1. 先に結論
| よくある思い込み | 資料の記述 |
|---|---|
| 足の裏の硬くて痛いものは、ウオノメ | 足の裏のイボ(足底疣贅)は、小さいものではウオノメと区別がつきにくいことがある |
| ウオノメは市販薬で自分で取ればいい | まず皮膚科医の正しい診断を。その指導と管理の下なら、市販薬を使って自分で治療することもあってよい |
| 削ればもうできない | 圧迫の原因が除かれない限り、一度よくなっても、必ずと言っていいほど再発する |
| タコは痛くないから放っておいていい | タコに痛みや赤みがあれば細菌感染の可能性。糖尿病の方は重症化しやすい |
この記事でいちばんお伝えしたいこと。
ウオノメやタコは、皮膚の一部への慢性の刺激でできます。まず皮膚科で、本当にウオノメ・タコなのかを確かめること。そして、合わない靴などの圧迫の原因を見つけて取り除くことが、学会がいちばん大切だとしていることです。
2. ウオノメは、なぜできるのか
「ウオノメは、通常大人の足の裏や趾(ゆび)などにできる、直径5~7mm程の硬い皮膚病変で、歩行や圧迫により激しい痛みを伴うのが特徴です。」(日本皮膚科学会 皮膚科Q&A)
中心に魚の眼のような芯が見えるので「ウオノメ」と呼ばれますが、専門用語では「鶏眼(けいがん)」と言います。
足の裏の皮膚が厚く硬いのは、歩いたり体重を支えたりする刺激に対して、皮膚がいちばん外側の角質層を厚くして対応しているからです。ところが、同じ場所に繰り返し異常な圧迫が加わると、角質が厚く芯のようになり、皮膚の奥に向かってくさび状に食い込んでいくことがあります。これがウオノメです。食い込んだ芯が神経を圧迫して、痛みが出ます。
一方のタコ(専門用語では胼胝〈べんち〉)も、慢性の刺激で角質層が厚くなるものですが、刺激を受けたあたり全体の皮膚が少し黄色みを帯びて、厚く硬く盛り上がってきます。足の裏以外にも、ペンダコや座りダコのように、生活習慣や職業、癖によって体のあちこちにできます。
3.【核心】ウオノメ・タコ・イボの見分け方
足の裏のイボのうち、子どもに多い「ミルメシア」はウオノメそっくりの“痛い”イボです。
学会は、足の裏にできるイボ(足底疣贅)は皮膚の中にめり込んでいることが多いため、小さいものではウオノメと区別がつきにくいことがあると書いています。イボは、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスによるものです。イボについてはイボの記事で書いています。
また、足の裏にできる粉瘤(ふんりゅう)などの皮膚の下のできもの(足底粉瘤)の影響で、表面の皮膚がタコのようになっていることもあります。この場合は、原因の粉瘤の治療が必要です。
粉瘤そのものについては粉瘤と目のまわりの白いブツブツで書いています。
4. 皮膚科での治療
学会は、治療の根本は「皮膚の一部が圧迫などの刺激を受け易い」状況の改善だとしたうえで、ウオノメでは当面の歩くときの激しい痛みをとることが必要だとしています。
| 方法 | 資料の記述 |
|---|---|
| スピール膏+芯の切除 | 最も一般的。ウオノメの大きさに合わせて切ったスピール膏を数日間貼って角質を軟らかくし、中心部の“眼”の部分だけをメスやハサミで切りとる |
| ドーナツ型パッド | 痛みを軽くしたり再発を防いだりするために、圧迫を取り除く目的で使うことがある。いろいろな大きさのものが市販されている |
| 電気焼灼・冷凍凝固 | イボの治療のように行うこともある |
| 手術(メスによる切除) | あとの傷あとの痛みがウオノメの痛みより強いことがあり、あまり勧めていない。日常生活が制限されるほどの激しい痛みなど、場合によっては行われる |
| タコの場合 | 必要に応じて、硬くなった角質を軟膏などで軟らかくしたり、スピール膏やハサミ・メスで除去したりする |
歩き方の異常や骨の異常の可能性がある場合は、整形外科での診察や治療が必要とされています。学会は、どの治療法がベストかは患者さんによって違うので、原因の診断も含めて専門医とよく相談することを勧めています。
5. 市販薬で自分で治療してもいい?
ドラッグストアには、ウオノメやタコ、イボの貼り薬が並んでいます。学会はこの問いに、次のように答えています。
「治療に際しては、先ず初めに皮膚科医の正しい診断を仰いで下さい。そして、その指導と管理の下に行われるのであれば、市販のお薬を用いて自分で治療することもあってよいと思います。」(日本皮膚科学会 皮膚科Q&A)
その理由として、学会は次のことを挙げています。
- イボもウオノメもタコも、区別がつきにくいことや、いろいろな皮膚病が混じっている可能性がある
- 足の裏の悪性腫瘍をウオノメと自己診断して、自分で治療しているうちに進行させてしまった方がいる
- どんな簡単な治療法でも、正しく行われないとかえって有害なことがある。ウオノメを自己治療していて化膿させてしまった糖尿病の患者さんもいる(はみ出したスピール膏で傷ついた皮膚に、細菌感染を起こした例)
6. いちばん大切なのは、圧迫を取り除くこと
学会は、ウオノメやタコの原因である「特定の場所の皮膚への慢性の刺激」は、次のようなさまざまなことで生じるとしています。
- 窮屈な靴、長時間の歩行
- 足の変形、歩き方の異常
- 年齢や病気で脂肪組織が減った、浅い所に固い骨や関節がある
「このような圧迫因子を見つけて、可能な限り除去することが予防と治療の両方にとって最も大切です。」(日本皮膚科学会 皮膚科Q&A)
学会は、不適切な靴が一枚かんでいることが多いとして、皮膚科でウオノメやタコと診断がついたら、また怪しいと思ったら、早めに専門の靴屋さんに相談することも大切だとしています。適正な靴に替えただけでよくなることもあるそうです。
靴が関わる足の病気には、外反母趾もあります(→足の痛み)。
一方で、職業や生活習慣など、実際には取り除けない原因も多いと学会は書いています。その場合は、角質軟化剤や保湿剤などを使ったスキンケアや、パッドなどで、なるべく局所の刺激を少なくする工夫が必要です。学会の資料には、20%尿素軟膏を塗り、圧迫を除くために指の割れた靴下を履いた軽いウオノメの例も紹介されています。
この章で扱った圧迫を減らすためのパッドです。日本皮膚科学会の皮膚科Q&Aは、痛みを軽くするためや再発を防ぐために「ドーナツ型パッドなどを用いて圧迫除去を行うこともあります」と書き、いろいろな大きさのものが市販されているとしています。
※ 当サイトは、記事のなかで根拠を示したうえで推奨したものに限り広告を掲載しています。まず皮膚科で、ウオノメ・タコかどうか(イボや他の皮膚病でないか)の診断を受けてください。ここで紹介しているのは、足の指の上にできたうおの目・たこ・まめに貼る、穴のあいた保護パッドです。メーカーによると、素材は密度の異なる2層構造のラテックスフォームで、靴の圧迫や摩擦から守るためのものです。芯を取り除くものではありません。メーカーは、靴ずれや傷口があるときは粘着剤の面が直接当たらないようにし、かゆみやかぶれが起きたらすぐ使用をやめるよう注意しています。糖尿病の方は、自分で処置せず主治医にご相談ください。靴そのものが合っていない場合は、靴の見直しが先です。
この章で扱った角質を軟らかくする塗り薬です。日本皮膚科学会の皮膚科Q&Aは、取り除けない原因があるときは「角質軟化剤や保湿剤などを用いたスキンケア」で局所の刺激を少なくする工夫が必要としています。資料には20%尿素軟膏を使った例が紹介されています。
※ 当サイトは、記事のなかで根拠を示したうえで推奨したものに限り広告を掲載しています。ここで紹介しているのは、興和のケラチナミンコーワ 20%尿素配合クリーム(第3類医薬品)です。添付文書に書かれた使い道(効能)は「手指のあれ、ひじ・ひざ・かかと・くるぶしの角化症、老人の乾皮症、さめ肌」で、ウオノメの芯を取り除く薬ではありません。添付文書は、引っかき傷などのきずぐち、亀裂(ひび割れ)、かさぶたのように皮膚がはがれているところ、ただれや赤くはれているところには使わないこと、15歳未満には使わせないこと、2週間使ってもよくならない場合は使用をやめて相談することとしています。医師の治療を受けている方、糖尿病の方は、使う前に主治医にご相談ください。
7.【内科医の視点】糖尿病の方は特に注意
内科医として、ここはぜひ知っておいてほしいところです。学会は、タコに痛みや赤みを伴う場合は細菌感染の可能性があるので早めに皮膚科を受診するよう書き、特に糖尿病の患者さんでは重症化しやすいと注意しています。自己治療で化膿させてしまった例として挙げられているのも、糖尿病の患者さんでした。
糖尿病のある方、血糖値が高めと言われている方は、ウオノメやタコを自分で削ったり、貼り薬を使ったりする前に、主治医や皮膚科に相談してください。血糖については糖尿病予備軍の記事で書いています。
また、ウオノメやタコの原因になる足の変形や、浅い所にある固い骨や関節は、年齢とともに目立ってくることがあります。かかとや足の痛みが続く方はかかと・アキレス腱の痛みの記事も参考にしてください。
8. 受診したほうがよいとき
皮膚科を受診したいとき
・足の裏や指に硬くて痛いものがあり、ウオノメかイボか分からない(市販薬を使う前に)
・タコに痛みや赤みがある(細菌感染の可能性)
・糖尿病があり、足にウオノメやタコができた
・処置しても何度も繰り返す(圧迫の原因を一緒に探す。歩き方や骨の異常が疑われるときは整形外科)
最後に、この記事の要点をもう一度。
① ウオノメは中心に芯があり、歩くと激しく痛む。タコは広く厚くなり、ふつうは痛みがない
② 足の裏のイボは、ウオノメと区別がつきにくいことがある
③ 市販薬は、まず皮膚科で正しい診断を受けてから
④ 予防にも治療にも、圧迫の原因(靴など)を取り除くことが最も大切
⑤ 糖尿病の方は重症化しやすい。自己治療の前に相談を
9. よくある質問
ウオノメとタコはどう違うのですか?
日本皮膚科学会の皮膚科Q&Aによると、ウオノメはおもに大人の足の裏や指にできる直径5〜7mm程の硬いもので、中心に芯があり、歩いたり圧迫したりすると激しく痛みます。タコは刺激を受けたあたり全体の皮膚が少し黄色みを帯びて厚く硬く盛り上がるもので、足の裏以外にもでき、ふつうは痛みがありません。
ウオノメだと思っていたら、イボだと言われました。
皮膚科Q&Aは、足の裏にできるイボ(足底疣贅)は皮膚の中にめり込んでいることが多いので、小さいものではウオノメと区別がつきにくいことがあると説明しています。子どもの足の裏には、ウオノメそっくりの痛いイボ(ミルメシア)ができることもあります。イボはウイルスによるもので、ウオノメとは原因が異なります。
市販のウオノメの薬を自分で使ってもいいですか?
皮膚科Q&Aは、治療の前にまず皮膚科医の正しい診断を受け、その指導と管理の下であれば、市販の薬で自分で治療することもあってよいとしています。足の裏の悪性腫瘍をウオノメと自己診断して進行させてしまった例や、自己治療で化膿させてしまった糖尿病の患者さんの例が紹介されています。
ウオノメを繰り返さないためにはどうすればいいですか?
皮膚科Q&Aは、窮屈な靴、長時間の歩行、足の変形、歩き方の異常など、圧迫の原因を見つけてできるだけ取り除くことが、予防と治療の両方にとって最も大切だとしています。不適切な靴が関わっていることが多いため、早めに専門の靴屋さんに相談することも勧めています。取り除けない原因があるときは、角質軟化剤や保湿剤などのスキンケアやパッドで刺激を減らす工夫が必要とされています。
糖尿病があります。ウオノメやタコで気をつけることはありますか?
皮膚科Q&Aは、タコに痛みや赤みがある場合は細菌感染の可能性があるので早めに皮膚科を受診するよう勧め、特に糖尿病の患者さんでは重症化しやすいので注意が必要としています。ウオノメの自己治療で化膿させてしまった糖尿病の患者さんの例も挙げられているため、自分で処置する前に主治医や皮膚科に相談してください。
参考にした主な資料
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「イボとミズイボ、ウオノメとタコ─どう違うのですか?─」(Q11 ウオノメとイボの違い、Q12 ウオノメとタコの違い、Q13 治療、Q14 市販薬、Q15 予防)