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からだの変化

鼻の不調
——鼻づまり・においがしない・鼻がのどに流れる。点鼻薬の使いすぎは、かえって鼻をつまらせます

鼻づまりがずっと続いている。においがよくわからない。鼻水がのどに流れて、痰や咳が出る——そんな方に向けた記事です。
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会の解説によると、鼻づまりが続くと、においがわからなくなるだけでなく、口呼吸になってのどを痛めたり、集中力がなくなる、疲れやすいといった全身の症状も伴います。
そして、鼻づまりを改善する点鼻薬は、使いすぎると効かなくなり、逆につまってしまうことがあります(点鼻薬性鼻炎)。
鼻の不調の原因と、耳鼻咽喉科を受診すべきときを整理します。

執筆:なぎ先生(内科医) 公開:2026年10月21日 読了:約9分

1. 先に結論

よくある思い込み資料の記述
鼻づまりは点鼻薬でしのげばいい点鼻薬は使いすぎると効かなくなり、逆につまってしまうことがある(点鼻薬性鼻炎)
蓄膿症は昔の病気慢性副鼻腔炎の中でも、治療が難しい好酸球性副鼻腔炎が増加傾向
においがしないのは年のせいアレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎、かぜのウイルスなどが原因。原因の病気を治療するのが基本
鼻うがいは自己流でいい温度・濃度・やり方を間違えると鼻の粘膜や耳を痛める可能性がある。耳鼻咽喉科医の指導の下で

この記事でいちばんお伝えしたいこと。

鼻の症状が長引くときは、自己判断で点鼻薬を使い続けずに、まず耳鼻咽喉科へ。とくに、左右の片側だけに鼻づまり・悪臭のある鼻水・鼻血などが続くときは、注意が必要です。

2.【核心】鼻水の性質で、原因の見当がつく

鼻の症状と、考えられる原因 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「鼻の症状」「鼻の病気」をもとに整理 症状 考えられる原因 水のようにさらさらの鼻水 かぜの鼻炎(咳やだるさを伴う) アレルギー性鼻炎(くしゃみ・鼻づまりを伴う) どろどろの黄色い鼻水 鼻がくさい 副鼻腔炎(いわゆる蓄膿症) 細菌・カビ・ウイルスの感染が主な原因 くしゃみ+目や鼻のかゆみ 花粉症の可能性 鼻がのどに流れる アレルギー性鼻炎・副鼻腔炎でよくみられる(後鼻漏) 点鼻薬を使い続けている 点鼻薬性鼻炎(使いすぎで逆につまる) 片側だけの鼻づまり・悪臭のある鼻水・鼻血・頬の腫れが続く → 早めに耳鼻咽喉科へ 出典:日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会の一般向け解説をもとに作図

自律神経の反応で起こる「血管運動性鼻炎」も、アレルギー性鼻炎と同じような症状になります。

3. 鼻づまり:点鼻薬の使いすぎに注意

学会によると、鼻づまりの多くは、かぜに伴う鼻炎、アレルギー性鼻炎、急性・慢性副鼻腔炎などによる鼻の粘膜の腫れや鼻茸(はなたけ)、粘った鼻水が原因です。片側だけに鼻づまりが強い場合は、鼻の左右を分ける壁が曲がっている(鼻中隔弯曲症)こともあり、ときには腫瘍が見つかることもあります。

「鼻づまりを改善する点鼻薬は使いすぎると効かなくなり、点鼻薬性鼻炎(薬剤性鼻炎)といって逆につまってしまうことがあります。」(日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「鼻の症状」)

また、鼻の乾燥や、年齢とともに空気の通りを感じる感覚が鈍くなることで、鼻が通っているのにつまったと感じることもあるとされています。鼻づまりはいろいろな原因で起こるので、学会は原因を詳しく調べることが必要だとしています。治療は、原因に応じて鼻の処置やネブライザー、薬で、ときには手術が必要になることもあります。

4. 副鼻腔炎:長引く鼻づまりと、においの低下

鼻のまわりには副鼻腔と呼ばれる4つの空間があり、ここで炎症が起きている状態が副鼻腔炎です。以前は「蓄膿症」とも呼ばれていました。

時期資料の記述
急性期鼻づまり、ドロっとした匂いのする鼻水、頬・鼻のまわり・額の痛み、顔やまぶたの腫れ、発熱
慢性化症状が一段落してもすっきりしない。鼻づまり、粘った鼻水、頭重感、匂いがしないが続く場合は要注意
治療抗菌薬を通常の半分の量で長く飲むマクロライド少量長期療法やネブライザー療法。それでもよくならないときは内視鏡を使った手術

学会は、近年、好酸球性副鼻腔炎が増加傾向にあるとしています。治療が難しく、従来の治療が効きにくいタイプで、喘息を合併したり、においがしない・わかりにくい、鼻茸を伴うのが特徴です。ステロイドを中心とした治療が行われます。

副鼻腔炎は、鼻の内視鏡やレントゲン、CT検査をしないと詳しい診断ができません。学会は「鼻の症状(特に長引く)が気になる場合はまずは耳鼻咽喉科受診を!」と呼びかけています。なお、上の歯の虫歯や歯の根の炎症が原因になる歯性上顎洞炎もあるとされています(→口の健康の記事)。

5. においがしない(嗅覚障害)

においは、鼻のいちばん上にある嗅上皮に「におい分子」が届き、神経を通じて脳で感じ取られます。学会は、においがしなくなる原因として、次の2つを挙げています。

治療の基本は、原因となっている病気を治療することで、鼻の処置、薬、手術などが行われます。ステロイドの点鼻も使われますが、学会は、長く使うと副作用が出ることがあるので主治医の指導に従って使うよう書いています。味がわからない場合は口とのどの不調の記事も参考にしてください。

6. アレルギー性鼻炎と、根本的な治療法

アレルギー性鼻炎は、くしゃみ・鼻水・鼻づまりが、病的に、過剰に起こる病気です。原因になりやすいのは、ハウスダスト、ダニ、スギやヒノキの花粉、犬や猫などのペット、カビなどです。

花粉による目のかゆみ(アレルギー性結膜炎)については目のかゆみ・目の疲れで書いています。

花粉症の季節だけ市販薬でしのいでいる方は、耳鼻咽喉科で原因物質を調べ、根本的な治療が受けられるかを相談してみてください。目のかゆみについては目の健康の記事で書いています。

なお、閉塞隅角緑内障の方は、市販の鼻炎薬やかぜ薬にも使えないものがあります(→緑内障)。

7. 鼻がのどに流れる(後鼻漏)と鼻うがい

鼻水の一部がのどに回るのは誰にでもある現象ですが、量が多くなったり、粘りが強くなってべったり付いたりすると不快になります。これを後鼻漏(こうびろう)と呼びます。学会は、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎でよくみられ、とくに副鼻腔炎に伴う後鼻漏は痰や口臭の原因になるだけでなく、のどや気管を刺激して咳の原因になることもあるとしています。

「生理食塩水による鼻の洗浄(鼻うがい)が効果的なこともあります。ただし、洗浄液の温度、食塩水の濃度、やり方などを間違えると、鼻の粘膜や耳を痛める可能性があるため、耳鼻咽喉科医の指導の下に行う必要があります。」(日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「鼻の症状」)

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この章で扱った鼻うがい(鼻の洗浄)の器具です。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会は、後鼻漏について「生理食塩水による鼻の洗浄(鼻うがい)」に触れたうえで、「耳鼻咽喉科医の指導の下に行う必要があります」と書いています。

※ 当サイトは、記事のなかで根拠を示したうえで推奨したものに限り広告を掲載しています。学会は、鼻うがいは温度・濃度・やり方を間違えると鼻の粘膜や耳を痛める可能性があるため、耳鼻咽喉科医の指導の下に行う必要があるとしています。使う前に、まず耳鼻咽喉科で鼻の症状の原因を調べ、鼻うがいをしてよいか、どのように行うかを相談してください。ここで紹介しているのは、小林製薬の「ハナノアa」(洗浄器具と専用の洗浄液のセット)です。販売ページによると、洗浄液を鼻から入れて口から出す方式で、洗浄液は体液に近い成分でできているとされています。使い方は、添付の説明書と医師の指導に従ってください。

8.【内科医の視点】片側だけの症状と、鼻血

内科医として、ここはぜひ知っておいてほしいところです。学会は、上顎がんについて次のように書いています。

鼻血については、鼻の粘膜はもともと毛細血管が多く、特に原因がなくても出血することがあるとされています。ただし、血圧が高い人や血液をサラサラにする薬を飲んでいる人は止まりにくく、学会は鼻血が続くときは一度耳鼻咽喉科で診察を受けるよう勧めています。血圧については家庭血圧の記事で書いています。

9. 受診したほうがよいとき

早めに耳鼻咽喉科を受診したいとき

・左右の片側だけに、鼻づまり・悪臭のある鼻水・鼻血・頬の腫れが続く

・鼻血が続く、繰り返す

・頬・鼻のまわり・額の痛み、顔やまぶたの腫れ、発熱がある

相談したいとき

・鼻づまり・粘った鼻水・頭重感・においがしない状態が長引く

・点鼻薬が手放せない、使っても効かなくなってきた

・鼻がのどに流れて、痰や咳が続く

・花粉症などで、根本的な治療(免疫療法)を考えたい

最後に、この記事の要点をもう一度。

① 点鼻薬は使いすぎると効かなくなり、逆につまる(点鼻薬性鼻炎)

② 長引く鼻づまり・粘った鼻水・においの低下は慢性副鼻腔炎のことも。好酸球性副鼻腔炎は増加傾向

③ においがしないときは、原因の病気を治療するのが基本

④ アレルギー性鼻炎には、根本的な治療として免疫療法がある

⑤ 鼻うがいは耳鼻咽喉科医の指導の下で。片側だけの症状は早めに受診

10. よくある質問

市販の点鼻薬を毎日使っています。大丈夫ですか?

日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会によると、鼻づまりを改善する点鼻薬は使いすぎると効かなくなり、点鼻薬性鼻炎(薬剤性鼻炎)といって逆につまってしまうことがあります。鼻づまりはいろいろな原因で起こるため、原因を詳しく調べることが必要とされています。点鼻薬が手放せない場合は、耳鼻咽喉科で相談してください。

鼻づまりとドロっとした鼻水が長引いています。

学会によると、鼻づまり、粘った鼻水、頭重感、においがしないなどの症状が続く場合は、副鼻腔炎が慢性化している可能性があります。副鼻腔炎は鼻の内視鏡やレントゲン、CT検査をしないと詳しい診断ができないため、耳鼻咽喉科の受診が勧められています。

においがわかりません。原因は何ですか?

学会によると、アレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎、鼻中隔弯曲症などで、におい分子がにおいを感じる部分まで届かないとにおいがしなくなります。また、かぜのウイルスなどでにおいを感じる細胞自体がダメージを受けると、しばしば高度の嗅覚障害になります。治療の基本は原因となっている病気を治療することです。

鼻うがいは自分でやってもいいですか?

学会は、鼻水がのどに流れる後鼻漏について、生理食塩水による鼻の洗浄(鼻うがい)が効果的なこともあるとしています。ただし、洗浄液の温度、食塩水の濃度、やり方などを間違えると鼻の粘膜や耳を痛める可能性があるため、耳鼻咽喉科医の指導の下に行う必要があるとしています。

花粉症を根本的に治療する方法はありますか?

学会によると、原因となる物質のエキスを少しずつ増やしながら注射して反応を起こしにくくするアレルゲン免疫療法は、もっとも根本的な治療法といえます。注射の代わりに口の粘膜から吸収させる舌下免疫療法も開発されています。原因物質は、皮膚での反応や血液中の抗体の量を測って調べることができます。

参考にした主な資料

凪
なぎ先生

内科系の臨床に15年ほど携わる医師。生活習慣病・ホルモン・栄養の相談を日常的に受けています。中立性の担保と診療継続のため、ペンネームで執筆しています。→ 運営者について

この記事は健康情報の提供を目的としたものであり、診断・治療に代わるものではありません。本文で紹介した内容は、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会の一般向け解説にもとづくもので、公開時点の情報です。鼻の症状が長引くとき、左右の片側だけに症状が続くとき、鼻血が続くときは、耳鼻咽喉科を受診してください。鼻うがいは、耳鼻咽喉科医の指導の下で行ってください。掲載内容の誤りにお気づきの際はお問い合わせからお知らせください。