾がたくさんあるので、表面についた舌苔をブラシなどで無理に取らないようにと書いています。

のどに何かがひっかかっている感じが続きます。

学会によると、のどの違和感を訴える人はとても多く、アレルギー性鼻炎や咽頭炎、胃食道逆流症などが原因であることが多い一方、貧血や更年期障害、糖尿病などの全身の病気でも起こります。喉頭がんや咽頭がんの初期症状の場合もあるため、気になるときは早めに耳鼻咽喉科で診察を受けることが勧められています。

口内炎は、どんなときに受診すべきですか?

学会によると、もっともよく見られるアフタ性口内炎は、口の中を清潔に保てば1〜2週間程度で自然によくなることが多いとされています。一方、治りにくい口内炎の中には初期のがんが含まれていることがあり、一度に何か所もできる、何度もできる場合は自己免疫疾患などの全身の病気の一症状のこともあるため、耳鼻咽喉科の受診が勧められています。

声がかれたまま戻りません。

学会によると、声のかれでもっとも多いのはかぜに伴う急性喉頭炎で、病気がよくなるとともに声も戻ります。声のかれが長く続く場合は、声帯ポリープや声帯結節、喉頭がん、下咽頭がん、声帯麻痺などを疑う必要があるため、なるべく早く耳鼻咽喉科を受診することが勧められています。

参考にした主な資料

凪
なぎ先生

内科系の臨床に15年ほど携わる医師。生活習慣病・ホルモン・栄養の相談を日常的に受けています。中立性の担保と診療継続のため、ペンネームで執筆しています。→ 運営者について

この記事は健康情報の提供を目的としたものであり、診断・治療に代わるものではありません。本文で紹介した内容は、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会の一般向け解説にもとづくもので、公開時点の情報です。のどの痛みで呼吸がつらいときは、直ちに医療機関を受診してください。治らない口内炎や舌の異常、長く続く声のかれやのどの違和感は、早めに耳鼻咽喉科で診察を受けてください。掲載内容の誤りにお気づきの際はお問い合わせからお知らせください。