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体型と代謝

首の痛み・肩こり
——「姿勢を直す体操」は推奨されず、首の筋トレは「弱く推奨」でした

夕方になると首から肩がガチガチになる。パソコンに向かうと首の付け根が重い。朝起きたら首が回らない——そんな方に向けた記事です。
首の痛みは、1年間に一般の人の30〜50%が経験するとされ、中年世代(平均49歳)と女性に多いと報告されています。
「姿勢が悪いから、姿勢を直す体操をしなければ」と思っていませんか。理学療法士の学会がまとめたガイドラインは、姿勢を直すための運動を「行わないことを条件付きで推奨する」としました。その一方で、首の筋力トレーニングは「弱く推奨」しています。
10の推奨の中身と、内科医として見逃してほしくない受診のサインを整理します。

執筆:なぎ先生(内科医) 公開:2026年10月16日 読了:約11分

1. 先に結論

よくある思い込み資料の記述
首の痛みは、姿勢を直す体操で良くなる姿勢を直すための運動は「行わないことを条件付きで推奨」。ただし根拠は1本の研究だけで、結論は変わりうる
首は鍛えないほうがいい首の筋力トレーニングは「弱く推奨」。深い筋肉のトレーニングも条件付きで推奨
施術を受けていれば良くなる関節を動かしてもらう施術だけでは、痛みが軽くなるという根拠はない。運動と組み合わせる
肩こりは首と肩だけの問題日本整形外科学会は、高血圧症・目の病気・頭の中の病気などに伴う肩こりも少なくないとしている
首の病気なら、首が痛むはず首の脊髄の病気では、ボタンのはめ外し・箸・字を書くのが不器用になる

この記事でいちばんお伝えしたいこと。

首の痛みに対して、ガイドラインが「やる」方向で推したのは首の筋肉を使うトレーニングでした。施術を受けるだけ、姿勢を気にするだけではなく、自分で首の筋肉を動かすこと。そして、手の不器用さ・腕の力の入りにくさがあれば、体操より先に受診することです。

2. 首の痛みは、中年世代と女性に多い

この記事で主に使う資料は、日本理学療法学会連合がまとめた「理学療法ガイドライン 第2版」の第5章(頸部機能障害)です。首の痛みについて、基本的な疑問への答えと、10の臨床の問い(CQ)への推奨が載っています。

まず、どのくらい多いのか。ガイドラインはこう書いています。

「頸部痛とそれに伴う障害は,よくみられる症状であり,年間に一般人口の30~50%に影響を与えている」

「発症年齢は,中年世代(平均年齢49 歳)に多く,性別では女性に多いと報告されている」

そして、首の痛みは「緩解した場合でも,再発が多い」とされています。一度よくなっても、くり返しやすいということです。

「肩こり」との関係にも触れておきます。ガイドラインは「日本においては,肩甲骨周囲の疼痛や違和感は肩こりとして捉えられている場合がある.」と書いています。日本整形外科学会は肩こりを、首すじ・首のつけ根から肩・背中にかけて張った、凝った、痛いなどの感じがするもので、頭痛や吐き気を伴うことがあると説明しています。この記事では、首の痛みと肩こりをまとめて扱います。

なりやすさに関わる要因として、ガイドラインは次のものを挙げています。

変えられない要因変えられる要因
女性であること
年齢(高齢者に多い)
長時間のデスクワークや運転など首に負担のかかる業務、喫煙、社会的なサポートの不足、過重な仕事量、首や腰を痛めたことがある

職業では、医療職や事務職などパソコンを扱う仕事に多く、そのうち女性と、首の痛みを経験したことのある人が、再発しやすいと報告されています。

もう一つ、知っておいてほしい区別があります。ガイドラインは首の痛みを、腕に向かう神経の根もとが圧迫される「神経根症」と、原因となる場所を特定しにくい「非特異性頸部痛」に分けています。いわゆる肩こりや、デスクワークで首が痛むといった多くの場合は後者です。腕に響く痛みやしびれがある場合は7章をご覧ください。

3.【核心】10の推奨を一覧で見る

ガイドラインの10の推奨を、一覧にしました。赤い行は「行わないことを条件付きで推奨」、緑の行は「推奨」です。

首の痛みの10の推奨(理学療法ガイドライン第2版) 根拠の強さは10とも D(非常に弱い) 対象 方法 答え 根拠 首の痛み首の筋トレ(全体)弱く推奨D 首の痛み首の深い筋肉のトレーニング条件付きで推奨D 中心化がある人痛みが中心に集まる方向の運動条件付きで推奨D 首の痛み姿勢を直すための運動行わないを条件付き推奨D 首の痛み・神経根症関節を動かしてもらう施術行わないを条件付き推奨D 首の痛み生活や運動の助言だけ行わないを条件付き推奨D 腕に広がる痛み神経を動かす治療行わないを条件付き推奨D 神経根症神経を動かす治療条件付きで推奨D 神経根症運動や道具で姿勢を直す弱く推奨D 神経根症生活や運動の助言だけ行わないを条件付き推奨D 「首の痛み」は非特異性頸部痛(原因の場所を特定しにくい首の痛み)のことです。 出典:理学療法ガイドライン第2版 第5章 頸部機能障害理学療法ガイドライン(CQ1〜CQ10)をもとに作図

D(非常に弱い)は、ガイドラインの4段階の根拠の強さのうち、いちばん下の段階です。並び順は記事の流れに合わせて入れ替えています。

一覧から見えてくるのは、自分で筋肉を使う方法が「推奨」の側に、受け身の方法や、それだけを単独で行う方法が「行わない」の側に並んでいることです。

ただし、10の推奨すべてで根拠の強さはD(非常に弱い)でした。採用された研究が1〜8本と少なく、ガイドライン自身も、質の高い研究が出れば結論が変わりうると何度も書いています。「行わないことを条件付きで推奨」は「害がある」という意味ではなく、いまの研究からは勧める根拠がないという意味です。

4. 姿勢を直す体操は、なぜ推奨されなかったのか

この記事でいちばん意外かもしれないのが、ここです。原因の場所を特定しにくい首の痛みについて、姿勢を直すための運動や道具で、再発や悪化を防げるかという問い(CQ5)に、ガイドラインはこう答えました。

「非特異性頸部痛患者に対して,姿勢改善のための運動療法を行わないことを条件付きで推奨する.」

一般向けの要約は、「姿勢の改善を目的とする運動の実施や道具の使用に症状の軽減効果があるかは実証されていません.」と答えています。

「姿勢は関係ない」と言っているわけではありません。ガイドラインは別の箇所で、「頭部前方位などの不良アライメントは,頸部痛や肩痛に関連していることが報告されており」と書いています。頭が前に出た姿勢と首の痛みには関係がある。それでも推奨されなかった理由は、研究がほとんどなかったからです。

ガイドラインが挙げた理由中身
研究が1本しかない約1万2千本の論文を調べて、条件に合ったのは1本だけ。再発や悪化を防げるかを調べた研究はなかった
何もしない場合と比べていないその1本は、姿勢の運動と首の後ろにテープを貼る方法を比べたもの。どちらも痛みは軽くなったが、運動のほうが改善が小さかった
運動の量が足りなかった可能性運動は週2回・4週間。テープは4週間貼り続けた。ガイドラインは、運動の内容と量が不十分だったことが関与したと考えている
道具の研究はゼロ枕やクッションなど、姿勢を直す道具について調べた研究は見つからなかった

枕についても書いておきます。ガイドラインは、枕の形や硬さを調整する方法や、座るときに腰と背もたれの間に入れるクッションは「頸部痛や腰痛の予防のために古くから用いられています.」と紹介するにとどめ、効果があるかは実証されていないとしています。「首に良い枕」をうたう商品に、このガイドラインの裏づけはないということです。

ガイドラインは今後について、「新たな質の高いRCT が発表された場合には結論が大いに変化し得る」と書いています。姿勢を気にかけること自体を否定する必要はありません。ただ、姿勢の体操だけに頼るより、次の章の筋トレのほうが、いまは根拠があるというのが、ガイドラインの位置づけです。

5. 首の筋トレは「弱く推奨」。研究の多くは女性が対象

では、何をすればよいのか。ガイドラインが「推奨」の側に置いたのが、首の筋肉のトレーニングです。2つの問いがあります。

① 首の筋トレ(全体)(CQ6)。比較的高い負荷で首のまわりの多くの筋肉を使い、筋力を上げるトレーニングです。結論は「頸部の非特異的な筋力トレーニングを行うことを弱く推奨する.」。やり方について、ガイドラインはこう書いています。

「頭部の重さ,弾性バンドによる抵抗,重錘などの機器が使用され,患者の状態に応じて様々な方法を用いて行われます.」

研究の結果は、トレーニングをしない場合と比べて日常生活の動作と筋力が改善し、痛みそのものには統計的な差がみられませんでした。一般向けの要約は「3 か月程度の中期間にわたって実施した際の効果は認められていますが,長期にわたって実施した場合の効果はわかっていません.」としています。

40〜50代の女性にとって大事なのは、次の一文です。

「採択された論文6 本中5 本が女性のみを対象とした論文であった.」

この推奨は、主に女性を対象にした研究から導かれたものです。ガイドラインは、通常の診療の範囲で行え、自宅でも実施できること、追加で特別な費用がかからないことも挙げています。

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この章で扱ったトレーニング用のゴムバンドです。理学療法ガイドラインは、首の痛みに首の筋力トレーニングを弱く推奨していて、使う道具の例として「頭部の重さ,弾性バンドによる抵抗,重錘などの機器」を挙げています。

※ 当サイトは、記事のなかで根拠を示したうえで推奨したものに限り広告を掲載しています。道具がなくても首の筋トレは始められます。ガイドラインは、頭の重さや手で押す力を使う方法も挙げています。バンドは、負荷を少しずつ調整したいときの選択肢です。推奨の根拠の強さはD(非常に弱い)で、決まった回数や強さの正解はありません。首の運動で、腕や手にしびれや痛みが広がる場合はすぐに中止し、整形外科を受診してください(7章・10章)。手の不器用さや脚のもつれがある方は、運動を始める前に受診してください。使う前に、バンドに傷や劣化がないかを確かめてください。ここで紹介しているのは「セラバンド」(国内正規輸入代理店 D&M・長さ2m・強度レベル1=弱めのイエロー)です。初めての方は、弱い強度から始めてください。

② 首の深い筋肉のトレーニング(CQ3)。首の表面の大きな筋肉ではなく、背骨に近い深いところの小さな筋肉を狙ったトレーニングで、結論は条件付きで推奨。8本の研究から、安静時の痛み・日常生活の動作・筋力によい結果が出ています。

ガイドラインが紹介している代表的な方法は、「背臥位で頭部を軽く床に押し付けるように,頸部の前弯を平坦化することにより,頸部深部筋を活性化させる方法が多く実施されている」というものです。あおむけに寝て、あごを軽く引くように頭の後ろを床にそっと押しつけ、首のカーブを少し平らにするイメージです。

ただし、一般向けの要約はこう注意しています。

「非常に負荷の低い運動になりますので,正しく実施できるようになるまでは理学療法士の指導を受けることをお勧めします.」

負荷がごく弱いため、表面の筋肉に力が入ってしまいやすく、やっている実感も得にくい運動です。効果が確かめられているのは1〜3か月程度の範囲で、長く続けた場合のことはまだわかっていません。

6. 施術を受けるだけ、助言を聞くだけでは足りない

「行わない」側に並んだ推奨にも、共通点があります。それだけを単独で行うことへの評価だという点です。

関節を動かしてもらう施術(CQ1)。施術者が手で首の骨の関節をやさしく動かす方法(関節モビライゼーション)です。一般向けの要約は「他動的な関節モビライゼーションのみによる痛みの軽減効果に関するエビデンスはありません.」と答え、受けるならホームエクササイズの指導や運動療法、生活指導と併用される場合に検討するよう書いています。

生活や運動の助言だけ(CQ7)。首の痛みの仕組み、トレーニングの方法、痛みへの対処、仕事や日常生活の過ごし方などのアドバイスです。こちらも「教育的アプローチのみによる痛みの軽減効果に関するエビデンスはありません.」でした。

ガイドラインは、痛みは体の問題だけでなく、職場や家庭の環境、周囲のサポート、痛みの受け止め方がお互いに関わり合って程度が変わることも説明しています。助言そのものが無意味なのではなく、聞くだけで終わらせず、体を動かすことと組み合わせる。これが一覧全体から読み取れる方向です。

もう一つ、条件付きで推奨されたのが「中心化(centralization)」を利用した運動(CQ2)です。特定の方向に首をくり返し動かすと、指先側にあった症状が首の中心に集まっていき、最後には消えていく現象で、約55%の方にみられる反応とされています。最も起こりやすい方向は首を後ろに反らす方向です。ただ、痛みを伴うことがあり、要約は「centralization に関して熟知した理学療法士に運動指導を受けてください.」としています。自己流で試すものではありません。

7. 腕に響く痛み・しびれは「神経根症」かもしれない

首の痛みに加えて、肩から腕に響く痛みや、腕・手指のしびれがある場合は、首の骨から腕へ向かう神経の根もと(神経根)が圧迫されている可能性があります。日本整形外科学会の解説によると、頚椎症性神経根症は次のような特徴があります。

「一般に頚椎を後ろへそらせると痛みが強くなりますので、上方を見ることや、うがいをすることが不自由になります。」

中年〜高齢の人に多く、加齢で首の椎間板がふくらんだり骨のとげができたりして起こります。日本整形外科学会は、「遠近両用眼鏡でパソコンの画面などを頚をそらせて見ていることも原因となることがあります。」とも書いています。40代以降で遠近両用眼鏡を使い始めた方は、画面の高さを見直すきっかけにしてください。

見通しについては、「基本的には自然治癒する疾患です。」としたうえで、回復までに数か月以上かかることも少なくないため、激痛の時期が終われば気長に治療するとしています。筋力低下が著しい場合や、強い痛みで仕事や日常生活が障害されている場合は、手術を行うこともあります。

理学療法ガイドラインでは、神経根症について次の3つの推奨があります。

方法答え(根拠はすべてD)
神経を動かす治療(牽引と組み合わせる方法など)条件付きで推奨。2か月未満の短期間で、痛みと日常生活の動作に改善の報告
運動や道具で姿勢を直す弱く推奨。10週間の運動で痛みが軽くなった報告などがあるが、まだ十分に実証されていない
生活や運動の助言だけ行わないことを条件付きで推奨

原因の場所を特定しにくい首の痛み(4章)では推奨されなかった「姿勢を直す」アプローチが、神経根症では弱く推奨されている点に注目してください。同じ首の痛みでも、タイプによって答えが変わるということです。腕に響く症状がある場合は、自己判断で体操を選ばず、整形外科で診断を受けてから理学療法士に相談するのが確実です。

8.【内科医の視点】肩こりの陰にある病気

内科医として、ここはぜひ知っておいてほしいところです。日本整形外科学会は、肩こりについてこう書いています。

「頚椎疾患、頭蓋内疾患、高血圧症、眼疾患、耳鼻咽喉疾患、肩関節疾患の随伴症状としての「肩こり」も少なくありません。」

肩こりだと思っていたら、ほかの病気の症状の一つだった——ということがある、という意味です。診察では、X線のほか、必要に応じてMRIや筋電図、血圧測定なども行うとされています。

挙げられている病気確かめてほしいこと
高血圧症家庭で血圧を測る習慣があるか(→家庭血圧の記事)
目の病気目の疲れ・見えにくさ・ドライアイがないか(→目の健康の記事)
頭の中の病気頭痛を伴う肩こりではないか(→片頭痛の記事)
肩関節の病気腕を上げると痛い、肩が固まって動かない(→五十肩の記事)
首の骨の病気腕のしびれ、手の不器用さ(→7章・10章)

日本整形外科学会は、肩こりの原因として、首や背中が緊張する姿勢での作業、猫背・前かがみ、運動不足、精神的なストレス、長時間同じ姿勢をとること、ショルダーバッグ、冷房などを挙げています。予防として挙げているのは、同じ姿勢を長く続けない、蒸しタオルなどで肩を温める、適度な運動や体操をする、入浴して体を温めリラックスする、の4つです。座りっぱなしを減らす工夫は座りすぎと歩数で書いています。そして「明らかな原因疾患があれば、その治療が必要です。」としています。

9. 朝起きたら首が回らない「寝違え」

首の痛みでよくあるもう一つが、寝違えです。日本整形外科学会は、寝違えを「「外傷(けが)」ではなく、軽い病気です。」としています。睡眠中に不自然な姿勢が続いた、前日に慣れない運動や作業をした、飲酒後や疲れ果てて寝て寝返りが少なかった、といったことが関係すると考えられています。

対処のポイントは、日本整形外科学会の解説から3つです。

寝違えの対処(日本整形外科学会の解説から)

・痛い方向には動かさずにいる

・緩やかなストレッチが有効な場合もあるが、痛みを我慢してストレッチするのは逆効果の場合がある

・マッサージも、余計に痛くなる場合には良くない

起床時に痛くなり、数時間から数日で痛みが改善していくなら、徐々に首を動かしていくことでよくなるのが一般的です。一方で、日本整形外科学会は、寝違えがよくならない場合は整形外科を受診して調べてもらう必要があるとしています。よくならない寝違えの陰に、椎間板ヘルニアや神経根症、脊髄の病気、骨の腫瘍、関節リウマチなどが隠れていることがあるからです。

10. 🚨 受診したほうがよいとき

理学療法ガイドラインは、首の痛みの評価はまず危険なサイン(red flags)の有無を確かめることから始めるとしています。具体的には、「外傷性の骨折や脱臼,脊髄の悪性腫瘍,化膿性脊椎炎,外傷後などの重篤な頸髄症による脊髄刺激症状が認められる場合」などで、この場合リハビリは原則として行いません。

見逃したくないのが、首の脊髄が圧迫される頚椎症性脊髄症です。日本整形外科学会は症状をこう説明しています。

「ボタンのはめ外し、お箸の使用、字を書くことなどが不器用になったり、歩行で脚がもつれるような感じや階段で手すりを持つようになったりという症状が出ます。」

首の痛みよりも、手先や足元の変化として現れるのが特徴です。日本整形外科学会は、高齢の方では気づくのが遅れる場合があること、転倒などの軽いけがで手足のまひ(脊髄損傷)になる可能性があるので転倒に注意することも書いています。

整形外科で診てもらいたいとき(資料の記述から)

・ボタンのはめ外し、箸、字を書くことが不器用になった/歩くと脚がもつれる、階段で手すりが必要になった(頚椎症性脊髄症のことがあります)

・手足にしびれがある

・肩から腕に響く痛みがあり、腕に力が入りにくい、強い痛みで仕事や生活に支障がある(神経根症のことがあります)

・転倒や交通事故など、けがのあとから首が痛む

・寝違えのような痛みが数日たってもよくならない

・肩こりに、頭痛や目・耳の症状を伴う、血圧が高いと言われている(ほかの病気に伴う肩こりのことがあります)

あわせて、血圧が高めと言われている方は、肩こりをきっかけに一度血圧を測ってください。肩こりの陰にある病気を確かめるきっかけになります。

最後に、この記事の要点をもう一度。

① 首の痛みは1年間に30〜50%の人が経験し、中年世代と女性に多い。再発しやすい

② ガイドラインが推したのは首の筋トレ(弱く推奨)と深い筋肉のトレーニング(条件付き推奨)

③ 姿勢を直す体操は「行わないことを条件付きで推奨」。ただし研究は1本だけで、結論は変わりうる

④ 施術や助言はそれだけで終わらせず、自分で体を動かすことと組み合わせる

⑤ 腕に響く痛みやしびれは神経根症のことがあり、推奨が変わる

⑥ 手の不器用さ・脚のもつれは、体操より先に受診する

11. よくある質問

肩こりは、姿勢を直せば良くなりますか?

理学療法ガイドライン第2版は、原因の場所を特定しにくい首の痛みについて、姿勢を直すための運動を「行わないことを条件付きで推奨する」としました。一般向けの要約は、姿勢の改善を目的とする運動や道具に症状を軽くする効果があるかは実証されていないとしています。ただし、条件に合った研究は1本だけで、運動の量が不十分だった可能性も指摘されており、質の高い研究が出れば結論が変わりうると書かれています。頭が前に出た姿勢と首の痛みに関係があるという報告はあります。

首の痛みに、筋トレはしたほうがいいですか?

理学療法ガイドライン第2版は、首の筋力トレーニングを弱く推奨し、首の深いところの筋肉のトレーニングを条件付きで推奨しています。研究では、日常生活の動作や筋力によい結果が出ています。首の筋トレの研究は6本中5本が女性だけを対象にしたものでした。効果が確かめられているのは1〜3か月程度の範囲で、根拠の強さはどちらもD(非常に弱い)です。腕や手にしびれや痛みが広がる場合は中止して受診してください。

整体やマッサージに通えば、首の痛みはよくなりますか?

理学療法ガイドライン第2版は、施術者が手で首の関節を動かす方法(関節モビライゼーション)について、それだけで痛みが軽くなるという根拠はないとし、単独では行わないことを条件付きで推奨しています。受ける場合は、自宅での運動の指導や運動療法、生活指導と組み合わせる場合に検討するよう書かれています。寝違えについて日本整形外科学会は、マッサージは余計に痛くなる場合には良くないとしています。

首の痛みと一緒に腕がしびれます。どうすればいいですか?

肩から腕に響く痛みや腕・手指のしびれは、首の骨から腕に向かう神経の根もとが圧迫される頚椎症性神経根症のことがあります。日本整形外科学会によると、首を後ろに反らすと痛みが強くなるのが特徴で、基本的には自然治癒する病気ですが、数か月以上かかることも少なくありません。筋力が落ちている場合や、強い痛みで生活に支障がある場合は手術を行うこともあります。自己判断で体操を選ばず、整形外科で診断を受けてください。

肩こりで病院に行くのは大げさですか?

多くの肩こりは姿勢や運動不足、ストレスなどが関係しますが、日本整形外科学会は、首の骨の病気、頭の中の病気、高血圧症、目の病気、耳鼻咽喉の病気、肩関節の病気に伴う肩こりも少なくないとしています。手の不器用さや脚のもつれ、手足のしびれ、腕の力の入りにくさ、頭痛や目・耳の症状を伴う場合や、けがのあとからの痛みは、受診してください。

参考にした主な資料

凪
なぎ先生

内科系の臨床に15年ほど携わる医師。生活習慣病・ホルモン・栄養の相談を日常的に受けています。中立性の担保と診療継続のため、ペンネームで執筆しています。→ 運営者について

この記事は健康情報の提供を目的としたものであり、診断・治療に代わるものではありません。本文で紹介した推奨と数値は、理学療法ガイドライン第2版(第5章)と日本整形外科学会の一般向け解説にもとづくもので、公開時点の情報です。ガイドラインの推奨は根拠の強さが「非常に弱い」ものであり、首の痛みや肩こりの原因は人によって異なります。手の不器用さ、脚のもつれ、手足のしびれ、腕の力の入りにくさ、けがのあとの痛みなどがある場合は整形外科を受診してください。掲載内容の誤りにお気づきの際はお問い合わせからお知らせください。